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式場に来てもらうのは躊躇われて、近くの公園で落ち合うことになった。
式はキャンセルしたし正広とも別れたけれど、式場の人に見られるのはあまりいい気はしない。
迎えに来た江藤くんは優しく微笑んで、「お疲れ様」と言ってくれた。
その一言が、ぎゅっと私の胸をしめつける。
「何かあった?」
「ううん、ちゃんとキャンセルできたよ。ちゃんと別れたよ。」
笑顔を作ったけど、声が少し震えてしまった。
「何でそんなに泣きそうなんだよ。」
俯いてしまった私の頭の上から、困ったような声が聞こえる。
何でって、江藤くんが優しいからだよ。
心の声は音にはならず、泣かないように唇を噛んだ。
「もしかして、未練があったりする?」
訝しげに聞いてくる江藤くん。
違うよ、全然違う。
未練なんかこれっぽっちもないよ。
あるわけないじゃない。




