異音の導き:前編
― 前書き ―
偶然見た動画や、ふと耳にした音が、
私たちの考えや行動に小さな影響を与えることがあります。
それが科学的な必然かどうかはわかりません。
この短編は、そんな「気づき」の瞬間を描いた記録です。
特別な結論や答えを示すものではありません。
ただ、ある人の体験を通して、
何かに気づくことの面白さや不思議さを感じてもらえればと思います。
YouTubeで偶然見た動画。
「ドリブンフェイス ベアリング 異音」。
何気なく耳に残るその音が、どこか胸の奥に引っかかっていた。
翌日、通販サイトを開く。
工具はまだ手元にない。
ベアリングもまだ買っていない。
どうする——自分でやるか、バイク屋に頼むか。
頭の中で天秤を揺らす。
——頼めば早い。安全。でも、やってみたい。
異音が引き起こす可能性を考えると、胸の奥がざわつく。
回転の奥で小さな部品が狂ったとき、何が起こるか。
恐怖もある。好奇心もある。
信頼できるベアリングに変えたらどうなるのか——
考えがぐるぐると渦を巻く。
手がマウスに伸び、購入ボタンの上で止まる。
心の奥で、やらずにはいられないという感覚がじわりと膨らむ。
——この先、何が起こるかはわからない。
でも、押さなければ、何も始まらない。
そして、指先がボタンを押す。
小さな決断が、世界の中に静かな波紋を広げる。
異音の正体も、作業の結果も、まだわからない。
ただ、ここから何かが動き出す——
それだけは確かだった。
― あとがき ―
あの夜、確かに私は「導かれた」と感じた。
でも、それは誰かが特別に仕組んだわけではなく、
ただ自分が偶然見つけ、気づいたからにすぎない。
動画も、通販サイトも、異音の情報も、
すべては小さなきっかけに過ぎない。
それでも、その一つひとつが、
私に「考える」瞬間を与えてくれた。
世界は、私たちが気づくことで少しずつ見えてくる。
その気づきが、次の行動や学びのきっかけになる。
それが、この体験の一番の価値だったのだと思う。




