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冤罪で追放された少女、隣国の王太子様に溺愛される  作者: 有原優


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第32話 決戦準備

 その二日後、グランセン帝国から情報が入った。

 それは、グランセン帝国にもルリエルと名乗る少女がやって来たという事だ。

 だけど、それはただルリエルが来ただけではなかった。

 そう、ルリエルと共に、リリーまで来ていたという情報だ。


 ★★★★★


「こんにちは、メル君」


 メルタイアは目を見開いた。そこにいたのはリリーだったからだ。


「王国の事はどうしたんだ?」

「あの国は捨てました。私にはもはやいりません。それよりも、この人の事を覚えていますか?」


 そこにいたのは、ルリエルだった。メルタイアはその姿を真っ直ぐ捉える。


「どうしてここに?」

「勿論貴方に会いにです」


 笑顔でそう言ったルリエルに対し、メルタイアは後退りをした。


「私は今もあなたを愛しています」


 その言葉を聞いた瞬間、メルタイアはおぞましい物に出会ったような感覚を感じた。

 そう、まるで底知れぬ悪意に会ったみたいに、


「お前はルリエルではない、誰なんだ」

「ルリエル様です。ルリエル様はあの時に死んではなかったのです」


 リリーが叫んだ。


「死んだ!!」リリーに対して怒鳴る。


「私は何も変なことは言っていませんよ」

「お前はリリーなのか?」

「ええ、貴方の元婚約者のリリーです」


 もはやメルタイアには何が何だか分からなかった。しかし、既にルリエルの記憶操作による国乱があった直後。

 もはや何が起きても不思議ではないのだ。


「出ていけ。もう私にこれ以上の情報を与えるな」


 混乱している様子を見せる。

 ようやく国の再興が見えてきたというのに、また新たな刺客だ。

 ルーゲストそれが何なのかは分からないが、とりあえずレノルドたちに伝えなければ。



★★★★★


それが、その手紙に書かれていた内容だった。

後は詳細なルーゲスト容疑者を捕らえたが、情報が何も手に入らず証拠不十分で釈放せざるを得なかったことがかかれている。

そう、ハーネスト家だ。


「これは、あらゆる場所にルリエル様が存在しているという事ですよね」


 リリーはレノルドに訊く。


「ああ」

「だけど、これはこういう見方も出来ますね」

「なんだ?」

「ルーゲストが本格的に行動してきた。つまり、奴らは焦ってると」

「僕もその考えには賛成です。ルーゲストは焦っています。だから恐らく尻尾を出してくるはずです」


「それなら、良い情報を掴んだぜ」


 そう言ったのはランディだ。


「俺はルリエルを拷問した。その中である情報を掴んだ」

「何ですか?」リリーが訊く。


「奴は、ルリエルは何人も解き放たれているという事だ」


 それは手紙からの情報と一致する。


「本物のルリエル嬢は生きている。しかし、それは本拠地の中でらしい」

「つまり今様々な場所で暗躍しているルリエル様は、偽物という事ですか?」

「ああ」


 頷く。


「そして本拠地の場所を漏らしたぞ」


 そう、この場で一番欲しい情報を言ったのだ。



「本拠地の場所はこことグランセン帝国の国境付近の森の中という事らしい」

「森の中……」


 最終決戦が迫っている感じがする。


「それと、忘れてはいけないですけど。私が国を亡ぼすかもしれないという事ですね」

「それは、何とかなったんじゃないのか?」


 不安にさせる虫が取りついていたから、という話だった。


「それもそうですけど、まだ不安なんです」

「大丈夫だ。お前がもし何かこの国の不利益になろうことをするならば、俺が止める。絶対にだ」


 そう肩を掴みながらレノルドが言う。

 その言葉にリリーはただ頷いた。


「その件に関しては、予言は更新されてないのか?」


 ルディオスにレノルドは問うた。

 もしこれで『リリーが国を亡ぼす』という予言が消滅している可能性もある。


「更新されてないですね」

「そうか……」


 しかし、更新されていない。つまりまだ可能性はあるという事だ。

 それは嫌な事だ。


「リリー」ランディはリリーの元へと歩みを進める。


「本拠地に行く時にはお前たち二人は休んでおけ」

「え?」


 リリーはすっとんきょんな表情を見せる。


「何かあったらこの国が困ることになるからな。そもそも足手纏いだ」


 足手纏い。確かにそうかもしれない。それにこれはランディ成りの気づかいだろう。

 しかし、その気遣いが少しむかついた。


 だが、実際今は何もできない。それには何ら変わりがない。

 しかし、


「私はそばにいてヘレンを守りたい。その気持ちには嘘はありません」

「それはきれいごとだ」

「きれいごと……」

「それでこの国の破滅を迎えたらまずいことになる」

「それは分かっています!!」


 リリーは強い口調で言う。


「でも、私は戦いたいんです」

「それは焦りからか?」


 レノルドが問う。


「そうかもしれません。でも、黙ってみているわけには行きません」


 この国を守る人間の一人として。


 この状況で黙ってみているのはただの臆病なのだ。


「結局のところだ」ランディがくちを開く。


「予言がリリーが行ったらなのか行かなかったらなのかは分かんねえ。しかしだ。今思ったがもしかしたら俺たちの不在時にそれが起こるのかもしれねえ。リリーも覚悟を持っている。こりゃ連れて行った方が安全かもしれねえ」

「確かにです」


 ルディオスが頷く。


「僕も同じことを考えていました。この前みたいに不安が襲い掛かりリリーが苦しむことになるのかもしれませんそれならば行かせてあげたほうがいい。しかしこれはレノルド様がいいというかどうかです」

「俺は構わない。リリーを守ると決めている。だから戦場に出るさ」

「分かりました」


 これにより議論の一端は決着を見せた。

 そして、続いての議題だ。


 戦力に関してだ。


「僕が援軍を要請します。かの国を嫌っている国は実はかなりの数があります。その国をたきつけ、ルーゲストを叩くチャンスと評して数を集めます。それでいいですか?」

「ああ、構わない」

「私も、メル君に頼んでみます」

「分かった」


しかし、これはすんなりと解決出来そうだった。

そして、運命の決戦日が始まった。


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