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メランコリアな転生者は何もしないでグダグダ寝たい  作者: 蔵前
第三章 魔の森はこうして後退せざるを得なかった

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俺氏、おぢ達に告発される

私有地と魔の森の違いをわかりやすくするために残してある木々の間から姿を現し、ごめんくださいも言わずにオズワルドの私有地に入り込んだ親父達。

冒険者ギルドのスキンヘッドと、低身長のずんぐりむっくりと、若き日のイケてた自分を忘れがたいとダイエットに励んでいるみたいな装飾過多な痩せ、という四十代ぐらいの中年男性達だ。彼等には服装を含めた外見に全く共通は無いが、俺に向ける目が憎しみに燃えているところは完全にシンクロしている。


俺はエルマー達を眇め見る。

ブルーノとアルマンにクレメンスは肩をすくめたり、あからさまに俺から目を逸らしてくれた。けれどエルマーは悪びれるどころかニヤリと笑い、俺に軽くウィンクまでするじゃないか。


こいつらめ。


エルマー達は帰りの手段を失った俺とデニーを迎えに来たんじゃ無く、冒険者ギルドのギルドマスター(略してギルマス)と現在デュッセンドルフで幅を利かしている鍛冶組合長とガーレン商会長を俺に押し付けに来ただけらしい。


カリンナ達の死体を見つけたところにこのオッサン達とエンカウントし、オッサンの相手が面倒だと俺の所に案内したんだな。


「さいてい。エルマー達の前振りは俺に全部を擦り付けるためか」


「いいや。したい? え、何? 誰かどうしたの? という可愛いリアクションを俺達は君に期待したんだよ。それで、やっぱブリューは関係ないでしょってこちらの方々を説得するつもりだったのに。君は平然とするばかり」


「そうだ。普通は死体と聞いて誰がどうしたと聞くもんだ。やっぱりお前が殺したんだろう。このマンドラゴラ畑を私物化し、隠匿する目的で!!」


エルマーの言い訳に、ギルマスは水を得た魚かよって感じで俺を責め立てる。

本気で最低だな、と俺はエルマーを睨む。

どうしてそんな嬉しそうな顔になるのかな。

俺はエルマーを構うのは止め、その代わりというか、ギルマスに感謝を捧げるボディランゲージを捧げることにした。


「左手を胸に右腕を広げるって、ダンスを誘ってる?」

「これから踊ろうぜって? やっぱブリューはやばいな」


エルマーは分かるが、ブルーノまでものその茶々入れは何なんだろうな(怒)


「違います。ふつうに感謝を込めた挨拶です」


「だから。その感謝ってところが皮肉を込めちゃってるでしょ」


「もう。エルマーったら人が悪い。だけどそうだね。自分の振る舞いを誰も理解してくれないことを嘆くよりも、自分を理解してもらうべく努力するべきだね」


という事で、俺は自分の振る舞いの弁解をする事にした。

俺は冒険者ギルドマスターに真っ直ぐに向き直る。


「ジョーマン殿。俺はあなたに悪意どころか感謝ばかりですよ。それはもう素晴らしい鍛冶職人との出会いがありましたもの。これもあなたが、冒険者ギルドと繋がり深い商売関係者達から俺を締め出してくださったお陰です」


「このガキは。人を小馬鹿にしてからに!」

「何が素晴らしい職人だ。我らの技術があんなネジ屋に劣るわけはないだろう!」


俺に怒声を返したのは、ギルマスと鍛冶屋組合の長である。

俺は精巧なモノづくりができる鍛冶屋を探していたので、手作業なのに形が揃っているネジを作れるホラルドこそが求めていた鍛冶屋なんだけどね。


「百本全て同じサイズのネジを作ってから己の才を誇って欲しいですね」


「俺らが打つのは剣だ。ネジじゃねえよ」


「そうですか。俺は何百本も同じ形のネジが作れる鍛冶師が欲しかった。あなたはたった一つの剣だけ打ちたい。ほら、そもそもあなたと俺の袖が触れ合うことも無いじゃないですか。あなたが俺に怒り声をあげる必要なんて最初から無いんですよ」


「いいや。ゴーシュ殿は声を上げる理由がある。ホラルドと君によってデュッセンドルフの鍛冶師達は、明日にも店を畳まねばならない状況に追いやられている」


「ガーレン商会長。鍛冶屋さん達が俺達のせいで店を畳まなければって、それこそ言いがかりも甚だしいですね」


「ふざけるな! 砦からの注文が全く無くなったじゃないか!」


「えー」


ソレって俺のせい?

確かに今やホラルドは、俺と開発していた武器その他の発注と共同開発を辺境伯その人とご長男様に直々に申し入れられ、デュッセンドルフのネジ屋どころかデュッセンドルフ砦の武器職人と仇名も収入も変わっているけどね。


「うちの在庫をどうしてくれるんだ!!」


「あ、そっちか」


鍛冶屋組合長(ゴーシュさん)よりもガーレン商会の奴の方が、余計な事をしたと俺を責め立ててくるのは、そういうこと、か。

そうだよな。鍛冶屋の売上なんか、いくら冒険者ギルドご用達店として推薦を受けてたとしても儲かるもんじゃない。店に立ち寄った冒険者に剣が時々売れる程度じゃ、売り上げは大したことは無いのだ。


だからホラルドはネジなど生活用品を作っていたわけで。

それを小馬鹿にしてた鍛冶屋連中は、気持だけ焼き入れた鋳造刀をガーレン商会に納めることで売り上げを出していたのだろう。


そしてガーレン商会は買い取って数を揃えたそれを、砦から兵士用の剣の注文を受ける度に納品してたってことだね。

確かに砦から発注が消えたら、不良在庫が重くのしかかる。


「だけどそういう苦情は俺でなく砦の主に言って欲しいな。発注先を変えたのは、辺境伯なアルブレヒトさんとか、ご長男のヴァルターさんとかじゃない」


「き、きき貴様は!」


「だから、あの二人がガーレン商会から一般兵士の標準装備用の剣の発注をするのを取りやめたのは、俺とは関係ないよ。全部ホラルドのせい。違うか。彼等は知ったんだよね。同じ鋳造剣でも、ホラルドが作る方がダンチで凄いって事実を」


「鋳造剣で違いがあるか。そうだろ、ゴーシュ」


ガーレン商会長が鍛冶屋組合長(ゴーシュさん)に同意を求めたが、ゴーシュは憎々し気に俺を睨むだけである。もう何も言うなと俺に目線で凄んでさえいる。


「へえ。違いがあるなら知りたいな。俺が率いる兵隊が命を預ける剣が、どんなものなのか、俺は取っても知りたいよ」


「俺もだ。微に入り細に入り説明を願おう」


腕を組んで人を見下す感じで顎を上げているブルーノとクレメンスであるが、ゴゴゴゴゴ、と変な効果音も聞こえる威圧感オーラを溢れさせていらっしゃる。

ただし、その威圧感を俺に向けるの止めてくれ。

言えよって感じ、俺に向けるな。

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