第3話
「マークさん起きてください」
どうやらケンタは早起きのようだ。
太陽の位置から察するに昨日と同じくらいだろう。
食卓へ着くとサラダが盛られていたサラダの上には薄く切った肉をさっと茹でたものが乗っているようでドレッシング?とか言うモノをかけて食べるそうだ。
さっぱりとした酸味のきいたドレッシングと野菜と肉をパンで挟み豪快にかぶりつく。
相変わらずケンタの作る料理はうまいな。
飯屋をでも生きていけるんじゃないだろうか?そんなことを考えながら今日の予定を決めて行く。
取りあえず武器やからだろう、武器屋が空くのは昼過ぎからなのでまだまだ時間があるというと「じゃぁ稽古をつけてください」と言ってきた。
人に教えられるような剣術ではないが、まぁ自分の鍛錬にもなるだろうと思い了承して手ごろな棒を2本用意して近くの広場へ出かける。
先ずは好きにしてみるといいと伝えると、両手で棒を握り体の正面に構えた。
見たこともない構えにこちらは、右手で棒を持ち相手に対して半身で構える。
メーン!
と言う掛け声とともに距離を詰めて上段から振り降ろされる棒をぎょっとしながらも何とか躱してカウンターで腹に寸止めをする。
それから昼までみるみると上達していくケンタに負けまいと打ち合っていると俺のステータスプレートが光った。
ステータスプレートの光は本人にしか見えないようになっており一瞬気を取られたところにケンタの攻撃が決まり負けてしまった。
プレートを確認すると剣術の☆が3つ目に到達していた。
どうやら次の段階に進めた用だ。
ケンタもプレートを見ると剣術が取得出来ていたようで嬉しそうに見せてきた。
相変わらず★の数が10になっている当たりは、彼の才能の現れなんだろう。
汗を拭いて武器屋へと向かう。
ドワーフの親子の営むその店「太陽のトゲ」は、ドワーフのダイムさんが鍛冶技術をつぎ込んで作り上げた珠玉の武器が並び看板娘のエイムが今日も店先で呼び込みをしていた。
「おっす、エイム今日もかわいいな」
「なにいってるだ、マーク!もう武器壊しただか?」
からかいながらケンタと店に入る。
「どうも、ダイムさん」
「ん?研ぎか?」
「んー違うけど、ついでにお願いしちゃおっかな。
で、こいつなんだけど」
そういってケンタを紹介する。
「お、昨日の兄ちゃんじゃないか」
どうやら昨日の依頼の中にダイムさんのも有ったらしく知り合いのようだ。
「なら話は、早い。
こいつが、今日からEランクになるから良さそうな武器を見繕ってやってほしんだ」
「そういう事か、まぁEランクならそこのタルの中にある奴からでも選んでみなどれも銀貨1枚だが、Eランクが持つには悪くない出来のモノがそろってるからな。」
愛用の剣を渡して研ぎを頼んで一緒に見て回る。
因みにこの剣は、Dランクになった記念にダイムさんに頼んで打ってもらった逸品だ。
ケンタは、言われた1本銀貨1枚剣が沢山さしてあるタルの1本1本じっくり見ていると10本目くらいで、あ!と声を上げてそれを手に取り素振りを少ししたあと
「これにします」
ダイムさんは、目を見開きケンタと剣を交互に見た後
「ほう、良い目をしているようだな、で振ってみてのバランスはどうだ?」
「んーもう少し柄が重い方が、使いやすいかな」
「そうか、貸して見な」
そういって手に取り柄の部分に手を加えた。
「これでどうだ?」
「うん、いい感じだと思います。
でもこれ、銀貨1枚でいいんですか?」
「ああ、それは一種の遊びみたいなもんでな」
「そうですか、じゃ遠慮なくこれを下さい」
そういって銀貨1枚を渡した。
購入した武器は、長期間タルの中にあったので整備してから渡すという事なので、俺の剣と一緒に後で取りに来ると言って防具屋へと向かうことにした。
道中、気になっていたことを聞いてみた
「そう言えばなんで、それを買うとき躊躇してたんだ?」
「えっとですね、あのタルの中であの剣だけ特殊効果があるものだったんですよ。まさかテンプレ的な結果になるとは思いませんでしたが。」
「てんぷれ?はよくわからんが、なるほど武器を見る目があればあの中からそれを見つけることが出来るという事か、ダイムさんもそれを見分ける者がいるかを楽しんでいたってところかな」
「みたいですね」
そんな会話をしていると行きつけの防具屋「セスタール」に着いた。
ここは、服から鎧、盾まで何でもそろう店主のクロナさんが営むお店だ。
デザインの良さからセスタールブランドと言う服がほかの服屋などでも売られたりしていてそっちの収入だけでも生活できるほどだそうだ。
「どうも、クロナさん」
「あら、いらっしゃいマー坊」
「もう、マー坊はやめてくださいって言ってるじゃないですか」
「今日は、そちらの可愛い坊やの服でも買いに来たの?」
