奥義取得
ここは、真那備王国辺境にあるブンケイ領コクゴ国カンブン村。
そこを治めるのは、ブンケイ王子の軍師でありコテン達のお兄さん的立場であるカンブンである。
彼が住んでいる城とはいえない山小屋には茶髪で長髪で端正な顔立ちだが派手でな雰囲気はなく逆にもの静かで落ち着きを持っている雰囲気のカンブンがもの静かにいる。その静けさをかき消すように一室にある魔法陣が光だす。
ボワーンとなったかと思うとそこには、まずはコテンが紫の光に包まれながら現れる、続いてジテンも同じく現れる。
「ふう~なんとかついたな。」安堵するコテン
カンブンを見つけたコテンは振り向く「にいさんひさしぶり」
そこには、頼りになる兄さんに会えた安堵感があった。
「カンブン兄さん会いたかったわ」急ぎ足でカンブンに向かい抱きつくジテン。
「どっどうしたんだ二人とも。」事情を知らないカンブンは、いきなりの来訪に驚いた。
「実は・・・」神妙な面持ちで今までのいきさつを語りだすコテン
いつしか語り終わった三人は机に座って神妙な面持ちになっていた。
「そうか、コブン村がそんなことに・・・」話を聞いたカンブンは見た目以上にショックを受けていた。
「わかった、コブンじいさんには恩がある。それに、いつこの村もリケイ軍に狙われるとも限らん。」
「それじゃにいさん」コテンは期待を込める。
「ああ、おまえに奥義を授ける。」カンブンは決意にこたえる。
「やったわね。これで将軍を倒せるわ」楽観的に考えるジテン。
それを抑えるカンブン
「コテン、甘くはないぞ。奥義の強さはおまえの強さに比例する。たとえ奥義を身につけたとしても今のおまえのレベルではそこらの獣にすら容易に勝てるものではないぞ。最初はひたすらレベル上げに専念するしかないだろう。わかったか?」
「こくっ」大きく頷くコテンであった。
「よし、早速だが魔方陣の中心に行け」
コテンは先ほど到着した魔法陣の中心に立つ、コテンに向き合いカンブンも立つ。
「よし、準備はいいな。」
「はい」
「よし、それでは強くなりたいと集中して念じるんだ。」
「強くなりたい!」を念じ続ける。
カンブンは続けざまに、古典の助動詞の問題をといつづける。それに答えるコテン。
そして、カンブンは、「るらるるらるすすさすしむずじまほしまほまほしきけけりつぬたりけむたし!はあああああああ」と呪文を唱えると。
コテンのまばゆい光につつみこまれる。「うわああああああああああ」叫ぶコテン
心配になったジテンは、思わず叫ぶ。「コテン!」
呪文を終えたカンブンは冷静に「これで、お前は奥義を会得した。レベル1のおまえは、まだ、助動詞四段活用しか使えんがな、これからレベルをあげるにつれ他の技も使えるようになるだろう。」
あわてて、近づくジテン。「コテンなんともない?」
冷静になったコテンは、「ああそれどころかとてもいい気分だよ。」
カンブンは、助言を与える。「奥義が使えるにも限りがある体をよく休めるように心がけるんだ。それからジテンおまえも力を身につけてもらうぞ。」
「えっ私も奥義を!?」
否定するカンブン「いや、奥義ではないが、この古語辞書を読んで技が出せるようにする。自分の身は自分で守れるようにしておかななくてはな。そのためには、しばらく試練がいるがな。」
前向きなジテン「わたしやるわ、足でまといじゃなくてみんなの役にたちたいもの」
見上げた心意気である。
カンブンも感心し「そういうことだコテン。しばらくこもるからおまえはしばらく外にでてくれないか。」
「ああわかったよにいさん。」なっとくするコテン
早速勉強に入るジテンは、「うーんこの本読みづらい」と四苦八苦していた。
邪魔をしちゃいけないとコテンは部屋の外へでる。
外は、複数の家と村人がいた。ひとりずつ話しかけるコテン。
年配の女性からは、「まあコテンじゃないの、見ないうちにずいぶん成長したわね。そうだ、疲れたらこれを使って元気だしなさい。」おやつを五つももらった。おやつは、体力回復に使えるアイテムである。
また、話しかけると「ここはあまりかわってないわよ」との返事。
年配の男性に声をかけると「おおコテン元気か、いいものをやろう」とデザートをもらう。デザートは奥義をつかうための力を回復できる。「わしはいつも元気じゃ、わはは」と答える男性。
こどもに話しかける。「きゃはは、きゃはは」元気にかけまわっている。
カンブン村の長老格が声をかける。「おやまあコテンじゃないか、立派になったのう。ほれ、そういや幼馴染のジテンはどうしとるんじゃ?」
元気にしていると答えそうなときに、カンブンの家の玄関先で泣きそうになっているジテンが見えた。心配になり近づくコテン。
ジテンは、涙をこらえながら、「ふっふえええん、もう耐えられなあい。」
「どうしたんだジテン?!」理由を聞こうとすると、
「それは・・・」
おうむ返しでコテンも「それは・・?!」
「それはその・・・」
「うんそれは」
とつぜんジテンが暴走する。「もういやあ。どいて!」コテンを突き飛ばす。「うわあ!」
ジテンはコテンをつきとばするやいなや、わめきながら村の外へ走りだしてしまった。「うわあああん」
ふっと呆気にとられるコテン「一体何が!?」
後から出てきたカンブンに問いただす。「にいさん一体ジテンに何を!」
カンブンは冷静に「心配するな。本があまりにも難しいので混乱しただけだ。しばらく、頭を冷やす必要があるだろう。」
コテンも冷静に、「まあ、ジテンのおつむじゃちときついかも・・・。」
「おまえは知る必要のないことだ。それに、もうジテンは無事初期技を会得したからな。あとは、れべる上げ本を読み続ければ技も増えるだろう。」あくまで、ジテンも問題なのでコテンはコテンでそれぞれレベルを上げるしかない。
「・・・」(まあジテンのことだからすぐにもどるだろうけど・・・)多少心配はあるが、ジテンの性格をよくしっている幼馴染であった。
長老格はつぶやく「なんじゃが世の中が騒がしい感じじゃ。不安じゃのう。」