『天使』を拾った
結構グロいというかエグい表現があると思うので注意してください。
この漆黒の闇のセカイ、『地界』に一つの宝石が降ってきた。
それはとてつもなく美しかった。この闇のセカイの住人、『悪魔』は美しいものに目がない。
その理由はこのセカイの大半が薄汚れた闇で覆われているからなのだが、その薄汚れた闇の中に、今、まさに美しき宝石が転がっている。
一体どこから降って来たのだろう?『地上』?いや、あそこもココよりはマシってだけでここまで美しいモノは存在していない。
ならば、あそこしかない。
そう、一切の穢れも許さない、美しくも残酷なセカイ、『天界』。つまり、コレはその『天界』の創造物、『天使』ということになる。
「なんで、こんなところに天使がいるんだ?」
『天使』は通常、『天界』にしか存在していない。
時々、『神』の命により『地上』に派遣されることもあるがこの『地界』に来ることは絶対にない。
もし、あるとすれば、『堕天』。しかし、『堕天』すれば、『天使』のもつ純白の翼は黒く薄汚れてしまう。だが、この『天使』の場合、片翼ではあるが純白のままだ。
「どういうことだ...?」
こんなことは絶対にあり得ない。だが、現に起きている。
というか、コイツは生きているのか?死んでいるなら『地界』に降り立つことも不可能ではないのかもしれない。
「うっ...ううん...。」
どうやら生きているらしい。
「おい、オマエは何故ココに存在している?」
返事はない。言葉が通じないのだろうか?
「オマエ、ワタシの言葉、理解出来るか?」
『天使』は軽く頷いた。どうやら意思疎通は出来るらしい。
「ならば何故ワタシの問いに答えない?」
「...質問の意味が分からない。何故僕はここにいる?ここは一体どこなんだ?」
どうやらコイツ自身、状況を把握できていないらしい。まあ、無理もないだろう。こんなことは絶対起こり得ないことなのだから。
だが、どうすればいい?『天使』と『悪魔』はお互いに干渉してはいけない決まりだ。何故か、は考えたこともなかったがとにかくそういう決まりだ。
しかし、ワタシとコイツは干渉してしまった。多分、ワタシはコイツを殺すべきなのだろう。
しかし、それは勿体無いと思った。
この美しき宝石は生きているからこそなんだと思う。死んだらただの生ゴミだ。かといってこのまま見逃すわけにはいかない。
いや、もう単純にコレが欲しい。ワタシだけのモノにしたい。今を見逃せば『天使』など、もう絶対に手に入れることが出来ないだろう。
だからワタシはコイツを飼おうと思った。絶対に逃げられないように手足を斬り落として鳥籠に閉じ込めよう。
そう思った時にはもうすでに実行していた。コイツの右腕を根元からもぎ取る。
「うがあああああああ!!!!イタイ!!!イタイィィィィ!!!!」
『天使』が泣き叫ぶ。だがワタシはお構いなしにコイツの左腕を自前の鋭利のような尻尾でゆっくり、痛みと恐怖を刻みながら斬り落す。
「ぐがああああああ!!!!!! ヤメテエエエエエエエエエ!!!!ヤメテエエエエエエエエエ!!!!」
『天使』はその小さな躰で必死にもがくが『悪魔』であるワタシの力の前では虚しくも全く叶わない。
「あとは脚...!」
ワタシがそうつぶやくと『天使』は必死に脚を引きずりながら逃げようとする。翼はワタシが掴んでいるので動かせないようだ。
「あはははははは!!!!ムダムダムダ!!」
ワタシはコイツの右脚、続いて左脚をふともも辺りで噛みちぎる。
「がああああああ!!!!!うぐぅ、ぐふぅごふうっっ」
どうやら叫び過ぎて痙攣を起こしているらしい。喉を詰まらせられても困るのでさっき斬り落したコイツの左腕を噛ませた。
「うぐぅ!!?ううー!!!」
「流石『天使』だな。これだけ出血しているのにまだ元気があるようだ。」
だが、これ以上の出血は流石にマズイだろう。ワタシは最後にコイツの喉元に噛み付いた。
「うううううううーーーー!!!」
最後に叫んだ後、コイツは気絶してしまった。噛み付いたのはワタシの血を送り込んで手っ取り早く止血をしただけなんだが、どうやら『天使』には刺激が強すぎたらしい。
「さて、コイツが目を覚ます前にとっとと鳥籠に入れてしまわないとな。」
ワタシはこの美しき宝石を抱きしめ、自分の住処へと向かった。
この宝石を手に入れたことで、ワタシは『地界』一番の幸せ者になれるものだと思ってた。
だが。
現実はそう甘くないようで。
これから基本ギャグになります。