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明日を求めて  作者: 篝火
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第一話 始動

駄文ですが読んでいただけたら幸いです。

南米・ベネズエラ・コリアンドル村

(ベネズエラ標準時)PM11:32


友軍の戦車が爆発し、辺りを光々と照らした。

機関銃から吐き出される無数の銃弾。

だがそれは目標に命中する事もなく空を切るだけだった。

戦場となった小さな村に濃緑色の戦車が三機隊列を組んで待機していた。

ベネズエラに配備されている地球統合軍の戦車の中では最新鋭に分類される機体だ。

だがその最新鋭戦車部隊は早くも壊滅状態だった。十二機いた友軍機も既に三機になっている。

たった一体の敵に最新鋭の戦車部隊がほとんど無抵抗のまま撃破され全滅仕掛けている。

戦車部隊の隊長、ベン・カリウス大尉は今起きている現実を突きつけられ戦慄していた。

カリウス

「こんな馬鹿なことがあるか!」

レーダーに映ることはあってもすぐに消えてしまう敵の反応。

静かに近づいてくる死の足音をカリウスは聞いたような気がした。

カリウス

「増援は!?」

カリウスの問いに通信兵が青ざめながら答えた。

通信兵

「先程から何度も本部に呼びかけていますが、既に出撃した、と返ってくるだけです」

カリウス

「ならば何故来ない!」

そのときだった。

カリウスの搭乗する戦車を黒煙が包んだ。

左に並んでいた友軍機が敵にやられたのだと気付くのにカリウスは数秒かかった。

やられる、カリウスがそう覚悟した時、通信兵の叫びが彼の意識を引き戻した。

通信兵

「大尉、増援です!」

レーダーには友軍機を示す三つの緑色のドットが映っていた。


南米・ベネズエラ上空四千六百メートル

(ベネズエラ標準時)PM11:30


ベネズエラの上空を三機の輸送機が編隊を組んで飛行している。

その輸送機の格納庫に横たわる巨大な影があった。

機内のライトに照らされて鈍く光っている。

その影の中に待機する兵士の姿があった。

レナス1

「こちらレナス1、四十五秒後降下を開始する。各機準備はいいな」

他の二機の輸送機で待機している寮機への通信。

レナス2

「こちらレナス2、いつでもOKだ」

レナス3

「こちらレナス3、いつでも行けます」

寮機からの通信を確認すると機体に搭載されているAIに告げる。

レナス1

「降下開始十秒前になったらカウントをとれ」

AI

「了解。」

無感動な男性の声が冷ややかに告げる。

そしてしばらくの沈黙。

機体のジェネレーターの駆動音がコクピット内に響き渡る。

AI

「降下開始十二秒前……十」

カウントダウンが始まった。

AI

「…五」

鈍い音と共に機体を固定している最終ロックボルトが解除される。

AI

「…二」

輸送機の底部ハッチが開かれる。

AI

「…一、降下」

輸送機から三体の巨人が射出される。

その巨人達は大気を切り裂く様にして目標点へと降下していった。


南米・ベネズエラ・コリアンドル村

(ベネズエラ標準時)PM11:34


カリウスは戦車内にあるモニターを見て驚愕していた。

十機の友軍機を撃破した敵の姿を見たことによって。

敵の正体は巨大な虫だった。

高さは六メートル前後、まるみを帯びた堅牢な赤褐色の甲殻。それから生える八本の鋭い足。そして次の獲物を狙うかのように光る赤い目。

それらはカリウス達の戦慄をより強いものにするには十分すぎる材料だった。

やられる、カリウスがそう確信したとき天空から放たれた一本の火炎の矢に貫かれた。

虫は射抜かれた衝撃で十メートル程吹き飛び、民家に突っ込み動かなくなる。そして断末魔の叫びをあげて絶命した。

カリウスはその光景を呆然と見ていた。そして、はっと我に返ると戦車の上部ハッチを開け、空を見上げた。

そこにはパラシュートにぶら下がった三人の兵士の姿があった。

三人の兵士はそれぞれ火器を構えこちらに向かって降下してくる。

その三人の姿を眺めていたカリウスはあることに気づいた。あれは人間などではない、あれは……。

カリウス

「ロボットだと!?」

降下してくる兵士、いやロボットは屈強な装甲に身を包んでいる。中世ヨーロッパの騎士を現代で甦らせたらあんな姿になるかもしれない。

ロボット達は上空四十メートルでパラシュートを切り離すと自由落下し始める。そして二秒も経たない内に着地し三機のロボット達は動き出した。



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