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メランコリアな転生者は何もしないでグダグダ寝たい  作者: 蔵前
エピローグ

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38/78

メランコリックな人は実は最強

ルイス君が言っていた、ブリュー対威圧的なバイハン講師です。

誤字報告、ありがとうございました。


春の花が咲き乱れる中庭には、動物の形に刈られたトピアリーなども乱立して、いかにも子供の苑のような様相だ。

俺はこの風景に心を躍らせるどころか、とってもうんざりした顔で眺めている。


「お前は何をしている?」


せっかくの惰眠を貪りたい俺の目の前に、俺の上に大きな影を落とした大男ががなっているのだ。やれ気力がないとか、学園の恥にしかならない無気力さだと。

昼寝中だった俺をわざわざ起こしてくれてから!!


いいだろうよ。

今は昼休みだ、お前も暇なんだろう。

心の中でスパンスパンと反抗心だけが湧く。


だって俺は望みもしない学園に編入せよと命じられ、必死に勉強をさせられ、これから四年も! 学園生活を送らねばならない囚人なのだから。


初対面の俺に「お前」と言って来た者は、確かに見る限り学園の講師らしき人物だ。だが何の担当だ? 山みたいに大柄で筋肉質な体だが、魔獣騎士団のギードのように重い戦斧を振り回すことも出来なければ、俊敏に動く事も出来ないだろう。つまり、単なる見せ筋なだけの男だ。


奴の戦闘力を読んだ俺は、決めた、下手に出ようと。

俺はこの世界の十歳児にも負ける戦闘力だしな。


「昼休みですので休んでおります」


つやつやでサラサラな金髪が自慢なのか、大柄講師は鼻を鳴らしながら前髪をかき上げた。完全にゴミを見る視線付きでね。

奴は俺の心を傷つけようとしてるのかもだが、俺は奴の素振りに前世で嫌いな美形芸能人を思い出しただけだった。ついでに、目の前の講師が見下げた目で俺を睨む動作に、あの芸能人の真似をした陽キャ男子達が重なって苛立つばかり。


自分が美形だと思い込んでいる三流に傲慢そうにされるとムカつくよな。

一流の美形に傲慢そうにされてもムカつくけどね。


俺の思考はオズワルドへと流れ、自分の机の上にどんどん重なっていく書類について、「俺にやれと?」と傲慢そうにオズワルドが言い放った記憶を俺の脳みそから引っ張り出した。


「つべこべぬかすなよ」


「お前は!!」


あ、講師が目の前にまだいた。

これはやばいと、小心者の俺はとりあえず笑みを作る。


「大人を馬鹿にして!!お前のような生徒はこの学園には相応しくない!!」


え? 

何て言った? なんて言ったの? まさかあなたこそメシア様?


俺は途端に目の前の講師に好意的となった。


「あ、そうですね。では、退学ですか?」


「ああ、そうだな。退学だ。今すぐ学園を去るが良い」


「わかりました。学生課に行って退学届け受け取りに行きます。ええと、これは自主退学ではなく先生からの勧告なので、学園からの強制でいいですね。理由は、ええと、俺が目障りだったから、ですか?」


