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「江藤くんは優しすぎるよ。」
「辻野さんにそう思ってもらえてるならよかったよ。」
「私はちゃんと…江藤くんが好きだよ。」
じっと目を見て言う。
江藤くんもまた、私の瞳をみつめた。
「じゃあ、辻野さんを俺のものにしていい?」
熱っぽい眼差しで言われて、私はドキリとしながらもコクンと頷いた。
キスをされてそのままベッドへ押し倒される。
今までで一番深くキスをされて、思わず吐息が漏れた。
なのに、唇がそっと離れたと思ったら、江藤くんはまた私の瞳の奥を覗き込んでくる。
無意識に揺れてしまった瞳に、江藤くんは困った顔になった。
たぶん、私も困った顔をしていると思う。
「何か隠してない?隠すというか、俺に言いたいことがある気がするんだけど。」
その言葉に、私は全身に電気が走ったように震えた。
言いたいこと。
江藤くんに言いたいこと。
それは、私の心の奥底に眠る、どうしても拭いきれない想い。




