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一、虎目石
少年の掌にあるのは、虎目石だった。磨き上げれば、鈍い茶色の中に黄土色の鋭い光が見える筈である。だが原石はごつごつとした石の肌を頑なに守って、その輝きをひけらかそうとはしない。
黒玉のようだ、と思った。赤い髪と鋭い蒼の瞳を持つ娘である。いや、女性と言った方がいいかも知れぬ。今年、二十歳を四つばかり越え、早婚の一族の中では、そろそろ嫁き遅れになりかかっている。
石を握り締めて、少年は歩き出した。
揺るがぬ決意を、胸に。
少年の掌にあるのは、虎目石だった。磨き上げれば、鈍い茶色の中に黄土色の鋭い光が見える筈である。だが原石はごつごつとした石の肌を頑なに守って、その輝きをひけらかそうとはしない。
黒玉のようだ、と思った。赤い髪と鋭い蒼の瞳を持つ娘である。いや、女性と言った方がいいかも知れぬ。今年、二十歳を四つばかり越え、早婚の一族の中では、そろそろ嫁き遅れになりかかっている。
石を握り締めて、少年は歩き出した。
揺るがぬ決意を、胸に。
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