「そんなところです。じゃケンタ言って来い」
「え?あ、はい」
それからは、着せ替え人形を得たクロナさんが様々だ服や防具を持ってきてはケンタに着せていた。
やっとクロナさんが落ち着いたのかケンタが気に入ったものを見付けたのかは分からないが、出会った時の様な白と黒の上下に皮鎧を着ていた。
「ソレに決めたのか?」
「ええ、デザインも気に入りましたし性能もいい」
「ねぇマー坊この子、もしかして鑑定持ち?」
「へ?いや知らないが?」
「鑑定ですか?そういえば、さっき武器屋で…モガッ」
慌てて口を押えてケンタを黙らせて、小声で話す。
「いいか、前も言ったがスキルのことはあんまり漏らすな。これはお前のためでもある。いいな」
首を縦に振るケンタの口から手を退けると
「ふ~ん、そういうことなんだマー坊」
残念ながらクロナさんにはばっちり聞かれていたようだった。
「あの~クロナさん?出来るだけ…」
「大丈夫よ、私の口が堅いことは知ってるでしょ!」
食い気味に大丈夫と言ってきたクロナさんに不安になるが、ここは信用しておこう。
装備が一応整ったので再度武器屋「太陽のトゲ」へ行き預けていた剣を受け取りに行く。
「おう待ってたぜ、ケンタ。
これが、お前のだ。ついでに鞘も付けといてやったぜ」
「ありがとうございます。でもコレって?」
見るとそこには、先ほどの剣のようだが柄部分が変更してありタルの中にあった時とはつくりから違うように見えた。
「おう、その剣の柄は元々それなんだが、タルの中にそのまま入れてたら直ぐにバレちまうからな交換しておいた。っと言っても武器のバランスも分からん奴にはそのまま渡すつもりだったがな」
なるほど、あの質問が最終試験だったのかそして正解を答えたから本来の柄に戻したのだろう。
ケンタは武器を受け取り嬉しそうに皮鎧の腰部分にあるベルトで鞘を固定する。
俺も預けていた剣を受け取り代金を払って店を後にする。
「じゃ準備も終わったところで、ギルドに言ってEランク申請と依頼を受けるか」
「そうですね、早くいきましょうマークさん」
そういうと、俺の手を掴んで走り出すケンタ想像以上の力に引っ張られ下手すると引きずられるんじゃないかと言う速度になんとか喰らいつき走ってギルドに到着した。
ゼエゼエ言いながら受付に行きマリアさんにケンタを任せてEランクのボードを確認する。
Eランクからは、町の付近の害獣の駆除や採取などがメインになってきて戦闘経験が無い者はここで躓く事がある、ぶっちゃけ俺もここで6年ほど躓き、鍛えなおすために剣術の修行に明け暮れた時期もあった。
初めての先頭に良さそうな害獣駆除の依頼を探していると後ろから声を掛けられた。
「マークさん、手続き終わりました。これで僕もEランクですよ」
そう言って嬉しそうにステータスプレートを見せてくるケンタに
「おう、じゃこの中から受けてみたいのを選んでくれ」
と見繕っていた依頼を見せる
「えーっと、どれにしようかな。ポロス鳥にアシュナー?
マークさんこのアシュナーってのは何ですか?」
「アシュナーってのは、お前が布団代わりにしてる毛皮の持ち主だ。
群れで襲われたらCランクでも苦労するそうだが、一体一体はEランクでも大丈夫だ。
その依頼は、2匹分の毛皮の納品だからついでに毛皮のはぎ方なんかも教えてやれるぞ」
「なるほど、イヌ科なのかな?」
また謎の単語が出てきたが、ソコはスルーだ。
「後は、このヘムヘロっていうのはどんなのですか?」
「ん?ヘムヘロはヘムヘロだ。なんていうか…そうだな。
体には、足が無くてだな1m位の体をくねらせて動く生き物だ、この辺のには大した毒を盛ったやつはいないが森の奥なんかにはもっとデカくて死ぬような毒をもつ者もいるらしい」
「ヘビかな?」
如何やら、此方の生き物を自分の世界での生き物に当てはめているようだ。
「気になるんなら、今度図書館にでも行ってみるか?」
「図書館!ぜひ、ぜひ行きます」
ものすごく食いついてきた、本なんて読んで楽しいのか?
「まぁ、図書館は今度だ。それでどうする?」
「そうですね、それではこのアシュナーにします。」
「そうか、じゃあ受付に行ってきな」
「はい」
そういうと、依頼表を持って受付に並ぶケンタ。
この時間は、ギルド内の人も少ない大体の冒険者は、朝一で依頼を受けて夕方に報告することが多いので昼過ぎにはがらんとしていることが多い。
直ぐに受付を済ませて帰って来たので、一緒に門へと向かう。
「あれ?今日は一緒なんですか?」
「ああ、初めての戦闘は危なっかしいからな。俺も初めての時は、先輩が付き添ってくれたもんだ。」
「そういうもんなんですか、よければ今度、その先輩とやらの話を聞かせてくださいね」
「ん?そうだな、気が向いたらな」




