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夜の帰り道  作者: 灰野ラスタ


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6/9

遅れた夕食

平凡な日々が続いた。ある晩、彼が会社から帰宅すると清子が気忙しげに喋り出した。


「真名がまだ帰ってこないのよ。どうしたのかしらね。こんなこと初めてだから、何かあったんじゃないかと思って心配してるのよ。スマホに電話をかけようかとも思ったけど、向こうから連絡があるんじゃないかと待ってるのよね」


「・・・部活が長引いてるんじゃないのか。今度吹奏学部の大会があるって言ってたじゃないか。気にすることはないと思うよ。真名はしっかりした子だ。それよりもうお腹がペコペコだよ」


「今日はぶり大根にしたわ。あなた中性脂肪が高いって言ってたから、和食中心にしてみたの。真名は気に入らないだろうけど」


彼と清子は他愛のない会話を交わして、真名への心配を隠すように明るく振る舞った。


1時間後になって真名が帰宅した。清子と彼は、務めて何も無かったようにいつもの通りの行動をした。清子は精一杯、真名に温かく接した。真名もいつもの様子と変わらず、時折笑顔をみせた。


「ちょっと部活が忙しくてね。心配した?だいじょうぶよ、私そんなに暇じゃないから」


真名のその言葉に、清子と彼は安心した。いつもの食卓の風景が戻ってきた。三人は何を話すでもなく、ぶり大根を食べた。彼の心には、真名に対する疑いが存在した。それは取り越し苦労であれば良かった、彼の子供への愛情の裏返しだった。清子と目を合わせながら彼は、自分に大丈夫だと言い聞かせた。

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