表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

#1 落ちたハンカチ

*主役紹介*


早見哲雄はやみてつお

鈍い男…。略して鈍男というニックネームをつけられていたが、実はやればできる男。今回はある騒動に巻き込まれる。


 冬が深まる12月下旬。商店街を慌ただしく人々が行き交う。俺が住むここ緒海市もクリスマスが過ぎ次のメインイベントであるお正月を迎えるために大掃除や年賀状の準備やら大忙しだ。

 あの図書室で二人が結ばれてから早一ヶ月。交際は順調だ。しかし彼女は今、日本ではなくイギリスにいる。それがとても残念だった。でも、来年の正月明けには帰ってくるのでそれがとても楽しみでもあった。帰ってきた時、なんと声をかけようかな。彼女の好きなクルリのシュークリーム買ってこようかな。そんなことを考えながらフラフラと商店街を歩いてた時だった。


「これ、落としましたよ?」

 ふいに肩を叩かれそう声をかけられた。

 驚いて振り向くと一人の女性がハンカチを持って立っている。


「今、このハンカチ落としましたよ」

 二度言われて初めて気がついた。俺がハンカチを落としたことに。


「あっ!ありがとうございます!助かりました」

 感謝の気持ちを素直に伝える。彼女のおかげで大事にしてたお気に入りのハンカチを無くさずに済んだ。ある雑誌の懸賞で当たったプレミアムハンカチ。これは本当に大切なものだ。それと共に俺はあることに気がついた。彼女の着てる制服。これは緒海商業高校のものだ。特徴的なピンクのリボンを見た瞬間、すぐにわかった。


「もしかして、あなた2組の早見君?」

 俺の顔を見ながら彼女はそう言った。あれ、もしかして俺のことを知ってるのだろうか。しかし、俺は彼女のことを知らない。誰だろう。


「あぁ!やっぱりそう。私、2年1組の橘梓たちばなあずさと言います。あなた文化祭の実行委員にいたでしょう?私もそこにいたのよ。あの時はお疲れさまでした」

 彼女はそう言いながらペコリと頭を下げた。綺麗に整えられたポニーテイルが風に揺れる。その瞬間、「あれ、この子可愛いな」と心の中で思った。俺には優紀さんがいるにも関わらずだ。そして、彼女の話を聞いて思い出した。この子、実行委員の会議の席で俺の隣に座ってた子だ。そう言えばあの時もポニーテイルだったっけ。


「はい、これハンカチ。次は落とさないでね。それじゃあ私、急いでるから。またね」

 橘さんは手を振りながら商店街の奥に走っていった。その姿を俺はずっと見ていた。そして俺も歩き出そうとした時だ。あれ、下に何かが落ちている。最初、ポケットティッシュかと思ったのだが、手に取ってみるとそれは裏返しになった1枚の写真だった。誰が落としたんだろう。俺は拾い上げて見てみた。写真には灯台をバックにして二人の男女が微笑みながら写っている。男性の方は知らない。でも女性の方はさっきの女性、橘梓だ!


「あぁ、もう。橘さん写真落としましたよ~!」

 俺は商店街の奥に消えた橘さんを追いかけた。

 この先は緒海郵便局だ!

 あれ、この光景前にどこかで見たような。

 いや、たぶん気のせいかな。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