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今日で就職面接を受けたのは四〇〇社目。不採用の数も、これで丁度四〇〇社目だ。
それでも僕は、この就職難の中、雑踏のざわめく大都市東京を一人練り歩く。
四月。もう四月だ……大学を卒業したのが約一ヶ月前。
大学時代の友人は既に自らの進路を切り開き、それぞれの生活に勤しんでいる。……なのに、なのに僕は。
「何をやっているんだろう」
足を止め、思わずビルの合間を見上げてしまう。空は相変わらず、ただ青いだけ。僕と同じように、何も変わらない。
「ん?着信?持田から?何のようだ?」
呆然と空を見上げていると、唐突と携帯電話が震える。スーツのポケットから携帯電話を取り出すと、携帯電話の着信表示には大学時代からの友人、持田伸治の名前が表示されている。アイツとはよく、馬鹿をしあった中だった。もちろん、僕が中心ではなく、持田中心に、だ。
メールには『久しぶりにお前と津本と俺の三人で今夜飲みに行かないか?早急にメールを返すように!よろしく!』と書かれている。
「コイツ……暇なのか」
そんな事を呟きつつ、僕は二つ返事を返してしまう。仕方ないだろ、僕もこの状況的に飲まないとやってられない。それに、僕自身も久しぶりにアイツらの顔を見たくなったというのもある。
「よし……今日も頑張るか」
僕はまた一歩を踏み出し、雑踏へと紛れ込んで次の就職面接へと向かう。四〇一社目は……採用されるといいな。