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駐車場で彼にお礼を言う。
付き合っていた二人が別れるだけなのに、やはり結婚の話まで進んでいて両家を巻き込んでしまったことは、それなりに罪悪感があった。
「最後までいろいろありがとう。これでお別れだね。」
私の言葉が言い終わらないうちに、すっと引き寄せられきつく抱きしめられる。
耳元で「気にするな」と囁かれ、体が解放されたかと思うと、そのままキスをされた。
抵抗しようと手が出かかったけど、罪悪感に苛まれている私は彼を強く拒むことができなかった。
これで本当に最後だからと、自分に言い聞かせじっと耐える。
ああ、なんだか心が痛い。
頭の片隅に江藤くんの顔がよぎった。
思わずじわりと涙が滲んでしまう。
それを正広は自分に向けられた涙だと勘違いしたのか、気を良くして言う。
「俺たちいつでもやり直せるよ。」
私は力なく首を振って否定する。
やり直す気なんてまったくない。
もうこれで終わりにするんだから。




