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ペルソナ・ノン・グラータ 日本鎖国  作者: テロメア
第3章 前篇
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      ♪



 ☆数ヶ月前 東京都内某所



 安部冬実は別室で記録用カメラからの映像でその様子を見ていた。

 冬実は昂ぶった気持ちを落ち着かせるために、手帳に張られた一枚のプリクラを見る。

 そこには自分達の黄金時代の一コマがあった。戻りたくても戻れない、自分の告白でなくしてしまった 〝友達三人組〟 という関係は、このプリクラで最後だった。

 その後、三人は新しい関係になった――でも、ときどき、無性にあの頃に戻りたくなってしまう。あの頃の何もない、ただただだらだらと三人で他愛もない会話をして、だらだらとゲームセンターに入ったり、喫茶店に入ったり、そこでもやっぱりだらだらと雑談するだけの、でもとても充実した、幸せがそこにはあった……。

 今でも十分に幸せなのに――まったく、贅沢な話ね。と、冬実は微笑みつつ、そして少し緊張が解れてきた。が、すぐにそれは次を見据えるための決意の瞳に置換される。

 冬実のその目は、日本の未来を見詰めていた――。

 妖精(シー)種族との人類史上初の和平に向けての円卓会議。

 メンバーは日本側に外交官代表本郷鉄郎、自衛官代表池田智秋、日本の現抑止力の魔法少女ハーマイオニー、その妖精(ピクシー)エミリア。妖精(シー)側に妖精(シー)首長(名前不詳)、吸血鬼(ヴァンパイア)の夜行月女(偽名)、見学に元人間吸血鬼(ヴァンパイア)の風見蕾だった。

 なお、首長は火山噴火の関係で飛行機が遅れていて、後から到着するとのこと。

 そんな主役を欠いたなか、本郷鉄郎が口火を切った。




「さて、先にこちらの手札を見せておきましょう」

 鉄郎は手元の資料を妖精(シー)側に配る。

 そこには『吸血鬼特区構想案』と題されていた。

 それぞれがその資料をぺらぺらと捲って確認していく。

吸血鬼(ヴァンパイア)を我が国の半永久的な国防上の抑止力として受け入れてくれる場所を探しました。すると、大阪の知事がこれを快諾してくれ、候補地案は二つ。一つは関西国際空港、二つは大阪国際空港――ああ、伊丹空港ね。それを廃港の後に、その跡地に。どちらにせよ、それは日本のバチカンと成るわけです」

 その言葉に月女は小さく眉根を顰めて、疑問を呈した。

「内陸部だと反感が強いんじゃないの?」

「その点は御安心を。塀ででも囲わせていただきます」

「なるほどね」

 アパルトヘイトってわけか――と、月女は呆れ納得していた。

 その納得に鉄郎は頷いて、言葉を続けた。

「どちらの案にしろ、これには大阪がこれからどう動くかで変動するとお思い下さい。関空をハブ化するのなら、伊丹跡へ。そうでないのなら、関空へ。それぞれまだまだ議論の途中ですので」

「了解したわ――しかし、よくもまあ引き受けようなんて奇特な地域もあったものね」

 月女がにこりと試すような笑みを浮かべたが、鉄郎はそれに笑みで返す。

「現大阪府知事は大阪が活性化するのなら、大概のことには乗ってくれます。それに彼はリベラル的な考えもある。保守で固まっている地域よりは進めやすいのですよ」

 赤縁眼鏡をかちゃりと上げて、鉄郎は頬笑みを絶やさない。

 それに相対す月女は、自分の身体には遥かに大きい椅子に凭れ掛かって構えていた。

 そんなお互いの心を読み合おうとする沈黙の中、突然――扉が開いた。

 そこに現れたのは、十六世紀の西洋の貴族の従者を思わせるような少年の姿だった。

 その少年が一礼して現れ、自己紹介をした。

「自分は栄えある妖精(シー)種族、首長クローディア様の従順なる僕、(しもべ)クリストファーです」

 もちろん、クローディア様も私め( わたくし)も偽名で御座います――と、お決まりのギャグのように言っていた。どうやら、妖精(シー)達には本名を名乗る習慣がないらしい。

「よろしく、僕は本郷鉄郎。日本の外交官だ」

 そう、鉄郎が右手を差し出そうとした瞬間、クリストファーの瞳が一点に固定されていた。

 その目は見開かれ、この世でもっとも醜悪なものを見たような表情をしていた。

「……あん? ぁんだよ? なんか文句あんのかよ、おぉ?」

 なんともガラの悪い妖精(ピクシー)エミリアだった。

 エミリアは自分に向けられた視線にご立腹のようだった。

「……いえ。どうしてこの場に下劣な妖精(ピクシー)風情が落ちているのかとお思いまして」

 そうクリストファーがいうと、エミリアは机の上にその小さな身体を立ち上がらせた。

「あんだよ、ゃんのか? ファーーーッ!!」

 思い切りがんを付けて叫ぶエミリアに、まるで生ゴミを捨て忘れたゴミ箱を開けてしまいその悪臭に顔を歪める時のような表情を浮かべるクリストファー。

 しかし、その口は実に雄弁に動いた。

「もともと、『吸血鬼(ヴァンパイア)』なんて悪夢を生み出されなければ、我々は十三世紀から十八世紀に掛けて五百年以上もの間、魔女狩りに遭うことなんてなかったのです」

