スマホの画面
食事の途中、真名がスマホを取り出して片手で画面に見入っている。彼はそれを気になったが、そういう事もあるだろうと何も口出ししなかった。しばらくすると真名はスマホをポケットに入れ、また食事を始めるのだが、5分も経たない内にまたスマホを取り出した。彼はその様子をみながら、何か急用でもあるのかと思ったが、真名に聞くのもプライバシーがあるかと聞き出せないでいた。ふと清子の方をみると、彼女の顔は険しいものになっていた。彼の心は騒ぎ出し、何か適当な話題はないかと考え始めた。
「真名、お食事中に行儀が悪いわよ。スマホをみるのをやめなさい」
清子が怒気を含んだ声で真名に注意した。真名は返事をせずに、スマホをポケットにしまい込んだ。食卓に緊張した雰囲気が流れた。
彼が落ち着かなく食事を続けていると、また真名がスマホを取り出した。そこに間髪入れず、清子の怒声が響いた。
「真名!スマホをみるのをやめなさい」
「まあいいじゃないか。何か友達との急用でもあるのかも知れないし。そんなに怒ることでもない。それより今日のぶり大根美味いな」
その言葉に清子は大きくため息をついた後で、ひきつった笑いを浮かべて返事をした。
「ありがとうございます」
明らかに清子は不満気だった。彼はそのまま何も言わず黙って食事を続けた。気まずい雰囲気がぶり大根の味を分からなくした。真名は無愛想な表情で席を立った。彼は真名の後ろ姿を見送りながら、心配を隠せず清子の気配を恐れた。清子は黙って食事をしていた。




