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メランコリアな転生者は何もしないでグダグダ寝たい  作者: 蔵前
第二部第一章 俺は帰って来た、過去のデュッセンドルフに

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オズワルドが用意した奴隷は役付きばかり

「なんかこのまま全部放り投げて寝たくなるな」


お天道様が高く上った翌日の今日、オズワルドは宣言したとおりに自宅掃除要員を何名か見繕って俺と一緒に砦から送り出した。

もちろん、その中にオズワルドは入っていない。


彼は「俺の」好きなように家を整えれば良いと言い、彼の奴隷達に「俺の」望む通りに働けと言い腐りやがったのである。


丸投げかぁ。


俺の意識は遠退きかける。

暗闇で見えた家屋の様子はそれはもうまがまがしかったが、明るい陽光の下ではさらにおどろおどろしいものだったのである。


「どうする? ブリュー?」


当たり前のように俺をブリュー呼び出来るのは、当たり前だがエルマーだ。

オズワルドは奴隷隊を選抜した際に、俺があの時の五歳のブリューだとあっけらかんと紹介した。おかげで、とうとう似た子に幻想抱いたか可哀想にと、集められた皆様にいい具合に遠巻きにされたのだ。だが、エルマーは人の機微を放り投げる人なので普通に声を掛けてくれる。


エルマーのこの性質に感謝する時が来るとは。


「いやあ、良かったよ。俺がブリューを殺して埋めていないって、ようやくみんなに信じさせることができた」


俺を送り出す時の、晴れ晴れとしたオズワルドときたら。

あの日俺が消えた後、紐で縛ったせいで内臓壊れて死んだ俺の死体を、こっそりオズワルドが埋めて隠した説が、まことしやかに砦内で流れていたそうだ。


オズワルド信用ねえな。


まったく、もうちっと話作って説明しろよ。

今日この場に集められた男達、アルバン、ブルーノ、ダフネと門番のリノさんは、俺についてどう接して良いのか物凄くお困りじゃないか。


突然十四歳児を連れて来た奴が、こいつが三ヶ月前には五歳児だったブリューだ、って言って誰が信じる? 馬鹿正直って馬鹿な正直者ってことだよ。

どうせ、三か月後ぐらいには俺は消えていなくなるんだ。

俺があの日のブリューと同じ子だって、無理に認識させる必要ないんだよ。


ちなみに、本日オズワルドが奴隷と言って自分の家を掃除させるために集めたメンバー、皆さん全員それなりな役付きだ。

隊長とか小隊長とか。


オズワルドが団長というならば、団というには大隊とか小隊があるんだから、団長のすぐ下の部下が大隊長とか小隊長とか肩書きあって当たり前だよな。

そんな方々を顎で使えとは、オズワルドめ、こんな小心者でメンタル弱い俺になんてハードル高いことを。


リノさんは正騎士団の小隊長だし、ガースさんは詰所の長。

昨夜は対応相手が魔獣騎士団長のオズワルドだったから、二人が詰所から出て対応してくれただけだった。平じゃオズワルドに押し負けるもんね。


そして昨夜はお世話になったリノさんを、自分の汚家(おうち)汚片付け(おかたづけ)させるとは!!


で、砦から俺を送り出した時のオズワルドの言い分。


「奴隷の監督はしっかりな」


役付きの人達をいくら部下でも奴隷言うな!!


「ブリュー、指示」


「あ、そうだね。とりあえず中のものを全部外に出して、庭にまとめて。全部燃やす。終ったら、空になった家屋内の掃除と洗浄かな」


「やっぱ、ブリューなんだね。命令する事に躊躇も無ければ命令内容が鬼だ」


「え? 何言ってんの。エルマーは」


「いや、鬼だね。信じられなかったけど、これこそブリューだ」


ブルーノ、知的なあなたが何をエルマーに同調して、首を振りながらしみじみ言うかな。


「団長が認めたあのブリューだね。片鱗どころかそのものだ」


神経質なはずのアルバンが素直に相槌打っている。

もう少し神経質に、違うんじゃない? とか返して欲しい。


「ハハハ懐かしいな。研修所でもブリューは図太いし、言いたいことは言っていたよ。そっかこの子はブリューなんだ」


ダフネは目尻の涙を拭う感じで呟いた。

そうか、あの日は砦居残りだったけど、研修所にはいた人か。

てか、オズワルド組は失礼だな。


「あの、あの小さいブリューってそんな豪胆な子だったんですか?」


親切な門番、リノさんが恐る恐るという風に片手を上げて皆に伺ってきた。

するとエルマーがにこっと笑う。


「そうだよ。気が付いたら転がって眠ってる可愛い素振りで、ケヴィンどころか俺達を使いっぱしりにしていた恐ろしい子だったんだよ。ケヴィンを操って河原で大爆発起こすし、ワイバーンを溶かす毒を団長に授けるし。怖い子だった」


「泣きながら騎士団のトイレを掃除させてもらいましたけどね。ほら、さっさと動きましょう。終わんないよ」


五人の騎士達は、うおおお、とイヤそうな低い声を出すと、のそのそとオズワルドの邸宅の中へと入って行った。俺? 監督官だし、重労働しないよ。


「全部燃やすって、いいの?」


ひょいって感じで家の前で監督してる風に立ってるだけの俺に声を掛けたのは、少し遅れてやってきたデニーさんだ。

ある日の過去。

「ほら、ブリュー乗れって、どうした?」

「何かケヴィン落ち込んでる?」

「お前のせいだろ。なんか慰めてやれ」

「あい」


「ねえねえ、ケヴィンどうしたの?」

「俺はブリューみたく凄い毒の知識も無いし、魔法も威力無いし」

「そっか。それじゃあ、あの河原の小石を真っ赤に燃やせる?」

「それぐらいなら。えい」

「はい。じゃあ、水球作って小石包んで」

「え? うん」

どおおおおおおおん。


「てめえ!!ケヴィンに何させた!!」

「水蒸気爆弾の実験である」


本編に書いてないですが、こんなこともしてたんです、てことで。

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