「あー? 知らねーよ。それは〈破壊派〉の仕業で、こっちだって困ってんだっつーの!」

「そちらの派閥なんて知ったことではありません。貴方達妖精(ピクシー)が行った所行です。その身内が所行に何の責任も感じないのですか?」

「は、知らねぇーよっ」

 憎悪を込めた瞳がエミリアを睨み付けるが、至極面倒臭そうなエミリア。

 そのエミリアの対応に、クリストファーはさらに怒りを滲ませる。

「なんて無責任な……。月女さんだってそれでどれだけ苦しんだことか!」

「クリス」

 その言葉は流石に聞き捨てならなかったのか、月女が諫める。

 そのソファーに沈んだ小さな身体のどこから溢れているのか、巨大な威圧にクリストファーは言葉と怒りを抑えるしかなかった。

「はっ、少々言葉が過ぎました」

 月女の方に向かって深く一礼して、非礼を詫びた。

 しかし、エミリアに対する憎悪と嫌悪の言葉は続いた。

「そもそも、我々と貴様達が同じ『妖精』扱いを受ける事そのものが許せん。我々は――」



「もう、それぐらいにしておきなさい。クリス」



 その空気を一瞬にして変えてしまうような美声に、円卓会議の面々は言葉を飲んだ。

 クリストファーの向こう側から現れたのは、一人の美しい女性だった。

 それはもう、美しいという言葉すら憚れるような、まさに美神だった。

 ゆっくりと歩を進め、その纏った服の衣擦れすらも荘厳な音楽のように聞こえるような、歩く靴の音が喝采に聞こえるような、その美神の降臨を全てが無条件で受け入れてしまったかのようなそんな錯覚に襲われる。

 これが長い長い時を生きてきた者が纏う空気なのだろうか?

 その美神は、その紅の唇をゆるりと紡いで言葉を発した。

「過去の責任論より、これからのことの方が大切です」

 その言葉にクリストファーは頭を下げて、口を閉じた。

 そしてその美神は鉄郎の方へ向き直り、小さく一礼をしてゆるりと言葉を紡いだ。

「わたくしは妖精(シー)種族の首長を務めております、クローディアと申します」

 それはまるで歌のように美しい自己紹介だった。

「偽名なのはご了承下さいね」

 と、小さく気品に満ちた笑みを浮かべ、先程までの空気が完全に彼女の物と成った。

 圧倒的な存在感。

 圧倒的な美。

 圧倒的な――威圧感が、そこには満ち満ちていた。

 クローディアは智秋の向かいの側に座り、向かいの智秋を眺めた。

 智秋はその生気を感じられない、しかし確実に存在している強い意志に、一瞬気圧された。

 智秋が生唾を飲み込み、耐えるが、この場は既に完全に彼女の支配下にあった。

 そしてクローディアは、言葉を歌のように紡ぎ、議題を提示する。

「それでは始めましょう。我々の未来のために」

 その美しさの圧力を一番最初に立て直した鉄郎が、「ええ、では始めましょう」とその言葉を後押しする。それにクローディアは「では、少し歴史のお浚いを――」と、神話を語り継ぐ詩人のように話し始めた。

「我々妖精(シー)も今まで何の策も弄していなかったわけではないのです。我々が種族融合を謀った時期もありました。それは貴方達もご存じの通り、『取り替え(チェンジリング)計画』です。これにより、人間との交配を経て二世をこの世に授けることが出来ました――しかし、近年では出産の管理が厳しくなり、この計画は途中で頓挫せざる終えなくなりました」

 その為、人間の平均寿命が延びたり、なかなか年を取りにくい人が居たり、たまに我々の血の能力である超能力を使える者も居ます――と、付け加えた。

 それに鉄郎が両目の瞳孔を開いて食いついた。

「超能力? なんですか、それは?」

「文字通りです。神通力と言っても構いませんが、今はこちらの方が有名でしょう?」

 クローディアはさも共通言語のように、当たり前にそういった。

「いや、待てください」

 それに鉄郎は一瞬、頬を引き吊って言葉を慎重に繋げた。

「あなた方妖精(シー)は、超能力が使えると?」

「皆が皆というわけではありません。特に純血に成れば成るほど、と言うことです。先祖の血が色濃く残っている世代ならば、その力は強大ですが――今の者は殆どがその能力を使えません」

