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異世界転移~アイテムチート  作者: けんもも
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第5話 マルシン村

第5話 マルシン村




 集落がありそうなのは、あの街道をあと1㎞程歩いた所か。折角倒したワイルドボアをそのままにして置くのも勿体ない気もするし、獣臭いけど肩に担いで行けば何とかなりそうだ。如何しても重かったら、途中で捨てればいいしな。

 そう思って、ジャージの上をおんぶ紐みたいに使って、ワイルドボアを背中に担いで街道へ戻った。少し重かったので、ゆっくり歩いてたから、30分ほどかかってやっと集落に到着した。


 テンプレ的に城壁に囲まれた城塞都市って言うのではなく、ウエスタン映画に出てくるような、街道を中心にして建物が並んでいる集落だ。一応、集落の周囲には丈夫な木の塀が作られている。畑もあるし、それなりの人口がいるみたいだ。


 門兵とかはいなかったけど、俺が集落の中に入って行くと数人の男たちが寄って来た。

武器とかは持ってないけど、警戒心バリバリだ。コミ障の俺には、かなりストレスフルな状況だ。


 とは言え、最初が肝心だし、まあここなら方言とかでからかわれることもないだろう。


「あ、怪しい者じゃないですよ。途中でワイルドボアを倒したので、持って来たんですが」


 そう言いながら、背中に背負っていたワイルドボアを前に出した。


「それは、最近集落の周囲に出てきてたワイルドボア。するとあなた様は、冒険者様で?」


 おー、このワイルドボア持ってきてよかった。でも冒険者様って、この世界冒険者の地位って高いんだろうか?


「いいえ、俺は冒険者じゃないです。たまたまこの付近を通りがかった時に、こいつに襲われたので返り討ちにしたんです」


「おー。しかし、魔物の死体には刀傷一つありませんが。もしや魔法師様で?」


「いいえ、魔法師でもないです。ともかく、こいつの引き取りと、できればゆっくり話せる場所があると嬉しいのですが」


「そうでした。申し訳ございません。村長の家にご案内します」


「よろしくお願いします。それでこのワイルドボアーは」


「私らの方で運びます。もしよろしければ解体をしておきますが」


「ああ、よろしくお願いします」


「解体した素材や肉は、後ほど村長の家に届けますので」


 その後、男の人に連れられて、大通りから1本中には言った道沿いにある周囲より大きな家に連れて行かれた。先に連絡が行っていたのか、家の前では数人の人たちが待っていた。



 その後、村長さんの家でいろいろ話した結果解ったことは、ここはアスラ王国のシュリエット侯爵領のマルシン村という所らしい。

 俺が倒したワイルドボアは、最近村の周囲に現れて、何人かの村人が被害に遭って、木の柵の外側にある畑は荒らされまくっていたらしい。相手は1体だけだけど、村人を総動員しても逃げられるか、戦ったとしても村人にかなりの犠牲が出ることになるので、どうするか検討していたと言うことだ。


 侯爵の領都まで行けば、領主が願いを聞いてくれれば騎士を派遣してくれるだろうし、もし騎士の派遣が難しくても、最悪、冒険者ギルドに討伐依頼を出せば何とかなるだろうと考えていたとこことだ。ただ、領都まで馬車で行くとしても片道30日はかかるようで、何だかんだで最速でも一ヶ月しないと退治は無理だろうと考えていたようだ。


 あっ、ちなみにこの世界の暦は、10日で1週間。6週で一ヶ月となり、10ヶ月で一年みたいだ。あと、一日は24時間。太陽は1つだけど月は2つあるみたいだ。ちなみに、食事は一日2食。


 この辺りの情報は、村長たちの会話の情報を元に、スキル賢者くんが、新しい情報を提供してくれた。賢者スキル凄過ぎる。


 ともかく、最初にワイルドボアのことと自分の名前を話しただけで、後は村長が勝手に仕切って話を進めてくれている。コミ障の俺としては、有り難い話だ。俺はその間に、情報更新していく、スキル賢者くんと頭の中で会話中。


「それで、シュウ殿。依頼を出した訳ではありませんが、本来、騎士の派遣費用か冒険者への討伐依頼費用にと考えていた銀貨5枚を受け取ってください。本来シュウ殿のような凄腕の方に依頼するには、大銀貨が必要でしょうがこれが私どもの村で出せる精一杯の金額なのです」


「あー、別に費用とかはいいですけど、それよりも旅に必要な物品、武器や防具などを購入したいので、それで相殺ってことでいかがですか?」


「いえいえ、私どものような村では、シュウ殿に使って頂けるような武器や防具などはありません。あっ、シュウ殿。それでしたらシュウ殿が倒したワイルドボアの素材を使わせて頂いてもよろしいですかな。村の防具屋の職人は職業持ちですのでワイルドボアの素材でも防具をお作りできると思います。武器の方は、ワイルドボアの牙を使えば小型のナイフ程度でしたらお作りできると思います」


