第29話 仮面の男
「目が覚めたか」
ランディは目を覚ましたリリーに対してそう呟く。
「私は……っ頭が」
「無理もない。先程までずっと取りつかれていたんだから」
「それってどういう」
「お前には不安を増長させる魔法がついていた。そいつらがお前の思考をめちゃめちゃにしたんだろう。もう大丈夫だ」
その言葉を聞くと、リリーは安心したかのようにその場にへたれこむ。
「大丈夫だ。この俺がいればな」
「そう言えばヘレンには」
「話した。全て包み隠さすな」
「そうですか」
ヘレンも巻き込んでしまう。
だけどそこにはもう不安なんて言うものが無かった。
「ランディさんが言っていることは本当みたいですね」
「ああ、というかこの俺が嘘をつくわけがないだろう」
そう言うとランディはがははと笑った。
「さて、今からの話をしよう。革命軍に会って、そこから偽装革命軍の結成を目論もう。設定はこうだ。王太子妃リリーがヘレンを逃がした。理由はこの国をわが手にするためだ。そこで革命軍をさらに強化しようと、このランディ様の力を借りた。だが、それでも力が足りない。そこで、ルーゲストの力を借りたい、こういう感じでいいか?」
「もちろんかまいません。しかし」
リリーは真下をじっと見る。
「私が提案しといてなんですが、ルーゲストは本当に来るのでしょうか」
もしかしたら、ルーゲストが来ないかもしれない。そうなれば、作戦のすべたが瓦解する。
「相丈夫だ。奴は絶対に来る。絶対にな」
それは、全てを理解しきったかのような笑みだった。
「さあて、まず俺たちは作戦を決行するぞ。ルーゲストの罠にかかった姿が楽しみだ」
そして、早速リリーとランディは動いていく。目的は一つ。ルーゲストを誘い込むことのみだ。
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「さて、俺たちは財政の立て直しだな」
レノルドは呟く。
貧富の差の是正。それは答えがまさしく出ていない難題だ。
「僕が思うに、この国の経済を座精するには二つの手が必要だと考えています。
まずは労働者の立場を上げる事です。急激に経済が発展し、機械が導入されたせいで多くの人達の賃金が下がっています。彼ら実業家には労働者は腐るほどいますから。
それともう一つはそうですね、是正のために必要なのはもう一つ監査です。これも前者と同じですが、組織が発展すると、次は不正に手を付けようとする人が現れます。
そう言う人たちに対処するために、軽い監視態勢を敷かなければなりません。まだまだ対策は必須だと思いますが、とりあえずはこの二つです。
僕はそれが出来ないで、反乱に沈んだ国を多く知ってます。この国をそれらの二の舞にしたくない、その気持ちわかりますか?」
「ああ、わかっている」
「裏であの二人が動いている間に、僕たちは……」
そう言うと、ルディオスは寝てしまった。
一日の活動制限時間が来たのだろう。優秀なのに一日に少ししか働けないのが玉に瑕だ。
だけど、こんなに優秀な人が一日中働けたらそれこそ体を壊しかねない。
今は仕方がないだろう。
そしてレノルドは早速聞いた内容をメモに書き起こし、部下たちに早速調査に出向かせた。
理由はもちろん、労働者たちの労働環境の改善だ。
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ランディとリリーは早速偽の革命軍を作り上げた。その要員の大半は、前までへレンと共に革命を起こした人たちだ。
革命軍があることを大々的に周知するわけには行かない。それはダミーなのだから。しかし、全く顕現しないというのもおかしな話だ。
という訳で二人は中途半端に戦力を作り、存在するという噂だけを流し続けた。
それも、ルーゲストが認知するかもしれない程度の大きさで。
そんなある日。
「ここが革命軍かね」
とある人がやってきた。アジトの近くにだ。集会は月に二回と決めていた。そしてその日に見事に表れた。その男は仮面をかぶっている。
その姿を見て、リリーは警戒を強める。
「そんなに睨まないでくれ。君たちの味方だ。さて、そこにいるのはリリー王妃殿だね」
「まだ、王太子妃です」
「そんなのは関係ない。しってるよ。実質権力を握っているのは君の夫だと。だが、君はなぜ革命を起こそうとしているのかね」
「必要だからです」
「というと?」
「夫の目を覚ますにはこうするしかないからです」
そうリリーは強く言った。
「幸い私達には戦力とコネがあります」
「そのコネだけで本当に足りるのかね?」
その言葉にリリーは首をかしげる。
「君は知っているのではないか? 革命の厳しさを。なあ、ヘレン」
リリーのそばにいたヘレンに対し、男は言った。
「流石ですね。ヘレンの事を知っているなんて」
「君はヘレンの革命は止めただろう。それなのになぜ、ここで革命をしようとしているのだ」
「簡単な話です。あの頃はこの国の現状など何一つ知っていなかったからです。しかし主張を知って、その後の国の動きを知って思いました。このままだとダメだって」
「それならばこの私が力を貸そう」
来た。その瞬間リリーは思った。
「さて、この私がいれば、百人力だろう。何が欲しい」
その言葉にリリーは静かに言った。
「大量の資金が欲しいです」
「10億くらいならすぐに用意できるが」
10億。かなりの大金だ。その金があれば色々と装備をそろえることが可能だろう。
「質問ですけど、そのお金はどこから仕入れてくるのですか?」
「俺の個人のおかねだ。1000億は持ってるから全然大丈夫だ」
「そうですか」
ここで、つかめに動いてもいい。しかし、それでは金の場所は分からない。
ならば、と。
「30億くらいくださりませんか?」
そうリリーは強気で吹っ掛けた。
10億ならすぐに出せると言ってきたのは、今現在進行形で十億のお金を持っているからだろう。
けどそれじゃだめだ。本拠地をあぶりださなければ。
それにこの男がルーゲスト本人とは限らない。ただの、偽物かもしれない。
いったん三十億を回収するために本拠地に行かせなければならない。
「分かった。もってこよう」
リリーは唾をのむ。
「ありがとうございます」
リリーはその場でお礼を告げた。
そして、男は姿を消した。