「その態度だ」


「どんな態度ですか?」


「その、大人を小馬鹿にした態度が問題だと言っているんだ」


ええ~。

俺は「面倒な奴だな」とか思っても、それなりに敬語も使って失礼無いように対応していたと思うんだけど。


「ま、いっか」


俺は立ち上がる。

さあ、退学届けを取りに行かねば。


「どこに行く」


「え? 学生課ですよ。正式な退学届けを取りに行きます」


「この学園を退学になる意味が分かっているのか?」


「何か問題でも?」


「これだから平民は!!この学園を卒業できる意義は大きいものだ。王宮の文官の道や高位貴族の家令の職。あるいは」

「永久就職先は決まっているので、大丈夫です」


「うぐぅ」


「あ、そうだ。俺を退学させたことは内緒にした方が良いですよ」


「脅すのか?」


「いえ。一学年上のケヴィン・デュッセンドルフがいい理由ができたと喜んで学園を自主退学してしまいます」


「お前は、デュッセンドルフ辺境伯と繋がりがあるのか!!」


「つながりも何も、グラナータですよ。デュッセンドルフのグラナータといえば、魔獣騎士団の破壊魔王しかいないじゃないですか。俺はあの人の養子です」


「あの方の!!よ、養子だったら、尚更に勤勉さを求められるのではいのか!!」


「ハハハ。その学ぶ機会を奪ったあなたが言う事ですか!!」


「ぐっ」


「でも良かったです。俺が自主的に辞めたんじゃなくて、辞めさせられたって胸を張れる大義名分が俺に出来たんですものね」


「そ、そもそも貴様の態度が悪かったのが原因だろう!!」


「ハハハ。義父はへこへこする奴よりも態度が悪い奴の方がお好きなもので。それから、暴れる口実を作ってくれた奴も好きですね。では」


「ちょっと、ちょっと待て!!」


「何でしょう?」


「あ、暴れるって」


「ベヘモットを駆って王都のこの学院に乗り付け、学長室に飛び込んで、細に入り微に入り、俺を退学にした理由を説明させると思います。あと、入学金や前払いの授業料の返還も求めるかな」


「そ、そんなものを取り返そうなんて、やはり平民は浅ましい」


「無駄な金が無いのが平民です。そんな平民に学園運営費としては微々たる金額の金も返却出来ないとは。いや、これは入学させる詐欺だったのかな。もともと平民など入学させる気は無く、入学金と授業料に寄付金をせびりつくした後に放逐する、という平民を狙った詐欺。これは公表しなければ」


「公表? そ、そんな事をするはず無いだろう!!平民の微々たる金などちゃんと返してやる。わが学園は誇り高く高潔な精神で運営されているのだ!!」


「わお。我がってことは、学園の運営者か一族、またはそれに準ずる方でしたか。ならばなお安心です」


「何が、だ」


「たった今あなたが俺に入学金や授業料に寄付金などの返還を約束したでしょう。関係者ならば学園の意思ですが、関係者でもない方の安請け合いだったら先生個人が返金を背負うことになるのかなって。余計な心配でしたね」


何故か講師が大きく息を吸った。

まるでクジラや海獣が足りない酸素を吸うように、大きく、ぐあっと。


「何か発作でも? 持病でも?」


「あるか!!」


「安心しました。では」


「おい待て。どこに行く?」


「だから、退学届けの書類貰いに学生課ですよ」


「だから」


「だから?」


「退学などしなくて良い。今後は、た、態度を改めれば良いだけだ」


「いや。退学って言ったのはあなたでしょうが。俺はもうそのつもりで、」

「いいから。もう君は黙っていなさい」


大柄な講師は急に踵を返すと俺の前から去ってた。

奴による支離滅裂な押し問答時間を返して欲しい。


俺の昼休みを邪魔しやがって。


俺は再びベンチに座ると、疲れたと脱力する。

すると俺の上に大柄な人物の影が落ちた。


「弱い者いじめ、お疲れ様です」


「してないし。学生と講師だったら俺の方が弱者でしょうよ!!見てたならあのうざいのの仲立ちぐらいしてよ」


推し担(ケヴィン)以外はぞんざいな扱いしかしないギードに、俺は叫んでいた。

ケヴィンだったらあの講師が何か言う前に排除する癖に!!


「できる限りブリューの邪魔をするな、が団長の希望です」



フィールはブリューに固定されたから強くなったわけではなく、

いつだって面倒を放り投げたい人な上、前世で小中高に大学と卒業しているので学業はお腹いっぱいで今世で学校に行けなくても別に、なだけです。デュッセンドルフで事務方仕事要員としての永久就職先もありますし。

それで、

フィール:辞めます!!

講師:待って!!普通は辞めさせないでって子供は泣いて謝るとこでしょ!!でもって、こいつが止めた後に俺にかかる色々がああああ!!

となりました。

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