「それでは、そのように。ちなみに、肉とかは?」


「勿論、高級食材ですのでシュウ殿がお持ちいただけるように準備しています。イベントリーの空きはいくつございますか?」


アイテムボックスじゃなくて、こっちの世界ではイベントリーと言うんだな。

尤も俺は持ってないけどね。


「えっと、今一杯でして」


「ああ、そうですか。では持ちやすいように準備しましょう」


「この後、領都の方に向かおうと思っているので、できれば保存食などにしていただけるとありがたいのですが。肉の方もそう言った費用と相殺と言うことで」


「おお、誠ですか。いやしかし、ボアの肉だけでも銀貨1枚以上の価値がありますからな。しかし、シュウ殿のお頼みとあれば解りました。小さな荷馬車を用意しましょう。それに旅に必要な細々とした物を用意しておきます」


「あと、防具などを作って頂くとして数日かかりますよね?その間、泊まれる宿を紹介していただけるとありがたいのですが」


「それでしたら、我が家の離れをお使いください。母屋と離れておりますし、宿に泊まるよりも便利です。勿論、食事は私たちの方で準備してお持ちしますので」



 村長の家での話が終わった後、村の中を散策することにした。と、俺が入ってきたのと別の道で、数人の村人たちが集まっていた。何でも、害魔物駆除に行くそうだ。よくよく話を聞いてみると、ボア退治みたいだ。と言っても、ワイルドボアと違って、ただのボアは村人10人ぐらいでかかれば、大きな被害を出さずに退治できるみたい。定期的に狩らないと、畑を荒らされるそうだ。今回、俺がワイルドボアを退治したので、村の周囲の危険度がぐっと下がって、何時ものように、ボア駆除をすることになったみたいだ。手にしているのは、銅の剣みたい。錆びてはないけど、そんなに切れ味が良さそうでもないかな~



 その後、防具を作ってもらうことになった防具屋さんや、武器や農具を作っている鍛冶屋さんにも行ってみた。残念ながら職人さんたちをじっと見ても、賢者くんからの情報は出てこない。そう言えば、ワイルドボアも戦っている時には、相手の情報は出てこなかった。賢者くんの情報は、物限定なのか?さっき村人が持っていた銅の剣は、じっと見つめることで情報が出てきたしな。


 ちなみに、異世界転移ではテンプレの鑑定スキルというのはないみたいだ。少なくともノーマルスキルとレアスキルにはない。ユニークスキルだと存在してるのかもしれないけどね。


 武器屋を見て分かったんだけど、鉄製の武器や農具というのはないようだ。鉄貨というものがあるんで、鉄鉱石はあるんだろうけど精鉄技術が進んでないのかもしてない。


 とか考えてたら賢者くん情報が出てきた。この世界の鉄は、まだ溶かしてそのまま冷やして使う方法みたいだ。赤熱のまま打ち叩いて不純物を絞り出し、鉄原子どうしをくっつけ直し純粋な鉄にするという、所謂いわゆる鉄を「鍛える」、製鉄技術はないみたい。さらにそこに炭素分を加えて鍛えて「鋼」にする技術もないようだ。


 じゃあ、この世界の金属が地球の物より劣っているかと言えばそう言うことではなく、鉄は使わなくても、定番のミスリル、オリハルコン、アダマンタイトという金属があって、そっちで強力な武器は作っているらしいから、まあ単に鉄を鋼へと昇華させる必要性がなかったと言うことだろう。

それでも、一番安い貨幣として流通しているってことは、それなりの産出量があるんだろうけどね。

ちなみに、この世界で流通している貨幣は同じみたいだ。



 一通り村の中を見て回った後、村長の家に戻った。 と言うのも、俺を見る村人の視線が・・・

 まるでアイドルとか見つけたみたいにキラキラ視線で見てくるし。

 こっちが寄って行かなければあっちから話しかけられることはないから、コミ障の俺としてはありがたいけど、それでも注目されるのに慣れてないしね。っていうか、ジャージ姿が目立つんだよ。はっきり言って浮きまくり。

 こっちの人たちは、下はダブダブのズボンみたいなものを履いて、上から足首辺りまであるような貫頭着みたいな物をつけていて、俺みたいなジャージ姿の奴はいない。第一、色が鮮やかな紫だし。

こっちの人たちは、くすんだ色合いのものだから余計に目立つ。

 村長の家に帰って、何か着替えるものがないかと聞いたら、湯浴みの準備ができていると言うことで案内された。大きなたらいに少しぬるめのお湯が入っているだけだけど。それでもきっとこれだけのお湯を準備するのも大変だろうって思って有り難く頂戴した。

 固形石鹸みたいなものが置いてあったので手に取ると賢者くんの情報が出て、この世界の石鹸みたいなのでそれで身体を洗った。香りはないけどそれなりにサッパリした。


 その日は賢者くんの情報をつかって、自分のスキルのことやこの世界のことをあれこれ情報整理してゆっくり眠った。とは言え、ぐっすり熟睡した訳じゃない。何となくうまくいってる気もするけど本当に安全なのかは不透明だし。何といっても今の俺はLV2の雑魚だ。少なくとも自分の身が守れる程度になるまでは用心しよう。


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