人との出会い
人間になりたかった。
いつも茂みの影から見る、異様だけど面白い形で胸を躍らせるあの布が…なんかうらやましかったんだ
___________1話 人との出会い
『〇月〇日。空は白いモノがただよってる。今日はナシャを怖がる人間はいなかった。これを書いてもう80日程経つからか、ナシャが記録してる紙の塊がなくなりそう。』
ナシャは蛇女だ。彼女(蛇)は人間が落としていったノート(紙の塊)にどこかで拾ったペンで誰に教えてもらったか知らない日記、というものを書き始めていた。
「あー!せっかくやること見つけたのに…無くなりそう…あ」
そうブツブツ言っていたナシャの隠れていた草の茂みに人が…人間が近づいてきた。ナシャはこれでも蛇女だ、殺されないように人間に見つからないよう隠れていたはずだった。
「…見つけた」
「…殺すのか?ナシャを」
ナシャは今更だが日本語が話せる。蛇女だから。そんなことより今は目の前の人間だ、目の前の人間がナシャに向かって話しかけていた、まるで自分は仲間だ、と言うように
「人間、好きか?」
「なんなんだ、あんた。急に話しかけてきて。ナシャに用があるのか?」
急に人間の話をされて、焦っていた。何故焦っているのかはわからなかった。でも焦っていたのだ…彼も人間なのに
「…俺は、君の願いを叶えたい」
そう言って彼が、怪しい男が差し出したのはネックレスだった。黒い十字架のついた少しかっこいいネックレス。
「…?願い?」
初めて見るその物体に興味津々のナシャだった。願い等ない、私は平和に暮らせれば…そうナシャは思っていた。
「願いだ。君は人間に憧れている、人間になりたい。人間のように走りたい。人間のように洋服をきたい。…そう思っているんだろう?」
何を言っているのかわからなかった。ナシャはそんなこと微塵を思ってないつもりだった。そう、思ってない『フリ』をしていたのだ。人間の真似事をして日記を書いてみたり、好奇心で人間を脅かしてみたり、そして布を羽織ってみたい(洋服)と思っていたのだ。人間になりたいとも…少なからず思っていた。
「…叶えたい?君の、その願いを」
「叶えて、くれるのか?ナシャは種族がそもそも違う。どうやって」
「…そのネックレスが持っていれば君の願いは叶え続けられる。それを首にかけて朝を迎えてご覧?」
…ナシャは半信半疑のままそのネックレスを貰い、男と別れた。
「なんなんだ…あの男…ネックレス…?」
興味を抑えられずには居られなかった。少し、少しだけ…とつけて見ているあいだにナシャは眠りに落ちていった。
アドバイスなどがありましたらよろしくお願いします。