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メランコリアな転生者は何もしないでグダグダ寝たい  作者: 蔵前
第二部第一章 俺は帰って来た、過去のデュッセンドルフに

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単なる集金ですよ~地獄行きのね

俺が冒険者ギルドに来た理由は一つしかない。

デニーの精神を追い詰め壊した奴らに引導を渡しに来ただけである。

だからギルマスに、「黄昏の風」に会いに来たと答えた。


「――あいつらに何の用だ?」


「空き巣と家屋破壊についてです。彼らに家を貸したと聞いてますので、その場合、家屋損壊の現状回復を願うだけですが、どうも彼等は借りていないと言い張っておりましてね。では、空き巣として届け出ないといけませんので、その前に話合いができないか聞きに来ただけです」


「っそ、それなら、最初に」


「最初に受付に話をしようとしましたよ。用事も申し上げました。受けた損害についての相談です、と」


「そんな、だって」


「そうしたら、言いがかりだと」


「だってお前!!」


「どういうことだ!!」


ギルドマスターは受付女性、そして俺に襲い掛かろうとした用心棒二人を見回し、彼らが違うと言うどころか顔を伏せた事で負けを悟った。


「もしかして、黄昏の風による我が家への破壊行為も、ギルドの方針による嫌がらせだったのですか?」


「そんなはず無いだろう!!」


俺はこのギルマスの回答に、前振り頑張った成果だと心の中でにっこり笑う。

これでギルマスもギルドも、表立って「黄昏の風」を俺から庇えない。

奴らを庇えば、「やはり最初の脅しも組織的なものである」と邪推され、この冒険者ギルドは反社会的組織であると告発される可能性がある。


俺に連なる貴族についてギルマスターは思考を廻らし、この失態の始末はどうつけるべきかと思案しているはずだろう。


ギルドマスターは俺が考えた通りの筋に嵌ったのだ。

ならば彼があとに出来ることは、俺が考えた通りに俺が願う中立者になるしかないのである。

俺は笑い出したい自分を抑えながら、残念そうな態度でギルマスに告げる。


「では、黄昏の風を空き巣と家屋破壊容疑で届け出ることにします」


「証拠は無いだろう!!」


新たな暴力的な大声が俺とギルドマスターの邪魔をする。

俺は声がした方へと振り返れば、女二人と男三人の五人組がぞろぞろやって来た。

叫んだ男は、自分こそがリーダーだという風に一番前に出る。

茶色の長めの髪に無精ひげ。

奴らは風呂が嫌いなのか、すえた臭いが俺の鼻を突いた。


「誰?」


「お前が探している黄昏の風だ。俺がリーダーのカインだよ」


「では、君と色々請求について話をすればいいのかな?」


「ハハハハ。何言ってんだよ。俺達があの家にいたって証拠はないだろうが。借り賃? 壁に穴を開けた弁償金? お前の後ろの独活の大木も言いがかりを散々つけて来たが、そんなもんは知らねえよ!!」


俺はギルドマスターへと視線を動かす。傲慢そうに。

俺の視線を受けたギルドマスターは、苦虫を噛み潰した顔だ。

マスターにまでなった男が、この程度の小者の嘘を見抜けないはずはない。


さあ奴らを庇うか、とりなすか、悩んでくれ。

俺はデニーを追い詰めたこいつらを屠りに来ただけだから、あなたの悩みはどうでもいいけどね。


「ふうん。知らないか」


俺はポケットから今朝オズワルドから借りたもの、売ればひと財産になりそうな魔石を取り出した。誰もの目が俺の手の平にある大きな赤い石に釘付けだ。


よし、全員見たな。

魔石をポケットに再び片付ける。


「デニー。空き巣は別の奴だろう。とりあえず空き巣については憲兵に相談しよう。家の片付けをした今日まで僕も知らなかった石だが、今はこれがある。落ち込むな、この石で家は直せるし釣りも来る」


俺とデニーは踵を返し、


「それは俺達の石だ!!」


バカが掛かった。


「ああ、忘れてた。泊ったよ。お前等の家は壊していないが、そこに泊った。そん時にその石を忘れたんだろう」


「泊ったなら、約束の金を払え」


デニーが腐った冒険者の前に立つ。

カインはデニーの威圧にひゅっと息をのむ。

怖いだろう? お前等が嘲っていた、自分の意義を無くしていたデニーじゃない。

今は自分を取り戻しかけているからね。怖いだろ?


「え、い、石を返して貰ったら」


「まずは未払い金だ。お前は俺が管理している家を借りた。俺の言い値で良いと言って借りたくせに、その後証文が無い口約束など誰も知らない。借りていない家の代金に弁償代など払えるかと言い張って金を払わなかった。借りたというならば、俺の今言った事を真実だと認めるか?」


「あ、ああ。認める。おれも色々家を借りているから勘違いしたんだよ。ほら、俺にその石を渡せ」


「まずは、借りていないと二度と嘘を吐かないように、今度こそ証文を書いてもらう。金がなくて今すぐに払えないというならば、後払い分割でも許す」


「あ、ああ。書く、書く。書くから、ほら、石を返してくれ」


「はい。サインすれば良いだけにしてある」


俺は黒表紙の帳面に挟んでいた賃貸契約書を取り出してデニーに渡す。

デニーは受付カウンターではなく、すぐに文字が書けるようにすぐ近くにある棚に契約書を置く。

すると頼んでもいないのにカインは証文にサインを入れた。


読みもせず? いいのかな?

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