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家まで送るよという正広に、「親が迎えに来るから」と嘘をついて断った。
「今までありがとう。さようなら。」
ありがとうという気持ちは嘘ではない。
好きだと思って付き合ったことは事実だ。
ちゃんと楽しかったこともあった。
それが途中でおかしくなってしまっただけのこと。
いつからかわからないけど、”好き”という感情がすっぽり抜け落ちてしまって、惰性なのか情なのか、そんな心もとない感情のみでここまで来てしまった。
そんな情けない自分にも、さよならをしたい。
正広と別れた駐車場で、私はひとり佇み、そして泣いた。




