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異世界の人々(仮)  作者: 溶ける男
第1章マークの場合

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第2話

コンコンッ

「マークさん起きてください」

ノックの音とそんな声と共に目を覚しドアを開けると

「おはようございます」

「ん?ああ、おはよう」

ボーっとしていると台所の方からいい匂いが漂ってきた。

「朝ごはん出来ましたから食べましょう」

「作ってくれたのか?」

匂いに誘われるまま席に着くとケンタが料理を持ってきた。

この辺りでは朝に食べる習慣は無く、昼と夜くらいにしか食べないのだが折角用意してくれたのだからと一口食べると

「ウマい!」

「よかった、お口に合って」

それにしてもこの肉はどうしたんだろう、こんなの家にあったか?

聞くと、干し肉を戻して作ったんだとか。

俺が、作っても塩辛いスープとパサパサの肉にしか成らないあの干し肉でこんなにうまい料理が作れるとは本当にケンタは何者なんだ?

「そういえばさっき料理してたらスキルプレートが光ったんだけどなんか知りませんか?」

モグモグ、ゴクン。

「ん?確認してみたか?」

「いや、まだです。

 えーっと、お!新しく料理ってスキルが追加されました。」

「へ?マジで?」

見せられたプレートには確かに料理と書いてあり相変わらず星が10個並んでいた。

「何だお前才能の塊か?」

「へへっ!本当にチートだ、これは」

満面の笑みでそんなことを呟いているケンタを眺めながら食事を済ませて今日の予定の話を切り出すと

「ところで、マークさん。

 銀貨1枚ってどれくらいの価値があるんですか?」

そういえば、お金を持っていない上にこの辺りのことは知らないんだったな。

そう思って、机の上にお金を並べる。

「まず、銅貨、銀貨とここにはないが、金貨と白金貨というものがこの国の通貨だ。

 硬貨が一つ上がると100倍の価値がある。まぁ銅貨100枚で銀貨1枚だ」

「じゃあ昨日の晩ご飯は、いくらだったんですか?」

「一人銅貨7枚だな」

「採取依頼の報酬は?」

「銅貨60枚だ」

「この家の家賃は?」

「ひと月が銀貨8枚だ」

と答えると少し悩んだあと

「10000円くらいか」

とつぶやいた。

「昨日の保証金と登録手数料は取りあえずお返ししたいんですが、どうしたらいいですかね?」

「ん?ああ、そのことか。昨日も言ったが、気にするな」

「そうは言っても、親から出来るだけお金の貸し借りはするなときつく言われてるので」

「そうか、取りあえずギルドに登録したんだからそこで稼いでみるか?」

と言うと目をキラキラさせ出した。

その恰好では目立つので俺のお古を貸して、ギルドへ向かう。

Fランクの依頼が貼ってあるボードを見て落胆するケンタ。

Fランクは町の中がメインのお使いや草むしりなどの手伝い、ペット探しなどで報酬もお小遣い程度なのだ。

それでも、まずはこの町に慣れることが大事で様々な依頼をこなすことでこの町の人に先ずはケンタを覚えてもらう事が大事だと説得し別れて、俺はDランクのボードから採取系の依頼を探す。

