#2 その姿を探して
「はぁはぁ。橘さん歩くの速いよ!」
そんな独り言をつぶやきながら商店街を早足で駆け抜ける。橘さんはかなり先にいるらしくまだ見つけられない。気がつくと俺は緒海郵便局前にまで来ていた。年賀状購入を勧める旗が風に揺れている。一瞬、年賀状買おうかなとも思ったのだが、今はそれどころではない。橘さんにこの写真を返さないと。
「こんにちは早見君。久し振りじゃの。もしかしてキミも年賀状を買いに来たのかの?」
突然郵便局から出てきたおじいさんに話しかけられた。よく見るとそこには近所に住む佐武郎おじさんがいた。
「いえ、そうではないのです。実はさっき写真を落とした同級生の橘さんを探してまして。緒海商業高校の制服を来た女性なんですけど」
「緒海商業高校の女子生徒?う~ん、見なかったのぉ。それにしてもキミは手紙を拾ったり写真を拾ったりといろいろ大変じゃのう」
「はは、そうですね」
俺は笑いながらその言葉を受け流した。たしかにそれは事実だ。
「わかった。佐武郎おじさんありがとう。もう少しこの辺りを探してみるよ」
「おぉ!そうか。人探し頑張れよ若いの!」
佐武郎おじさんは手を振っていた。その姿を横目で追いながら俺はまた走り出した。
***
郵便局を後にしてから15分ほどたった。結局俺は橘さんを見失ってしまった。手には彼女が落とした1枚の写真。やっぱり大事な写真なのかなこれ。俺にとってハンカチが大切なものと同じように橘さんにとってもこの写真は大切なものだろう。
学校で返そうにも今は冬休みの最中、そうもいかない。もしかして、今ごろ橘さんこの写真を探してるのかな。そう考えると胸が苦しくなった。せめて、携帯の電話番号さえわかればなぁ。しかし、残念なことに俺は彼女の携帯番号を知らない。
「あっ!」
その時、良い案が浮かんだ。幸いにも俺は文化祭の元実行委員長の携帯番号なら知っている。同じ委員同士の彼なら橘さんの連絡先を知ってるこもしれない。
思い立ったらすぐ行動。
この言葉は優紀さんとの出会いを通じて学んだ言葉だ。俺はポケットから携帯電話を取り出して文化祭元実行委員長、蓮場総司に電話をかけはじめた。
ちゃんと電話に出てくれればいいのだが。