 その言葉に、鉄郎は立て直して試すような笑みを浮かべて、訊ねた。

「では――貴女は?」

 その挑戦的な鉄郎の言葉に、クローディアは小さく美しい息を吐くと――指をゆるりと動かした。

 すると、室内の空気がにわかにざわめき――辺りが不穏な空気に包まれる。

 次の瞬間、クローディアが指をゆっくりと動かすと――円卓を囲むように、炎が出現した。

 その炎が、ぼぉう、と右から左へと走り抜けて――――クローディアにぶつかる寸前で、弾けるように消滅した。

 それは、ほんの一瞬の出来事だった――。

 一同が、少し焼けた臭いを鼻孔に燻りながら、息を呑んだ。

「……まあ、わたくしの世代ではこれぐらいですね」

 ちょっとした、発火能力(パイロキネシス)ですよ――と、美神は微笑んだ。

 しかし、それで十分だった。

 このお互いの利害を一致させるための部屋では、これで十分に一枚のカードが切られたと言える。その切られたカードを見て、鉄郎は冷や汗を拭って言った。

「やれやれ、超能力(ESP)とはまたまた非常識な。月女さん、聞いてませんよ?」

 その言葉に、月女が小さく微笑んだ。

「我々が無力だと思わせて置いた方が、交渉を有利に進められると思いまして――。手持ちのカードを全て晒すほど、我々も交渉下手ではありませんよ?」

「……その様ですね」

 鉄郎は赤縁眼鏡をやれやれと押し上げて、再び訊ねた。

「では、その超能力の原理は何なのですか? 僕には魔法と同じに見えましたが、ベクトルが違うだけで同一視することが出来るのでしょうか?」

 その疑問の言葉を、クローディアが優雅に継いだ。

「いいえ、魔法とは決定的に違いますよ。魔法とはある意味『明晰夢』のようなもの。この世界そのものが自身の夢のような扱いで、『夢』を、つまりこの『世界』を自在に変更できると信じています」

「つまり、遣い手に対して、この今の世界が絶対的リアルであると証明する材料はどこまでもない、と」

「ええ、ですから、魔法使いはその気になれば世界を自由自在に操れると言えます。そう言う意味で社会的現実(ソーシャルリアリティ)を意に介さない。個人的現実(パーソナルリアリティ)だけでこの世界に干渉できると言えるでしょう。しかし、我々の能力である超能力はあくまで社会的現実(ソーシャルリアリティ)内での現象と言えましょう。それが雛形の現実(オリジナルリアリティ)に近いのか否かは分かりませんが、少なくとも『魔法』のような箍の外れた能力ではありません。あくまで肉体が本来持つ能力を引き出しているに過ぎませんから」

「それは、フィクションでよくある脳の未開拓の分野が関わっている、とか?」

「そうですね、そう理解して貰えたらこちらとしてもとても助かります」

「では、雛形の現実(オリジナルリアリティ)とは?」

「すみません、こればかりは我々も未発見の分野で、言葉の綾だと思ってください」

 雛形の現実(オリジナルリアリティ)とは未だに誰も到達したことがない、世界の原型。

 妖精(ピクシー)に依る世界への干渉が成されていない世界、あるいはもっとそれ以前の世界。

 誰も見たことがなく、誰もその存在を認識したことがない現実。

 そう理解したであろう鉄郎は、次なる話に進めることにした。

 閑話休題。

「――では、そろそろ本題に入りましょう。あなた方は我々の提案をどうお考えですか?」

 そう鉄郎が切り出すと、クローディアは小さく微笑んだ。

「とても利巧(クレバー)な案だと思いますよ」

 我々にとっても、あなた方にとっても――と。

 とても上品な笑みの裏には、政治を司る者としての知性を感じた。

「しかし、それを実行できますか、今の日本国で?」

 そう、今の日本の政治体制に疑問をクローディアは投げ掛けたが、鉄郎はすぐさま返す。

「御安心下さい、その為に彼が同席しています」

 その言葉は、軍人の智秋の眉を歪ませた。

 万が一、鉄郎が交渉に失敗したら、あるいは交渉のそのカードとして自衛隊のクーデターも視野に入れている、と。そう、含みを入れる鉄郎。

「それに、もし彼が動かなくても――僕には僕だけの軍隊がいますから」

 そう、鉄郎は返す言葉で智秋すらも拘束した。

 智秋がもし動かなくても、動かざるを得ない状況を彼は作り出す。

 そう、智秋に告げていた。

 その言葉にクローディアは小さく笑って、鉄郎を促した。

 その促しに鉄郎が透かさず、一枚の紙を乗せた革製の書巻を取り出した。

 その高級紙の一番上には、金字でこう記されていた。



 ――『陰陽和親条約』、と。



「日陰者と日向者の邂逅と言うわけですね」

 皮肉を込めて言われたクローディアの言葉に、鉄郎はそのまま頷いて言葉を続けた。

「ええ、その通りです。ああ、しかしこれはあくまで保険。こちら側には彼――池田智秋の名前が記されています。これは現政権がこれを受諾しなかったとき用で、現政権が受諾の際は、そちらで記者会見付きでお願いします」

