第1話
放っておく訳にもいかず、生きていることを確認して目が覚めるまで近くで様子を伺う。
一応町の付近と言うこともあって強い魔物は出ないが、それでも昼寝をして無事で済むほど安全ではない。
「んっ」
どうやら目を覚ましたようだ。
一応剣に手を掛けながら声をかける。
「目が覚めたか?」
その少年は、目をパチパチしながら周囲を見回した後、大きな声で
「イセカイキターーーー!!」
と聞いたことのない言葉で叫んで、何故かはしゃいでいる。
言葉が通じないのかもしれないと冷や汗を流しながら少し強めに剣の柄を握る。
「えーっと、言葉は通じるか?」
クルっと振り向き首を傾げる少年。
ダメか、どうしたもんかなと考えていると
「あ!はい。大丈夫みたいです。」
どうやら通じるみたいで一安心をして自己紹介をする。
少年の名前は、キリヤマ・ケンタと言うそうででケンタの方が名前だと言われた。
何でも、ニホンとかいう国からやって来たそうだがそんな国は聞いたことが無いよほど辺境にある国なんだろう。
あの雲の魔法で来たのかと問うと首を傾げて少し黙った後に道を歩いていたら穴に落ちて気が付いたら此処に居たらしい。
どうやら何か事故にでも巻き込まれて此処に転移してきたようだ。
転移魔法ってのは聞いたことがあるが余程高位の魔術師じゃないと使えないと聞いたことがある。
魔法と言う単語に反応して
「マホウキターーーー!!」
とまた騒ぎ出したケンタを宥めて取りあえず町へと向かうことにした。
門の前でステータスプレートは持ってるのか尋ねると少し考えた後に、何やら手帳のようなものを取り出して見せられた。
それは、高級な紙が束になっており最初のページに少年の顔が完璧に写し取られたような絵が貼ってあり見たことのない文字?が書かれ、外側も見たことのない色をした皮のような素材で覆われていた。
一抹の不安を抱きながら門へと進む。
「よう、マーク今帰りか?今日は遅かったな。」
「おう、ニコル今日も暇そうだな。」
「ん?ところで後ろの少年はどうした?」
門番のニコルに聞かれてケンタを紹介する。
やはりあの手帳?ではダメなようで取りあえずニコルには、ケンタのことは自分が保証すると言って保証金の銀貨1枚を支払い町へと入る。
ケンタは、ありがとうございますと言っていたが気にするなと言って、ステータスプレートを手に入れるために冒険者ギルドへと向かうほかのギルドでも取得できるのだが冒険者がいいとケンタが譲らなかったためこちらへ来た。
受付のマリアにケンタの登録を頼み手数料の銀貨1枚を渡して、俺は依頼達成の報告と採取品などの買取の為に専用の受付に向かう。
「チートキターーーー!!」
依頼品と買い取ってもらうものをカウンターに乗せていると、今日何度目かのケンタの奇声が聞こえてきた。
相変わらずなんて言っているのかは、分からないがなんか良い事でもあったのだろう。
お金を受け取り、ケンタと合流して何を騒いでいたのかを聞くとステータスプレートを見せられた。
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ケンタ・キリヤマ
冒険者ランク:F
スキル
魔法適正(火・水・風・地・光・闇・無)
身体強化☆☆☆★★★★★★★
魔力強化☆☆☆★★★★★★★
武術の心得☆★★★★★★★★★
魔術の心得★★★★★★★★★★
直感☆☆☆★★★★★★★
異世界言語☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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と表示されていた。
えーと何から話せばいいのか分からないがいろいろおかしい事だけは分かった。
因みに俺のスタータスプレートは、
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マーク・ガドランド
冒険者ランク:D
スキル
剣術☆☆★★★
筋力強化☆★★★★
採取☆☆☆★★
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スキル名の横にある星の数は基本的に5個で★が才能を表していて☆が現在の習得率を表している。
剣術で言うと才能的に5段階まで延びる可能性があるが今のところ2段階までしか発揮できていないということだ、これはどんなに努力しても死ぬまでに3までしか行かない人も居れば、壁を越えて6段階目に到達する人も居たりするためあくまで目安となっている。
そして星のない魔法適正は7大魔法属性の内その人が取得できる可能性がある属性が書かれていて才能があっても3つくらいがいいところだ。
まして火と水などの反属性は取得不可能とまで言われていたりするため7つ全てがそろうことは無いとまで言われている。
ケンタを捕まえて取りあえず飯を食いに行くことにする。
行きつけの食堂「クジラの髭」にやって来た。
この町の付近には海は無いのに何故かそんな名前を付けて基本的に肉料理と安い酒くらいしかないその店は、恰幅の良いグラントと言う男がが営んでいた。
「おう、マーク今日はどうする?」
「いつものを2人前で」
「ん?今日は珍しく連れがいるのか?」
注文とあいさつを交わして店の奥のテーブルに着くとケンタにいろいろ注意をすることにした。
「いいか、ケンタまずは俺のステータスプレートを見てくれ」
そういって懐からプレートを出してケンタに渡す。
「見て貰ったらわかると思うが、お前のステータスが異常なことはわかるな?」
「はい、なんとなく」
「さっき、受け取った時に「チートキター」って叫んでいたが、今までの流れから嬉しいことがあったのは分かるが、基本的にそういうところは出来るだけ隠した方がお前のためだぞ」
そういって少し説教めいたことを話していると料理が来た。
「何ですかこれは?」
「ポロスの肉と野菜の炒めモノだ、まあ食ってみろ。」
ポロスっていうのは、この辺に生息する1m位の鳥だ。
肉は、少し硬いが歯ごたえと肉汁の旨みがたまらなく食欲をそそるのだ。
ケンタも気に入ったみたいでがつがつ食べながら付け合わせのパンを齧っているが、時折「コメが喰いてぇ」と言っている。
食事を済ませて先程の続きを始める。
ステータスプレートには、非表示の機能があるので見られたくないスキルなんかは隠すことが出来る。
ケンタに今取得しているスキルは一通り非表示にするように伝えて冒険者として生きて行くための様々な心得を教えた。
メシ代を払い店を後にした後取りあえず家に招待する。
この町を拠点にして依頼をこなすようになってから宿では物足りなくなって安い家を1年前に借りたのだ。
普段は、倉庫代わりにしている部屋をケンタに使うように言って一緒に片付ける。
一段落したところで、ウトウトし始めたケンタに布団代わりに毛皮を渡して部屋を出た。
あの歳で突然、見知らぬ土地に飛ばされたと思うと色々疲れていたのだろう。
此方も特にすることもないので寝ることにした。




