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「萌。」
名前を呼ばれただけなのに、頭のてっぺんから湯気が出そうなくらい恥ずかしくなる。
え、え、え、名前で呼ばれるのってこんなにもドキドキするものだったっけ?
何だか急に恋人レベルがアップした気分だ。
「俺のことも名前で呼んでよ。」
「ええっ。」
「呼んでくれるまでキスする。」
そう言って、ちゅっと可愛らしい音を立てながら意地悪そうに笑う江藤くん。
名前を呼ぼうとするとキスをされて、その繰り返しでとめどない。
全然名前で呼ばせてくれない。
ていうかもしかしてキスしたいだけとか???
「ああっもうっ。遼太郎くん!」
手で追い払ってやっと名前が呼べたときには、私の息は絶え絶えになっていた。
楽しそうに笑う遼太郎くんを、じろりと睨む。
「キスしすぎ…。」
「萌を抱きたい。」
私の反抗を遮り、急に真顔で言われて、私は心臓がドキリと跳ねた。
困っちゃうなぁ。
でも嬉しい。
そう、答えはもう決まっているんだ。
だけどやっぱり、ちょっぴり怖いんだよ。




