箱入り娘
海野は仕事で知り合った豪商に娘を紹介される、しかし娘は人形だった。数か月後海野は祝言の席にいた。二人は箱の中に入れられた。
昔は箱入り娘とか箱入り息子とか、良く言われましたね。私もですが、、、誰も信じないか。
「この方の娘さんは本当におきれいで箱入り娘さんなんですよ。」
お仕事で紹介された大店のご主人、山野松雄氏、着物を着こなし風流を愛し今時珍しい方でした。
「海野さん、あなたは奥様は?」
「いえ、仕事のせいにしてはいけませんが、なかなか出会いはございませんでした。」
私海野は銀行の外回り、たいして良い学校でもなく、良い男でもない。出世の見込みがあるわけじゃなし。出会いなど期待してない、、、。
「それはそれはもったいない、うちの娘などよろしければ引き合わせたいところですよ。」
「いえいえ、そんなそんな。」
内心、可愛ければ逆玉だなと思ってしまいました。なんせこの数百年も経つ土蔵、お宝もいっぱいありそうだし。
「娘さんはお名前は何と言うのですか?」
一応聞いておこうか、あとで写真もせがんだり少しずつ探ろうかしら。
良いよなあ、こんな家で不自由なく暮らせたら。自分は貧しい家庭に育ったしおふくろに親孝行もろくにしてないし。
「ああ娘は桜子というのだよ。」
これまた古風な、、、。
携帯が鳴った、
「ああ私だが、、、ああ今行くよ。」
「すみません、私は母屋ちょっと行ってくるからここでしばらくお待ちください。」
主人は私を置いて土蔵から出ていきました。
一人ぼっちの土蔵、ひんやりとして気持ちがいいです。それにしてもお宝だ。高そうな壺やら、鎧、刀、、、昔の豪商とか言ってたなあ。
土蔵の隅に大きな箱が立てておかれていました。見ると桜子と書いてある、、あっこれ娘さんのものだなあ、、。
好奇心旺盛な私はそっと蓋を開けてみました。
「おおお、」
大きな着物を着たお人形
顔は真っ白で本物の人間だったら美しい人だったろうな。
じっと見ていると、人形が、、、、
瞬きをしたのです!
「うわーーーーーーー!!!!」
人形は目を開き、足を動かし箱から出てきました。息をしているのです、胸が膨らんだりへこんだり、顔も赤みを帯びてきています。
「来るなあ!」
「ああ桜子、この人が気にいったのだね。」
後ろに家の主人
「桜子はわたしの娘、婚約者に先立たれ後を追うように亡くなったのだよ。私は桜子を保存処理してここに置いたのだよ。」
桜子は笑みを浮かべました。
「この子は結婚を果たせなかった思いが強く、こうして若い男を見ると生き返るのだよ。婚約者として招くためにな。」
三か月後私は祝言の席にいた
隣には桜子
山野家の跡取りとして、祝福されました。
祝言が終わると、二人の入った箱が閉じられました。
「良かったなあ、桜子良い人と出会えてなあ。二人は永遠にここで夫婦だよ。」
ずっと前に書いたホラーぽいSFショートです。




