外伝 マーチオブスズカその1
お久しぶりです!
ようやく外伝が書けたので投稿いたしました!
外伝はサイレンススズカの産駒達が大暴れするだけの話です。
今回と次回は誰もが憧れた、キョウエイマーチとサイレンススズカというロマン中のロマンの配合で生まれた子供が活躍します!
ちなみに人物名も編集いたしましたので注意してください!
2005年5月1日。
キョウエイマーチとサイレンススズカとの間に一頭の牡馬が生まれた。この時サイレンススズカ産駒はまだ走っておらず、評価額も種牡馬としての同期のアグネスタキオンの産駒達の方が上である。
しかし伝説の逃げ馬二頭の配合は話題を呼んだ。しかもその当歳馬は父サイレンススズカと同じ日に生まれたから尚更だった。
アグネスタキオン以来4年振りに無敗で皐月賞を制したディープインパクトも父SSと同じ誕生日に生まれたこともあり、話題は話題を呼び牧場に騎手、調教師を始め数多くの競馬関係者が訪れた。
「(いつかこの馬で皐月賞やダービーを取ってみたい…)」
その中でも惚れ惚れと見ていたのはサイレンススズカの主戦騎手だった田根豊だ。今はサイレンススズカが競走馬から引退し、そうなっているだけであり田根豊はいつまでもサイレンススズカが相棒と言えるだろう。
しかし田根豊にはサイレンススズカの代わりとも言える相棒が現役にいる。その相棒は今世間を騒がせている無敗の皐月賞馬、ディープインパクト。彼こそが今の相棒だ。だが彼はあまりにも強すぎる。種牡馬価値を少しでも下げない為にも4歳の有馬記念で引退してしまう未来が予想される。その予想を裏切るにはディープインパクトがクロフネのように屈腱炎などの故障を理由に早く引退するしかない。少なくとも5歳以上現役を続けることはなくディープインパクトに乗った田根豊がこの馬と戦うこともない。
「ああ…早く乗りたい」
そんな田根豊の呟きは2年後に実現することになった。
〜2年後〜
無敗の三冠馬ディープインパクトが有馬記念で有終の美を飾り、引退。代わりに世間が注目したのはディープインパクトに敗れた古馬勢ではなくクラシック有力候補のフサイチホウオーという馬であった。この馬は皐月賞こそ3着であったが重賞を無敗のまま3連勝というとてつもないことをやってのけただけでなく、負けた皐月賞でも超がつくほどのスローペースであるにもかかわらず逃げ馬二頭を捉えたとまで思わせるほどの末脚を爆発させたのだ。しかも父ジャングルポケットが苦手とした中山競馬場でその結果だ。府中の舞台なら勝ったも同然。そんな理由で日本ダービーでフサイチホウオーは単勝オッズ1倍台に食い込んだ。
単勝オッズ1倍台と言えばトウショウボーイ(2着)以来単勝オッズ1倍台の全ての馬が顕彰馬になっているだけではなく、敗北もしていない。またロングシンホニー(5着)以来1番人気は必ず馬券に絡んでくるのだ。その中でも連対を外したのはメジロブライト(3着)のみであり、掲示板に載っていることから如何に1番人気が信頼されるかわかるだろう。
つまり、日本ダービーが始まる直前まではフサイチホウオーは顕彰馬になるだけでなく、ダービーの勝ちは確定とまで言われていたのだ。
だがその時の勝者はフサイチホウオーではなかった。その年、クリフジ以来64年振りに牝馬がダービーを制した。その馬の名前はウオッカ。前走桜花賞こそダイワスカーレットに敗北したが彼女は日本ダービー史上最速の末脚を見せ、見事日本ダービーを制した。
なお、フサイチホウオーは7着と惨敗し以降勝てなくなってしまった。その結果鬱病を患い、引退した。かつて顕彰馬になるだろうと言われていた馬がこのような結果を迎えるとは誰にも予測出来なかった。
閑話休題
キョウエイマーチ産駒のマーチオブスズカは鞍上田根豊の希望もあって8月にデビューした。この年の2歳馬もやはりと言うべきかアグネスタキオン産駒の馬がダイワスカーレット同様に活躍し、アグネスタキオンが如何に種牡馬として優秀かを見せつけている。マーチオブスズカの出走するレースもアグネスタキオン産駒がおり、マーチオブスズカといえども決して油断出来る敵ではない。
田根豊はそんな事を考え、マーチオブスズカに騎乗しようとするが…馬自身に拒否られた。
「えっ!?」
田根豊はまさか拒否られるとは思わず、戸惑ってしまう。気性が荒いことで有名なイナリワンですら手足の如く操れる田根豊が馬の事で戸惑ってしまうということは相当なことだ。田根豊が気性のことで戸惑ってしまう馬と言えばステイゴールドやエアシャカールくらいのものであり、どちらもサンデーサイレンスの血を引いている。そして田根豊は父サイレンススズカというよりもこの馬は祖父サンデーサイレンスなんだということを認識し、頼もしさを感じた。するとマーチオブスズカは田根豊の表情を見て笑みを浮かべ、背中を預ける。
「やっぱり、お前はそういう馬なのか」
