白ノ修羅の産声
「……ある、じ?」
少女は、静かに、だが確かに頷き、「夢の中で申し上げました」と囁いた。
「この――」
袖から細く白い手を差し出し、手のひらを見せる。
「私の手を取ってくださり、そして貴方がここにいるということ自体がその証。貴方はその呪いを一身に受けてしまった」
「……呪い」
琳の、低い声が真の耳朶に触れた。
今にも刀を抜こうとする殺気が、この部屋を満たす。
少女の前に立ちはだかるスーツの女は、冷えた目で琳を見据えた。
「いきり立つな。呪いを受けることを承諾したのは、そこの――少年だ」
「……真?」
「……そうだよ。おれは、もう一度、もう一度でいいから兄さんたちに会いたかった。遺物には、なりたくなかった、から……」
「遺物になりたくない?それは、どういう――」
琳の問いに、今まで黙っていた高峯がようやく重たげな口を開く。
「今まで処理した遺物――。あれは、機械と人間が融合したもの『だけ』ではない。それは知っているだろう。琳」
「……」
「遺物とは、過去の人間の過ち。それを総称して遺物と呼ぶと教えてきた。しかし、現実は違う。この国を侵しはじめているのは、遺物だけではない」
「高峯殿の仰るとおり――。この国は、確かに侵されている」
「なに、に?」
恐恐とふるえる声を押して、真が問うた。
少女は凛とした瞳でまっすぐ見据え、くちびるを開いた。
「神です」
それは身近に、人間の一番近くに、それはいる。
もうじきだ。
もうじき、それは『形』と『容』を手に入れるだろう。
これを行うために、観世水の分家――紅葉賀が要した時間……。
それは、短くはない。
幾度も幾度も犠牲を払い、そして手に入れた、『それ』――。
あの時、葵重工の屋上で手に入れたものは、決定的な材料に相成った。
それは、真の『血液』。
これ以上、死に近い物質はあるまい。
『死』に吸い寄せられるものは、死霊、悪霊…。さまざまな、『呪いの結末』。
真は、皇の血脈。
その輝ける魂を餌に、神々が吸い寄せられてゆく。
光煌くこの世界を、暗闇の底に叩き落せ。
全人類を憎め。
全人類を呪え。
全人類を祟れ。
神よ。
すべての神よ。
この狂った生物、狂った世界に制裁を――。
ここまで読んでくださったかた、ありがとうございます。
一旦ここで終わりです。
ですが、まだまだ続きます。
前々から書いてみたかった、「神に抗う人間」がテーマ。
今作のSFファンタジーから、完全な現代ファンタジーになる予定です。
では、「白ノ修羅」へ続きます。
よろしければ、お付き合いください。
神様を信じてるっていう方は、お勧めできないかもしれません。
ある意味、意思を至上とする表現があります……。
つづきも、ホモ小説だよ!!!!!!




