幽霊を信じるって素敵じゃないですか?2
月乃光 君 存在
僕のいるクラス。
同性からも、異性からも人気な『月乃 光 』という存在。そんな君は、いつ何処から見ても笑っている。そんな風に僕が感じているだけ。
その君の顔つきは、両側から等しくなぞる輪郭に、顔のパーツがその輪郭に合わせるようにそれぞれが整ってる。そんな中で、目だけは少し見開くよう大きくて、またそれに合わせて瞳も大きくて可愛らしい。髪型は女子高生らしいロングヘアー。「可愛らしい」と言うのは、あくまでも個人的な意見だ。
身長は、クラス内の中でも中位に位置する僕に対して、頭半個分くらい小さく、女子ぽっい。そんな存在が人に好かれる理由は色々ある。
それは前に見た。君と仲の良さそうなクラスメイトと話している光景。
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クラスメイトA
「ねぇー、光ちゃんの目はぱっちりしてて綺麗だよねー」
よくある女子トーク。この時Aの本心は確か。
”見返り、褒めて、嫉妬”
見返りを求める偽りの言動だろう。そんな質問に対して、月乃光はこう返した。
「ありがと!Aちゃんの髪って凄いサラサラで気持ちいいから羨ましいなぁ!」
クラスメイトA
「本当?ありがと!」
“当たり前、面倒、嫉妬”
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普段なら見たくもない人と人の偽る関係。でも君は、話の聞き上手な人で、他の女子達の偽りであり見返りを求める質問に対して、本心を当てては答えて喜ばせているように感じる。そんな君を見ていると、もしかしたら君も人の本心が読み取れているんじゃないのかと、そう思ってしまうほど。
「そんなことはないだろ」 呟く。
次は異性である男子達から人気な理由。
まあ、君の顔が可愛い。
大半はそんな馬鹿みたいな理由だ。
「問題ない」
そうニヤつきながら呟く。
今日も歩いていた通学路も終えて、昇降口から教室までの廊下を静かに歩いていく。朝からニヤつきが留まらない気持ち悪い僕は、今も君のことが気になっていて仕方がない。と言っても、これは僕にしか抱けない気持ちであって、決して恋愛などと言う浅はかな問題なんかじゃない。もっと深い問題みたいなものだと、そう思ってる。そしてまた君のことを考え始めると、溜息が出る。
「見えない」呟く。
他人の本心は顔を目視するだけで読み取れてしまうのに、月乃 光という本心だけが読み取れない。一度も君の本心を読み取れたことがなくて、他の人の様にはならない。
「わかんない」
教室に入る前まで、ぐるぐると回っていた僕の頭の中。
クラスのドアに手を掛けたと同時に切り替わる。そして今日も始まる偽りの空間にはいると思うと気が重くなった。そんな僕とは正反対に、僕の目に入る君は今日も、クラスの中心でニコニコしていた。
よろしくお願いします