表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メランコリアな転生者は何もしないでグダグダ寝たい  作者: 蔵前
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/76

包帯男の正体は

俺はオズワルドのせいで全てを曝け出させられた。

でも、この叫びは殺されても吐き出したかった、俺の心からの願いだ。


お父さんお母さんとお兄ちゃん達を助けて!!


未来を変えて、不幸な未来があった証拠の俺を消して!!


俺の真実だ。


嗚咽が止まらない俺は、深呼吸をしながら大きく鼻水を啜る。

そして何度か鼻水を啜っているうちに、部屋の音が俺の鼻水を啜る音しかないと気がついた。涙目のまま周囲を見回して、どうした、と驚く。


辺境伯は額に手を当てているが、顔色が真っ青だ。

辺境伯夫人は両手で口元を覆って、涙を零しながら俺をじっと見つめている。

わなわなと体が震えるほどに彼女が衝撃を受けているのは、一体なぜであろう。


ケヴィンのお姉さん達は抱き合って泣いている。

ケヴィンのお兄さんは顔を背けていて、そしてケヴィンは、打ちのめされたようにして両手で顔を覆ってしゃがみこんでいた。


「その男はいくつぐらいだったかわかるかな? それから、他にその男について覚えていることはあるかな」


辺境伯が俺に尋ねた。

額に当てた手はそのままだが、もう片方の手は強く握りしめている。

まるで何かに耐えるようにして。


包帯男は、辺境伯が知っている人だったの?

ケヴィンみたく先祖返りで当主じゃないけど目が青かった人?

でも、俺が今全部伝えれば、これで俺の家族は助かるんだよね。


「すごい火炎魔法を使ってた。それから年齢は、包帯で顔の形も全然わかんなかったけど、たぶん、お父様や辺境伯様と同じぐらいでした」


バアン。


大きな打撃音は、辺境伯が額に当てていた手でテーブルを叩いた音である。

俺はびくっとしたが、彼が怒りをぶつけたいのは別の相手だった。


「ケヴィン。どうやら未来のお前がこの子をこちらに送ったようだぞ」


え、ケヴィン?

そしてケヴィンは、勘弁してよ、と呟いた。


「ケヴィンが、だったの?」


「ケヴィンは火属性。最期の祝福というレアスキル持ちだ。死ぬ寸前に願いが一つ叶うって奴。それで、そんなスキルを最期に使っておいて、残した言葉が昔日の赤、だとはな」


「閣下。未来のケヴィン様は最高のメッセージを送りましたよ。フィールがメッセージそのものなんです。フィールはワイバーンの襲来を俺達に教えました。それできっと俺は、昨晩死ぬ運命から逃れられたと思います。俺だけじゃない、十人の見習い達も研修所の職員も、ついでに大事な部下の一人も死なずに済んだ。ちゃんと伝えるべきことを伝えていますよ」


「だが、昔日の赤など」


「十五歳じゃ反抗期ですからね。きっと今は言えない事をあなた方に伝えたかったのだと思いますよ。昔日の赤とこの地で言えば、俺が歌った名もなき騎士の歌を思い浮かべるものですからね」


「もう止めて、団長!!」


「過去に戻ってあなたに愛していたと伝えたい、そういう歌です」


「だからやめてって!!」


ケヴィンは悲鳴をあげたが、彼の家族、特に女性陣はオズワルドの言葉でさらに泣き出した。多分、未来のケヴィンの死に様が辛く、それでも未来のケヴィンからの自分達を思う愛が嬉しいと涙が止まらなくなったのだろう。


ケヴィンの兄と父親の方は、俺が語ったケヴィンの姿でケヴィンが死を迎えねばならなかった状況を思い、とても悔しくて辛い気持ちになったらしき苦悶の表情。


でもって当のケヴィンは、オズワルドのせいでHPはもうゼロだよ。


親に兄姉達といい、師というべき団長様といい、ケヴィンへの扱いが酷い。

俺は初めて人への思いやりの心が芽生えた、と思った。


「ケヴィン、つよく、ね」


「幼児に慰められるって、俺はどんだけ」


ケヴィンって打たれ弱いの。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