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「あの、すみませんが、少し二人で話をさせてもらえませんか?まだ話し合ってもいないので。」
”話し合ってもいないので“を強調して言ってみたけれど、この家族には何も響いていないようだった。
とにかく正広を結婚させてあげたい両親と、結婚という世間体をプレゼントしたい正広。
そこに私の意見は少しもない。
「ちょっと二人で話してみなさい。」
そう両親に背中を押されてようやくソファーから立ち上がる正広の後を追う形で、私は彼の部屋へ入った。
扉を閉めたと同時に、急に抱きしめられる。
前までは、抱きしめられたりキスをしたり、それなりにドキドキしたり嬉しかった。
なのにやっぱりもう、何の感情も湧かなかった。




