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“僕は君を夢見てる”  作者: 秋乃 しん
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幽霊を信じるって素敵じゃないですか?5

よろしくお願いします〜


 「たっだいまぁ!早く上がってー!」


たぶん、学校を出て5分も経たずに着いた。それに、ここまで一度も道を曲がらずにまっすぐ歩いて来ただけ。もし、次に1人でこの家に来ることがあるなら、もう迷うことなんてないと思う。まあ、そんな機会なんてものはない。そんなことよりも、君は鍵を使わずに扉を開けたのだから、家族の誰かがいるのだろうか。心の準備ができていないこの状況、もちろん断ることもできたのだけれど、君に言われるがままを言い訳に、「お邪魔します」と言い捨てて家に入った。


「何言ってんの?誰もいないけど?また独り言かな?」


いないんかい!心の中でそう突っ込む。


「人の家に入るときはそのくらいは礼儀だよ。あと鍵空いてたし、それに君も、たっだいまぁって言ってたし」


丁寧に言い返してやる。だけど、独り言の件に関しては言い返す自信もなく、面倒になりそうなので触れないことにした。そんな僕の正論に対して、君はいったい何を言ってくるだろうか。そう身構えていた。


「あ、そんなことよりさぁ!」


やっぱり君は人の話を聞くことができない人だ。呆れながら、細目で君の後を追う。それからは一方的な話を聞かされながら二階へと上がっていく。階段を上りきれば三方向にドアが見える。左奥、右奥、そしてすぐ正面の扉。君は当たり前にも、迷いなく右奥へと歩きだすので、それを追うように僕も歩く。きっと、ここが君の部屋なのだろう。そう思う間も無くに、君は目の前の扉を開けて不器用なジャンプ。ふわりとスカートをひらつかせた。


「どう?綺麗でしょ?」


この時、何に対しての「綺麗」なのだろうかと一瞬悩んだけれど、それは考えなくても君を見て理解できていた。

 小さな手のひらを自分の部屋へと向けてひらひらと誇張させる。その動きに納得して部屋を見渡した。確かに整理整頓されているその部屋は、僕が思う女の子らしい綺麗な部屋であった。と言うよりも、部屋には勉強机にベット、黒の丸テーブルだけの、部屋という空間を思わせる必要最低限の物しかなくて、シンプルな部屋という方が似合うのだろうか。それから、壁の色合いは薄いピンク色に彩られている。「女の子らしい」そんな言葉が正解だろうか。

ただ、そんな部屋に対しての君は、とてもと言っていいほどに似合っている。

まあ、ピンク色が似合うという君への印象を僕自身が持っていだけなのだろう。

 思考回路は君を褒め尽くしていたけれど、君を褒めることに気が受け付けなくて、将又、余計な悪口を作り出しても面倒になるから。


「君っぽい」


…。


「でしょ!あ、何かジュース持ってくるからどこか座ってていいよ」


機嫌が良くなったらしい君。ドタッドタッと下手くそなステップで階段を降りていく。それを確認したあと、部屋を出るときに閉め忘れていったドアを勝手に閉めて、薄いピンク色の部屋の隅に座る。そして、静まりかえっている君のいない部屋を見渡していると、少しだけ眠くなるのを感じていた。

無理もない。学校の帰り、クラスの人気者の君の家に上がっているのだ。僕にとってはこんなことに耐性はなく、緊張していたのだ。


ぼんやりしている頭の中に、はっきりとした自分自身のこの思い。無意識的にでもありそうなそんな思い。


「君を知りたい」 


また、独りで呟いた。


まだまだ

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