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見知らぬ天井な理由

目を開けて、見知らぬ天井が豪華だった。


まず俺は「田舎のラブホ」か、と考えた。

そして、物凄い絶望感に襲われた。


あれだ。昨日の無理矢理参加させられた飲み会だ。俺はまた深酒をさせられて、今度こそ意に添わない誰かに喰われちゃったんだ。そんな悲しみひしひしだ。


東京生まれの東京育ち、なのになぜか本籍地方、という俺が田舎と呼ぶ己の本籍と同じ地方にて一人暮らしをしているのは、人生に疲れちゃったからである。


うん、本当に疲れたんだ。

働く事にも、人間関係にも。

だから俺は祖母が亡くなり父方の実家が空き家になったことで、仕事を辞めた。

祖母の家の後片付けをしている最中に、急に気が付いちゃったんだよね。


俺は何のために働いて生きているのかなって。


両親はとっくに離婚してるし、離婚の際に押し付け合った俺に関心などあるわけないし、俺には恋人なんていたためしもない。

こんな何も無い奴、必死に生きててどうするの? 頑張ったって、誰も褒めてくれないじゃん? て。頑張った分、仕事を押しつけられるんだよ?


だから、ばあちゃん家に帰ろうって思った。

夏休みなど長期休暇の際、離婚の際に押し付けられた俺がいると働けなくて邪魔だってことで、父は俺を祖母に押しつけていたのだ。そんな父方の祖母宅に、俺も俺を押しつけようって思ったのである。


ばあちゃんの訃報は、俺に罪悪感だって与えたんだ。

どうして生きている間にもっと会いに行ってやらなかったって。

ばあちゃん家に帰って、大好きだったばあちゃん偲んで、俺の壊れちゃった精神を立て直すのもいいかなって、俺は思ったわけだ。


それなのにさあ、田舎って濃ゆいの。


町内会とか青年会? とかの誘いもそうだが、入っていないのに会費を徴収しに来るのだ。払わないとゴミを捨てさせない? 直接ゴミ焼却施設に自分で持って行きますから大丈夫です。防災や防犯の情報が入らない? 何があっても助け合えないぞ? 今ん所、車を持っていて運転できるなら足になれって、俺ばっかりが助けてあげなきゃですよね。俺、療養したくて喧騒のない田舎に来たはずなのに、喧嘩腰であれやこれや怒鳴るオッサンばかりで死にそうなんですけど?


で?


結局声と腕力の強い奴らにいいようにされている俺。


言い返せない自分が悪いんだ。

療養しに来てSAN値ガリガリ削られるだけなのも、ヨワヨワな俺が悪い。

だけどさ、好きでも無い相手でも、責任取って結婚しなきゃなのかな。


全然昨夜とかの記憶ないんですけど!!


涙が流れそうな目元に右手を当てて……当てて?

俺は自分の右手をしっかり見る事になった。

もみじ饅頭がごとし、ちっちゃくてぷくぷくしていやがるぜ?


「あぶ?」


俺が自分が転生していたと気がついた瞬間である。



その後、ベビーな俺に話しかける人々の言葉から推測するに、俺はオルディアート国のバルバドゥス伯爵家三男フィール・バルバドゥスであるらしい。


俺はどうやら死んでたようだぜ?

前世の俺の死因は、急性アルコール中毒? 

無理矢理参加させられて飲め飲めされた青年会の飲み会の途中で記憶プッツンだから、きっと間違いないだろう。


ああ良かった。

俺が誰かに喰われたのでも誰かを喰ったわけでも無くて。

無理に飲ませた奴らが、俺の死で困ったことになってるはずだ。……ざまあ。


神様ありがとう。

あとは、なんかのゲームか小説みたく、俺が悪役、とかでありませんように。

俺はのんびりしたいの。


前世の意識持ちってことは、俺は間違う事無き鬱患者ですから!!

頑張るって無理ですから!!

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