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冤罪で追放された少女、隣国の王太子様に溺愛される  作者: 有原優


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第27話 計画

 その日の夜から早速警戒態勢に入ったと同時に、ハルゲルトに許可を取りに行った。

 ハルゲルトは意外にも二つ言葉で登用する事を認めてくれた。

 ルーゲストである可能性はほとんどないとハルゲルトは考えたのだ。



 そしてその夜。

 起き上がったルディオスに色々とリリーとレノルドは国の現状を教えた。


「なるほど、非常にまずい状況かもしれませんね」


 そう言った。

 その言葉で軽い緊張感が走る。


「おそらく、この貧富の差。是正しないとそこをルーゲストにとられそうですね」

「取られそう?」

「革命です」


 強く言い放った。この前へレンたちが起こした革命。それに準するような事件が起きるとでもいうのだろうか。


「僕は、貧富の差を是正することに着目したらいいと思います」

「でも、少しいいか?」


 レノルドが待ったをかけるように言う。


「リリーがこの国を亡ぼすというのは、ルーゲストの最終手段なんじゃないのか? だからこそ、無理に焦らす必要はないんじゃないか?」

「というと?」

「あえて泳がすというのはどうだ?」


 レノルドのその言葉に、ルディオスが目を大きく開く。


「敢えて、革命を起こそうとしている組織を作り、そこを襲撃してルーゲストを確保しようという事だ。つまり狂言革命というやつだな」

「狂言革命」


 そして少し考え込むルディオス。


「ありかもしれませんね。ルーゲストをそうやって誘い込むのは。……しかしこれは穴があります」

「穴だと?」

「誰が革命をたくらむかですよ」


 確かに問題点だ。

 革命をたくらむ、人物は名が知られていない人の方がいい。


「ヘレンだ」


 レノルドは静かにそう呟いた。


「その意味が分かってるんですか?」


 リリーが強い言葉で言い放つ。

 それはヘレンを戦いへと巻き込むという事。

 そんな事をしては、ヘレンの身も危険に襲われる可能性が出て来る。


「ヘレンはヘレンにはルーゲストの事は話さないという約束だったんじゃなかったんですか?」

「ああ、話さないと言った。しかし状況が変わった」

「私は危険な目に合わせたくないです」


 明らかに危険な手だ。

 ヘレンは魔法の使い手。

 ルーゲストもその力を欲しがるだろう。

 そんな中ヘレンを繰り出していいように働く未来があるのか。


「リリー、ヘレンは子どもじゃない」


 レノルドが静かに言う。


「すみません、ヘレンさんは誰ですか?」


 そう言えばヘレンの話はしていなかったと思い出した。


「ヘレンは、魔法が使える」


 レノルドは言い放った。

(それ言っちゃっていいの?)リリーは心の中で思う。


 でも、レノルドは今は言っちゃったほうがいいと判断したのだろう。


「なるほど、なら危険ですね。それに、二人の話を聞けば、ヘレンさんは子どもだ。子どもにそんな重荷を持たせるべきではない」


 ヘレンよりも明らか年下のルディオスが言った。


「私がやります」


 リリーはそう言い切った。


「私なら、リスクを管理しながら上手く動くことが出来る」

「しかし、貴方は実質的な王妃だ」

「でも、これは私がやらなきゃいけない。そう思うんです」


 リリーはここ最近はあまり働けているという実感がない。

 ルリエル騒ぎの時もあまり活躍できたとは思えていない。

 レノルドの役に立ちたいのに、レノルドの方が頑張っている。

 そんな状況に歯がゆさを感じるのだ。


「少しいいか?」


 先程から静かだった、ランディが話す。


「俺が行ってやってもいいぜ」


 その発言に、二人は一気にランディの方を見る。


「俺はなんでかは分からんがルディオスのせいで名前が知られてはいない。だからこそここで俺が革命軍を疑似的に作り出して、ルーゲストをひっとらえてもいいっていう訳だ。そして活躍してランディという名前を売りたいんだ」

「だめです」


 ルディオスは即座に否定する。


「どうしてだよ」

「あくまで僕たちはよそ者。革命を起こさせるつもりはありません。ルーゲストは喰いついてきません。それよりも」


 リリーの方を見る。


「リリー様にやってもらった方がいいと思います」

「でも、リリーがこの国を亡ぼすんだろ? だったらダメじゃねえか」

「僕の予言は絶対ではありません。予言は変わり始めるでしょう。僕としては貴方がやる方が危険です」

「なんだと」


「なら、折衷案でこれはどうですか?」


 リリーはつらつらと話し始める。それは、リリーがランディの策に乗って、革命軍を起こすという物(設定)だ。

 更にヘレンの革命の意識に感動したとでも言えばいいだろう。

 メンバーはヘレンの時のメンバーに協力を仰げばいい。


「結局へレンには言うしかなさそうね」

「残念ながらそういう事だ」


 レノルドはそう言って笑った。

 今二人が向かっているのは王の間。つまりハルゲルトのいる場所だ。


 あくまでも実権はレノルドたちが握っているが、確認のために赴かなくてはならない。


「それで今回は何用出来たんだ? 今日二度目だが」

「実は父上、少し話したいことがありまして」

「なんだ?」


 そして今までの経緯を話した。


「狂言革命か。中々面白そうじゃないか。許そう」


 ハルゲルトから許可が出た。


「それに、さっきも言ったが、これからの事は二人の手に任せている。一応王座に座っているだけだ。しかし……」


 ハルゲルトは考え込む。


「乗ってくれればいいが、わしも次の手を考えねばならんな」

「というと?」

「乗ってこない場合、その場合に備えて新たな計画を立てなければならないという事だ。ランディとルディオスの事も気になってしまうしな」

「怪しくはないんじゃないですか?」

「それはあくまでもあの時の判断だからだ。調べる必要がある。そこはわしがやる。裏方作業は得意だからな。とりあえず、狂言革命の件、頼んだぞ」


 ハルゲルトはそう言ってリリーの肩を叩く。

 早速翌日から行動を開始することになる。

 覚悟を決めないと。

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