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温故知新

作者: 小雨川蛙
掲載日:2026/05/20

 

「おや、久しぶり」


 そう言われて私は言葉に困る。

 試す前からこうなることなんて分かりきっていたのに。


「どうだった。古い事から新しい事を得るなんて息巻いていたがどうだった?」


 八十年ぶりだと言うのにまったく変わっていないな。

 そう思ったが口にするのは気恥ずかしい。

 と言うより、このタイミングでは何を言っても話題逸らしにしかならないだろう。


 故、素直に認めるしかない。


「あぁ。しっかり学べたさ」

「へえ。そりゃ素晴らしい。何を学べたんだ?」


 言われて困窮する。

 かの地で学べたことは多い。

 だが、それは学びに行く前に目の前の友人が『予想』していたこととほぼおんなじだ。


「生きることの素晴らしさを学べたよ」


 苦し紛れにそう言った。


「へえ」


 友人はニヤリと言った。


「なら、もう一度生まれてきたらどうだ? なにせ――」


 嫌味な奴だ。

 私は首を振って答える。


「生きることの素晴らしさを知った上で思ったよ。死後の世界ほど素晴らしい場所はないって」

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