きょうかとほまれ
「いってきます!」
元気な声であいさつし、玄関のドアにてをあてながら、一人の男に向かって言う。
その男は優しく声をかける。
「いってらっしゃい。」
★ ★ ★
最近、怖い事件が起こっているそうだ。
私は学校に着くと、まず友達と一緒にお喋りをする。その中にこんな話題がでてきた。
「こなあいだのニュースみた?何人も高い所から落ちて死んでるらしいんだけど、怖くない?」
ネットニュースを開きながら友達はそう言ってきた。
んー。そういうことは普通にある事なのではないか。身投げとか、そういう。そう考えている私を見透かしてか、友達は話を続けた。
「それがね、そこには一切、飛び降りれるような高い建物がないの。」
あ、そういうことか。
また「マジックケース?好きだね、オカルト的なやつ。」
マジックケース。まさに文字通り。魔法使いによる魔法使いの犯行ではないかという、考えでつけられた名前だ。(完全犯罪とかにもマジックケースと言われる)普通ではありえないような、犯行の立証不可能な事件にそう名前がつく。だけれど、本当に魔法使いがいると思っている人は殆ど居ない。
「1度でいいから魔法使い様に会ってみたいよねぇ〜。」
目をキラキラさせながら言う友達に忠告をする。
「もしも本当に魔法使いが居たとしてさ?会っても殺されちゃうんでしょ?最近のニュースでもそんなんばっかりだし。私はちょっと怖いかなあ。」
「えー、だってさ魔法使い様ってなんていうか、うちら的にはロマンじゃない?JKの心を燻るというか…。あ!みて!これ!今ちょー人気の俳優さんじゃん!かっこいい、1度でいいから肉眼で見たい〜。」
ロマンねえ、てか、切り替え早っ!そう返した後、友達が話してくれたマジックケースについて、
個人的に調べることにした。
★ ★ ★
「ただいまー!」
元気よく声をあげながら、希叶さんに挨拶をする。
「おかえり」
控えめで、優しい声で出迎えてくれる私の親のような人だ。
「今日は遅かったね。勉強?」
えへへと言いながら、マジックケースについて調べてましたと、正直に打ち明けた。
そしてその資料を希叶さんに提供する。
「危ないから一人で色々動くなって、言ったばっかりなのに…」呆れた顔で、でも、ありがとうといった表情を浮かべている。
「少しでも力になりたくて…」
そう口からこぼれて言ってしまっていた。
柔らかい表情でありがとうと頭をよしよしと撫でてくれた。もうちっちゃい子供じゃないのに。希叶さんにとってはそうかもしれないけど、私はもう立派な大人だよ!
そう思いながらもなでなでは何だかんだ嬉しいのである。
★ ★ ★
事件の概要はこうだ。無差別に人が高い所から落ちたような形跡で周りに建物はない、平坦な道に倒れている。それが数件。明らかに同一犯であり、大胆な犯行な割に手がかりがない。
これはマジックケースである。
でも一般人が高い所から人を落とした後に平坦な道に捨てていったという線も捨てきれない。
でもわざわざ死体を持って平坦な道に捨てるだろうか?そうだとしても、もっと足跡がつきそうなものだが。
そうこう考えてるうちに希叶さんは家から出ていった。犯人が分かったのだろうか。私もついて行こうと思い立ち、ついて行く。
★ ★ ★
スーパーやん。そういえば道のりで夕飯、夕飯とか呟いてたわ。
とりあえずお買い物のお手伝いをする。
★ ★ ★
「間違いない」
そう突然つぶやく希叶さん。
「魔法使いだよ。あの事件の犯行はね。」
!
「最近奇妙な掲示板がネットで話題になってるって話をしてくれたことがあるよね?」
そういえばした気がする。掲示板の件は事件にはなっていないからただのガセネタなのかと思い、本気にはしていなかった件だ。
「それと繋がっている可能性があるんだ。」
私の話したガセかもしれないこともちゃんと調べてくれているのかとびっくりしながらも話を続ける。
「それってどういう…」
「とりあえず!この人に話を聞かせてもらおう」
そう言ってスーパーのレジ打ちのおじさんにレジを打ってもらった後、そのおじさんの手を引っ張って外へ出る希叶さん。
「なんだお前ら!勝手にこんな事して、クビになったらどうしてくれるんだ?!訴えてやる!!」
激昂したおじさんに希叶さんが問い詰める。
「クビ?ああ、クビといえばこの前スーパーで店長さんがあなたの事を怒鳴り散らしてたのをお見受けしました。クビにするぞっ!って。でも最近店長さんみかけなくなりましたよね。それも数日前で、あのマジックケースと関係もあるやもと」
おじさんはギョッと顔を青ざめさせた。
「被害者の名前と前見た店長さんの名札の名前が一緒だなあって思って来たのですけど…」
「マ、マジックケースとか、バカじゃ無いのか?そんなもん信じてんのかよ。最近の若い奴は…」
おじさんの小言をよそに希叶さんの推理はまだまだ続く。
「掲示板、知ってますか?殺したいやつの名前をかいたら代行して殺してあげま〜すというふざけた掲示板ですよ。」
「半信半疑ながら、名前をかくとそこに魔法使いがやってきた。そしたら本当に殺してくれました。ちゃんちゃん。みたいなね。」
おじさんは汗をダラダラ流しながら土下座をしてきた。
「こ、このことは誰にも、どうにか、あ、ゆ…は…」
そして顔を上げるおじさんに希叶さんはその魔法使いが誰なのかと問うた。
★ ★ ★
ゆっくりぼちぼち書いていくつもりです。筆がのりましたら続きを書きます。中途半端なところで終わらせてしまって申し訳ないです。事件とかそういうのを書くのめちゃくちゃ苦手(事件ものやのに)なので途中からというか次から日常に戻したいです。できれば。
何卒よろしくお願いいたします。
ps.この作品を元に脚本を書きはじめたため、そっちが落ち着き次第この作品を更新していくかもです。