剣術は一応使えるが、家が農家だったこともありスキルに採取があった為採取系をメインにやるようになった。

Dにもなると下級魔物や害獣の駆除など報酬の良いモノが増えてくるがそうしたモノにほかの冒険者が飛びついて採取系は残り勝ちになる。

安定した収入と安全性で考えると採取が一番なのだ。

昨日と同じナオール草の採取ともう一つ、シビレ草の採取の依頼を受けて町を出る。

森へ着きいつものように出来るだけ気配を消して、周囲の動物などに気付かれないようにして対象の薬草を探す。

今回受けたシビレ草はマヒ薬からマヒ治しにも使える薬草で結構高値で取引されるのだ。

以前群生地を見つけていたが乱獲はしないで依頼が出た時だけ採取するようにしている。

余り多く持ち込むと値崩れして懐に大打撃をこうむるからだ。

必要なだけを各種採取して専用の袋に入れて森を後にする。

いつもより静かな気がしたが、気のせいだろう。

森までは往復で4時間かかってしまうので道中の襲ってきた魔物や晩飯用にポロス鳥を2羽ほど仕留めて町へと到着した。

ニコルに挨拶をして門をくぐりギルドへ向かう。

中に入るとチョットした騒ぎが起きていた。

何でもFランクの依頼がすべて完了してしまったんだとか嫌な予感がしつつ騒ぎの中心に行くと案の定ケンタがいた。

「なにしたんだ?」

「あ!マークさん」

やじ馬たちが一斉にこっちを見る。

慌てて駆けより小声で話す。

「おい、どうなってんだ?」

「え?いや、ちょっと張り切りすぎちゃいました」

後頭部をかきながら申し訳なさそうにそうつぶやく。

何でも最初は1つ2つで終わらせる予定だったのだが、楽しくなってきてお使い系を済ませた後に草むしりなどのお手伝い系を身体強化のスキルで強化した体で一気に終わらせて、探し物などは直感にことごとく引っかかり直ぐに見つけだすという荒業で普通は1ヶ月くらいを目安に出していた以来の数々を平らげてしまったのだそうだ。

「いや、ちょっとじゃ無いよ!

 そもそも、マリアさん途中で止めてあげてよ」

「え?楽しそうに依頼を受けて行くもんだからついね」

ついじゃないよ、ついじゃ。

取りあえず集まった野次馬たちには散ってもらって、自分の依頼の品を渡す。

「マリアさん、因みにケンタはどうなりますかね」

「そうですね、依頼達成数的にはEに上がることになるんですがこの速さは異例ですね」

「やっぱりですか、俺なんか半年もかかったのに」

「そうですね、まぁ才能ですかね?」

「ん?もしかしてアイツのプレート見ました?」

「当然です。登録の際にばっちりと」

「そうですよね…えーっと、出来ればあんまり大事にはしたくないんで内密にして貰うわけにはいかないですかね」

「もしかして、何かよからぬことを考えてますか?」

一瞬にしてこちらを見通すような目つきに変わるマリアさん、周りの空気が冷たくなるのを感じる

「へ?いや、違いますよ。アイツこっちに来て楽しそうなんで面倒事に巻き込んでほしくないとかそういうたぐいのお願いですよ」

「そうですか」

元の笑顔に戻り、温度も戻る。

ふぅっと胸をなでおろしながら息を整え

「じゃそういう事なんでよろしくお願いしますね、マリアさん。」

「えぇ分かりました。あとこれ本日の報酬です。」

依頼の報酬を受け取りケンタと合流する。

「何を話してたんですか?」

「ん?お前のことだよ」

「そうですか、ところで今日の晩ご飯はどうしますか?」

「これを取って来たんでお前に作ってもらおうかなと」

そういってポロス鳥を取り出す。

「これは?」

「昨日食べた、ポロス鳥だ」

「へーニワトリに似てますね」

「ニワトリ?」

「僕の住んでた国では結構ポピュラーな食用の鳥です」

そんな話をしながら、付け合わせや調味料を買うために市場に向かう。

ケンタは、ショウユは無いのか?とつぶやきながら一軒一軒探していくが残念ながらなかったようでしょんぼりしながら家に着いた。

羽根むしって肉として使えるようにしたポロスを部位ごとに切り分けていく。

骨からだしを取ったスープに一口サイズに切った野菜と肉を入れて一煮たちさせて完成。

「鶏がら鍋にしてみました。」

少し白濁したスープに香味野菜が浮かび、絶妙な火の通り具合の肉に舌つづみを打ち鍋を平らげると最後に何やら白くて細長いモノをスープに入れて行く。

「なんだそれは?」

「これは〆のうどんです」

うどん?聞いたことが無いな。

まぁケンタが作るものはどれもおいしいだろう。

スープに浮かぶうどんと呼ばれる白い物体をフォークで絡めとり口へ運ぶ。

もちもちとした触感とスープの絶妙な味わいが癖になる。

「ウマいな」

「ありがとうございます。」

結局ポロス鳥一羽分とうどんを食べて、もう一羽は明日の朝に取っておくことにした。

食事の片付けを終えて机に着くと、ケンタから銀貨2枚を渡された。

「本当に今日一日で稼いじまったのか。でも受け取るわけにはいかないな」

「なんでですか?」

「いいか、今日の働きでお前の冒険者ランクがEになることになった。

 Eランクからは、町の外での依頼が増える。

 先ずは、装備を整える必要があるだろ、そのために使え。」

「わかりました。」

「ところで、何か武器を使ったことはあるのか?」

「そうですね、学校の授業で剣道はやったことがありますけど」

学校?剣道?また分からない単語が出てきたな。

「そうか、じゃ明日は武器屋にでも行って手に合う武器でも探してみるか」

「武器屋ですか、やっと異世界モノっぽくなってきたな」

そういって目をキラキラさせるケンタに少し不安を覚えるのだった。 

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