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冤罪で追放された少女、隣国の王太子様に溺愛される  作者: 有原優


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第23話 ルーゲルト

「ルリエルが死んだ?」


 その後、宮殿に戻ると、リリー達は衝撃の言葉を聞いた。


 ルリエルが地下牢の中で息絶えていたという話だ。


 恐らくは口封じ。しかも、地下牢に立ち入りできるという事は恐らくは上の方の立場の人。

 何しろ、地下牢を守っていた看守たちはみんな死んではいないのだから。


 看守の言葉によると、とある人物に面会を申しだされ、

 その面会が終わった後にルリエルは亡くなっていたという話だが。


 看守たちはその面会に来たその人物の名前を憶えていないと。



 ラウドは捕らえられているからまた別の人物だろう。

 となると帝国内の癌はまだまだ多いのだろう。


「ルリエルの体は、外傷がなく衰弱死のように亡くなっていた。死因は不明だが、恐らくは毒などで殺害されたと考えられている」

「毒……」

「そして、死ぬ直前にある言葉を呟いた。ルーゲストと」

「ルーゲストだと」


 レノルドは驚きの表情をした。


「何か知ってるのですか?」

「いや、何も」


 リリーの問いに、レノルドはNOで返した。


「ただ、驚いただけだ」


 そしてメルタイアは続けて言う。


「ここから先は私の領分だ。これ以上君たちに借りを作ってしまうのは、流石にだめだ。両国間の関係が対等じゃなくなる。それは私には好ましくない」

「確かに」


 それはリリーたちに借りを作ることとなる。すでに膨れ上がっている借り、それをこれ以上増やしてしまうのは好ましくないという事は分かる。



 そもそもリリーたちがここに来た目的は、冤罪を晴らすこと。

 そうなれば、リリーがこの国にいる必要はない。


 それに、これ以上帝国にいた場合、今度は国内があれる可能性がある。

 実質権力を握っている王太子と王太子妃が存在しないとならば、国内があれてしまうのは言うまでもないのだ。


「後は任せた」


 レノルドがそう言って、国を後にする。後は任せればいい。

 メルタイアとて、ただのお坊ちゃまではないのだから。


「それじゃあ、最後に」

「ああ」


 二人は表向きの目的――外交に踏み切った。


 外交。互いの主張をぶつけ合い、互いに理解を示しあった。

 そして、リリーたちは帰国することとなった。


 帰りも馬車に揺られる。

 その中でリリーは考えていた。どうせ馬車の中は暇だ。何もすることがない。

 ルーゲルトとはどういうものなのだろうかと考える。

 簡単に考えればルーゲストとはルリエルをそそのかした組織というのが正直な見方だろう。


 もしかしたらハーネスト家も与しているかもしれない。

 しかしそこはメルタイアを信じるしかない。

 彼らの捜査が上手く行くかにすべてはかかっているのだ。


「リリー」


 レノルドは言う。


「先ほどは何も言わなかったが、ルーゲストという名前には聞き覚えがあるんだ」

「聞き覚え?」

「ああ、しかしうろ覚えだから本当に正しい記憶かどうかは分からない。だが、確かに存在する」

「存在……」

「ああ、俺の記憶が正しければな。一回だけ聞いたことがあるんだ。父上から話を」

「なるほどね」


 つまりハルゲルトはある程度の情報を認知しているという事だろうか。


「つまりハルゲルト様に情報を聞く必要があるという事ですね」

「そうだな」


 そして二人の会話は途切れ、互いに窓の外を見る。

 正直疲れが出ている。


 二人はいつの間にか眠りに落ちていた。

 馬車の中で静かに。

 寄り添う感じで。


 そして帰りも長い旅路を終え、国に帰ってきた。


 早速、国王へのご対面だ。


「父上」


 レノルドは言った。


「おお、帰ったか」

「ええ、父上。大変な旅でした」

「それで、リリー殿の冤罪は」

「ああ、晴らした」


 レノルドがそう言うと、ハルゲルトは安心したようなそぶりで「良かった」と呟いた。


「それでなんですけど、ルーゲルトって何か知ってます?」


 リリーがそう言うと、ハルゲルトは目を大きく見開いた。


「まさか、再び活動を始めたのか」

「やはり知っているのか」

「ふむ。しかし活動していたのは三十年も前の事のはずだが、また動き出したのか」

「待って、どういう事ですか?」

「とりあえず落ち着け。これから話す。だから、そちらも話してくれんかの」

「分かった」


 レノルドが頷くと、「よし」とハルゲルトが言い、そして話が始まった。


「これは世間には伝わっていないが、30年前に、ルーゲルトと名乗る人物がこの国を゙訪れた。彼はわしに国を広げる気はないかと言ってきた。わしが当時王位を継いだばかりの若造だから上手く行くと思ったのだろう。しかし、わしは断った。それからしばらくの間嫌がらせのような事件が起きた。出所不明の武器を手に取り、テロを行う犯罪者集団が現れた。結果それを抑えきったが、国内のお金は多少減った。それのせいでしばらく困ったよ。だがすぐにテロは消滅したから、もう死んだ者だと思っていたが。ふむ」

「つまり、裏で暗躍しているという事ですか?」

「三十年前と同じならな」


 そう言って、ハルゲルトは腕を組む。


「それが、リリー殿の冤罪に深くかかわっているのか?」

「ええ」


 レノルドは頷く。


「なら、ここからどうしていくかだな」

「その件に関してはメルタイア殿にすべてを一存しています。新たな情報が入ったら帝国からの使者がやってくるかと」

「なるほど」

「そう言えば数は」

「おそらくは集団で活動している。そのリーダーがルーゲルトなんだろう」

「……」


 その場にしばしの沈黙が流れた後、ハルゲルトは静かに言った。


「わしは完全に政治の場から離れようと思う。これからの事は二人で決めるのがよい」

「父上、逃げようとしているのですか?」

「それは前に言っただろう。今回の一件が終わればわしは王位から退くと」

「父上には、まだ王位を退くのには早いのでは?」

「なんじゃと?」

「父上は、この国にはまだ必要です。恐らくこれからも、ルーゲルトという組織は行動をしていくでしょう。それを止めるためには父上の力が必要です」

「ふむ、そうだな。なら、もう少しは形だけは王として居座ることにするかの」


 そう言ってハルゲルトは大きく笑った。

 リリーたち二人はそれをほほえましく見るのであった。


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