二、保護者との交渉
黒玉と黄玉の年齢差を考慮すると、長老の態度もやむなしですね。
「お前が?」
「はい、問題はない筈ですが。俺は海姓直系ですし」
「それはそうだが……。あれは、承知か?」
「いいえ、これからです」
鮑の長老鮑天興は黙り込んだ。それは願ってもない話である。嫁き遅れになりかけている娘を妻に望むという。それも一族の中では一番格式の高い、海姓の者がである。
「しかし。お前ならもっと他にいくらでもいい縁談が……」
言い募る長老をにこやかに微笑みつつ制する。
「反対なんですか。賛成して下さるんですか」
敵対すれば容赦はしませんよ、と続きそうである。勢いに呑まれかけて、ぱくぱくと口をあけるが、上手く言葉にはならない。
「長老は賛成して下さったということで宜しいですね。ありがとうございます」
寸分の隙もなく一礼して、海黄玉は踵を返した。呆気にとられた天興が後に残された。
「……流石に…あの白玉の末弟だわい」
巫女白玉に容姿が似ているのは海翠玉ですが、中身が似てるのは海黄玉でしょう。
紅玉は巫女装束をまとうことと、頭髪が黒なので、どうしても印象が似かよりますが、どっちも美形とはいえ顔立ちはあまり似てはいません。