 そう鉄郎が何も包み隠さずいう言葉に、クローディアは頷いてそこに名を刻んだ。

 その名乗った名とは違う真名の名を、ここの一同は沈黙を持って見守る。

 それは相手の『本気』を物語っていたから――――。

「――これでよろしいでしょうか?」

「ええ、確かに」

 鉄郎は条約締結を証明する書を受け取り、厳重に仕舞い込んだ。智秋も相手用の物にサインし、クローディアと握手をして、今円卓会議の目的は達せられた。

「これで我々の新たな未来が開けましたね。――ところで、訊きたくなったのですが、なぜこの条約を受け入れたのですか? 貴方達には月女さんのような吸血鬼(ヴァンパイア)化した強大な味方がいます。その彼女らを矛に人間達を黙らせることも可能なのでは?」

 そんな身も蓋もない鉄郎の言葉に、クローディアは小さく頬笑み、回答を示した。

「力で黙せば、我々もいつか力で黙されるだけですよ」

 その達観した言葉に、鉄郎は微笑んで言葉を斬り込んだ。

「そうですね――吸血鬼(ヴァンパイア)化している者達がいつか科学に敗れればそれまでで、今度は自分達が支配される側に回ってしまう。そして古代のような民族浄化という名の民族レイプをされるのでしょうね。貴方達の遺伝子は非常に興味深いですから――男は殺され、女はレイプされ子を産まされる。そして子は研究室の奴隷に(モルモット)。非常に簡単に想像できる未来ですからね」

 その鉄郎の言葉に眉根も動かずにクローディアは微笑んだ。

 智秋とクリストファーはそれぞれに鉄郎のその言葉を視線で諫めた――が、鉄郎は肩を竦めてそれに応じるだけだった。さらに言葉は続けられる。

「だから、超能力なんて力をわざわざ示した――自分達を甘く見るなという意味と、自分達は未知なる力を持っている、と言う二つの意味を示すために――例え、ハッタリに見えようともそれを断行したのは、そういう意味でしょう?」

 その言葉にクローディアの眉根が僅かに動いて、うっすら笑みが消えた。

「我々は貴方達の超能力が我々の常識外だと認める代わりに、同時にそれがハッタリでないと証明する術も失いました。当然です、我々の常識外なのですから」

「そうした反応を取られても仕方有りませんね」

 そう、ようやく口を動かしてクローディアはゆるりと笑みを浮かべた。

 その笑みはとても硬質なものだった。

「しかし、それが例えハッタリであろうとなかろうと、我々がそのどちらとも証明できない限り、我々は貴方達の力に畏怖を感じざるを得ない。それは我々の関係に大きな抑止力となるでしょう」

「あら、それではパワーバランスが取れませんね。貴方達もまた、わたくし達に対して『魔法少女』という抑止力を持っていることを示さなくてはいけませんよ」

「さあ、どうでしょうね。魔法少女と言っても、ここに同席しているハーマイオニーちゃんは、我々の国の者ではありませんから、永続的な抑止力とは言えませんね」

 その言葉に、この場の抑止力としてのハーマイオニーがにこりと無邪気を装って微笑んだ。

「おや、そうですか――でも、こんな噂を聞きましたよ。何でも、先日、現在の問題を引き起こした最初の魔法少女(ファースト・ウィッチガール)の保護に成功したとか?」

 あくまで噂ですが――と、クローディア。

 彼女の攻めの言葉に鉄郎は眼鏡のブリッジを持ち上げてから応えた。

「それはあくまで保険ということで。ほら、核兵器もその軍艦に搭載しているか否かこそが最大の抑止力、と言いますからね」

 そう言って頬笑む鉄郎にクローディアも頬笑み返した。

 月女が小さく「あくまで我々に対しても対策済みと言うことか」と疲れていた。

 どうやら彼女にはこの場の政治的な空気が苦手らしい。

 お互いにお互いリスクに成り合う故に、対策はそれぞれに打っている、と。

 ここには『政治の世界』があった。国家に真の友人などいない、と言うことだろう。

「――ところで、これをどのように実現するおつもりなのですか?」

 そのクローディアの素朴にして今回の肝の話に、頬笑みを絶やさず鉄郎はいった。

「御安心を。頼れる人が居ますから」

 これで十分な説得材料となります――と、鉄郎は条約締結書を示して笑んだ。



 それは現在の政治中枢に深くコネクションを持つ、安部冬実を示していた。

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