鴨鳴き
風が強く流れが早い川面に大きく膨らみ丸まる
鴨の群れ、どんぶらこと波を乗り越えて、
離れないように距離を保ちながらも定位置を
保つようにきっと足掻いている
風に吹かれススキの穂先は、ずっと一方向を指している
川辺りの階段に座る私の髪も、西から吹く風に
東に流れ続ける
時々、鴨の群れの中の一羽がツガイに聞こえるようにピゥ、ピゥッと高音域の短めの鳴き声を出す
その音域がわたしの心にやさしい号令をくれる
なんくるない、駄目だこりゃ、ケ・セラ・セラ
という音域ではないが、ファイトッとそんな感じ
川辺りの道で大きな声で歌を歌うおじさん
嫌じゃない声だ、 【花】を歌っていた
多分いかりや長介さん似だった
くだらないことを言っても怒られないひとと
怒られるひと
わたしは後者だ、駄目だこりゃ、
熱を守る鴨たちの共鳴、
高音域の短めの鳴き声がずっとリフレインした冬晴れの日、
丸まり、膨らみ、足掻いて
冷たい風にふかれ、離れた場所にいる丸まったあのひとの背を見ながら
空へ鳴く
離れないで、ここにいるよ、ここにいる
ピゥ、ピゥッ




