幽霊を信じるって素敵じゃないですか?7
よろしくお願いします
「まぁ座って!さっそく本題に入ろっかっ!」
「そ、そうだね」
「じゃあ、質問形式で聞いていくね!」
やけに気合の入った君の楽しそうな声。それも、またどこから持ってきたのか、紙とペンを手にして元から書いてある文字を読み上げていく。そんな君の質問に僕は答えれば良いらしい。
「幽霊は信じるんだよね?」
「まぁ、いると思うよ」
「見えなくても?」
「うん」
「理由は?」
「なんとなく」
実を言えば幽霊なんてどうでもよかった。けれど君と関われるなら話を合わせる他ない。
「それは素敵な事だと思いますか?」
「思わないかな」
「どうして?」
「好きじゃないし」
こうして面倒な君の話を受け流していればいいなら、何も問題はない。
「ねぇ秋野くん、幽霊信じてないでしょ」
「まあ、正直どうでもいい…」
受け流していた不意な質問に、僕は君に対して誤った答えを言ったけれど、それは僕の中では事実なのも間違いはない。
「…しないでよ」
少なからず落ち込んでいる君の雰囲気。しかし、幽霊なんてものに命でも掛けていなければ、所詮はふざけた話題。それに先程の君なりのノリだとも思った。
「ユーホォーなら信じてるよ」
こんな状況で、本心の見えない君から僕が導き出した僕のこの行為。話題を盛り上げようとしただけだのことだったんだ。
瞬間。
罵声と共に僕の顔に衝撃がきた。
バシッ!
「馬鹿にしないでよ!」
ノートを僕の顔に投げ捨て、部屋から出て行く。一瞬に何がどうなっているのか理解できなかったけれど、君に対しての答えを本当に間違えたという事実は明確だった。
誤解と事実と焦りが混じりながら始まる僕の思考の着地は、『君は何を考えているのか分からない』と言うことだけだった。
今日初めて会話をした。そんな僕を家に連れ込み、訳もわからない話題に対して、無邪気な子供みたいに怒り出した。そんな君は何の恥じらいもない。
顔に当たりテーブルに落ちたノートを取る。
「多すぎだろ…」
先ほどまで君が開いていたページを見ると、質問のQという文字の後に、これから僕へ質問をするはずだっただろう文字がノートにぎっしりと書き込まれていた。
そんなノートを閉じる。
「幽霊を信じるね…」
また独り。
部屋に残されている僕は静かに呟いた。
まだまだ