そして田根豊はこの馬が「余計なことを考えずに黙ってやれ」ということを伝えたかったのだということを確信する。
【マーチオブスズカ、これは凄い!さらに突き放してゴールイン!】
終わってみれば父サイレンススズカというよりも祖父サンデーサイレンスを彷彿させるような走りで圧勝。脚質や毛色こそサイレンススズカそのものであったがTV越しから見ても荒々しさをこれでもかと言わんばかりに醸し出しながら走っていた為にサンデーサイレンスが栗毛になって走っているようにしか見えなかった。祖父サンデーサイレンスの勝負根性に父サイレンススズカのスピードを見事に受け継いだマーチオブスズカはその後、3戦(うち2戦は重賞)を勝ち朝日杯FSに登録。父サイレンススズカ、母キョウエイマーチ、母父ダンシングブレーヴという血統や圧倒的なパフォーマンスもあってか1番人気に支持された。
【朝日杯FSスタート! さあ、やはりこの馬が行った行った行ったーっ! マーチオブスズカがやはり先頭に立ってペースを作ります! 続いてゴスホークケンが三番手を引き離す形で二番手についています!】
マーチオブスズカとゴスホークケンが好スタートを決めた朝日杯FS。この朝日杯FSというレースは今となっては価値が薄くなったが、かつてはダービー馬を多く輩出したレースでもある。トキノミノル、メリーナイス、サクラチヨノオー、アイネスフウジン、ミホノブルボン、ナリタブライアン…いずれもダービーを後に勝利していることから如何にレベルが高いレースかわかるだろう。ダービーを勝っていなくともここの勝者で後にGⅠ級のレースを勝った馬は多くいる。この朝日杯FSもいずれ、伝説となるだろう…そうファンの声が聞こえ、マーチオブスズカは走る。
「お、おい!?」
田根豊の指示すらも無視し、マーチオブスズカは二番手のゴスホークケンに10馬身以上も差をつけ、大逃げをする。
【おっと、マーチオブスズカ折り合いがついていないのでしょうか? 1000mの通過タイムが56秒8、いくらなんでも速すぎるぞ!】
父サイレンススズカですら最初の秋の天皇賞を挑んだ時の1000mの通過タイムが58秒台であり、アナウンサーが「速すぎないか川内騎手!?」と実況したくらいである。それを2歳馬が実行するのだから恐ろしいことである。
【さあ直線に入ってマーチオブスズカが先頭だ! まだリードは9馬身以上もある! このリードを守りきれるのでしょうか!田根豊とマーチオブスズカ!】
「(…信じているぞ! マーチ!)」
田根豊がムチを振るい、マーチオブスズカに気合が入る。
「(こ、これは!?)」
その瞬間、田根豊は自分が置いていかれる感覚を感じ、必死にしがみつく。後ろなど見ていられる余裕もなくそのままゴールインする。そしてマーチオブスズカがしばらく走って大人しくなると田根豊は掲示板でとんでもないものを目にしてしまった。
「…はぁっ!?」
それは目が飛び出てしまうほどの衝撃であった。駆け抜けたタイムが1.31.9とレースレコードを1秒以上も縮めてのゴールだったからだ。2着との差は大差であり、如何にこの馬が化け物じみているか改めて認識してしまった。
【時計はレコード、時計はレコード! なんと1秒以上も縮めてしまったマーチオブスズカ。来年のクラシックの舞台はこの馬で決まりです!】
競馬関係者は当然のこと中山競馬場にいた人間もその事態に騒然としてしまう。タイムもそうだが大差を付けての勝利はマルゼンスキー以来のことであり、やはりサイレンススズカの仔はサイレンススズカであったと認識させられるのであった。
このレースのおかげでサイレンススズカの種付け料は向上し、1000万を超えたがそれにもかかわらず種付けの申し込みが殺到した。この背景にはアグネスタキオンの死亡が大きく関与している。アグネスタキオンの急死により代用種牡馬の筆頭であったのがサイレンススズカであったのだ。サンデーサイレンスの後継者筆頭のディープインパクトの種付け料が1000万円とサイレンススズカと同額であるのとまだ産駒たちがデビューしていないため種牡馬としての実績が未知数である。それよりか実績のあるサイレンススズカに種付けした方がいいという考えと、ディープインパクトはシンジケートを組んでおり種付け出来る馬は限られていたということもあってサイレンススズカに種付けの申し込みが殺到したという訳である。
閑話休題
兎にも角にも朝日杯FSを無敗で勝ったマーチオブスズカ。その余りの強さから、かつてグラスワンダーがあだ名されていたようにマルゼンスキーの再来と呼ばれるようになった。
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また○○とサイレンススズカの間に生まれた産駒が活躍するのを見たいという要望があれば出来るだけお答えします。




