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新しい銃と愛銃


 難民キャンプと化していた軍のキャンプのゾンビの大群に襲われたり救急車に潜んでいたゾンビに襲われたり脳みそで汚れたり…


 ちなみに汚れた額は全身を水で洗い流した時に念入りに洗っておいた。


 だいぶ疲れた一日だったとロイドは少し綿の潰れたクッション付きの椅子に腰掛けながら今日の事を思い出していた。



 あれから治安維持部隊の面々が今まで住んでいた軍のキャンプのセーフゾーンに一度戻ると言い、ロイドも一緒に来ないかと誘われた為ついていくことにした。


 しばらくぼーっとロイドがしていると茶色の癖っ毛が印象的な女性が湯気の立つマグカップを二つ手に持ち隣に座ってきた。


 「で、クティちゃんははぐれたお仲間さんを探してるのね」


 「はい」


 で、ここに来るまでにロイドは名前を聞かれた為ロイドでは不自然かと思いAT05G3に提案されファクティと名乗っていた。

 ちなみに愛称はクティである。


 そして名前の由来は古い世界で使われていた言語のファクティスという言葉からである。

 意味は偽物、模造品、AT05G3はこのロイドは偽物なんだと、本物と思ってしまわないよう名付けた。


 そして名付けた時AT05G3は、本物はもう存在していない事を自身のログで再確認した。

 いつか本人に伝えなければいけないと再度決意を固めようとしたがこのロイドのコピー品で満足し始めている自身の心に気がついた。

 

 今まで状況を正確に分析し合理的に判断し迷う事なく選択する事が出来たはずなのに。


 AT05G3は気が付かなかったが、結論をなかなか出せずに保留にする事がで始めたのは確実にロイドのコピーと身体を共有し始めてからだった。


 AT05G3は少女らしい仕草や言動を自身のデータからロイドにインストールしたが、ロイドのコピーをAT05G3にインストールした時に人間らしい葛藤や状況判断能力が僅かにAT05G3の意識に知らずのうちに混ざってきていた。


 AT05G3はロイドのコピーを補助し、生存していると思われる全員の仲間との再開を終えるまではまだ事実を話すか話さないか、決める時間はあると結論づけた。

 

 「で、あの変態は最後まで残ってしんがりを立派に務めてくれたんですよ」


 「へぇ、仲間思いのいい人なのね、そんなにガッツのある人なら生きてるに決まってるわ、ねぇねぇ他の人の話も聞かせてよ!」


 ふと意識を現実に戻したAT05G3のメイン電子頭脳には楽しそうに仲間の話を治安維持部隊の面々に話すロイドがいた。


 同時にココアの温かさと甘さが味覚を共有しているロイドからAT05G3へと伝わってきた。

 

 「じゃあドクっていうあだ名の仲間の話を…」


 「こら、夜メシの時間だ、くっちゃべってないで皿の用意しろー」


 食堂から隊員の1人が顔を出しロイド達に夜ご飯ができた事を伝えた為ロイドは慌ててお皿を取りに向かった。


 「はい!わたし一番!」


 なにせ食べなくともいいとは言え人間だったロイドからすれば人間だった頃を合わせると四日は食べていないため気持ち的にお腹に何か入れたかった。


 「久しぶりのまともなご飯!」


 スキップをしながら一番乗りでたどり着いたロイドのお皿に乗せられたのは固形の茶色のペーストと緑のペーストだった。


 いわゆる軍のレーションである、それぞれ茶色がステーキ風味で緑はキャベツ風味だ。


 皿に乗せられたその物体を見てロイドは肩を震わせた。


 「すまん、これしか無いんだ、非難民が所持していた物もあったんだが半年前に無くなっちまった」


 目の前の少女が予想していた食べ物と渡された物がかなり違った事を悲しんでいるのか涙が流れるのを見て隊員は申し訳なさそうに声をかけた。


 「お肉だーーー!!!」


 そして隊員は勘違いしていた事を自身の鼓膜を犠牲に理解させられた。


 「おっにっく♪おっにっく♪」


 涙は嬉し涙だった。


 近場に残っていた食料物資はここ半年間自然になってる果物や暴走し、異常繁殖していた培養施設の小麦が主だった。


 物音が起きれば即ゾンビが群がる状況だった為動物はほぼ絶滅し、肉にはありつけていなかったロイドからすればステーキ風味のレーションはお肉そのものに見えた。

 

 実際かみごたえもそこそこあり牛の肉その物のような食感と味のため見た目以外はお肉と言っても過言では無い、外の世界ではご馳走なのである。


 食料品店等にもこの肉レーションは残ってはいたが回収しつくし、早い段階で食べ終わってしまっていた。


 AT05G3はご飯は逃げませんから落ち着きなさいと子供に注意するかのような口調でロイドに伝えたがロイドは完全に聞いてなかった。


 「えっと、そこまで喜んでくれると嬉しい…よ」


 隊員は少し引き攣った顔で耳を押さえていた。


 





 「なるほどね、それで大容量で大出力のバッテリーとエネルギー駆動の銃が欲しいと、予備はまだあるから使うといい」


 「ありがとうございます」


 食事も終わりロイド達は大きなテーブルを囲みお茶を飲んでいた。

 もし外に出れた時の為に記念に取っておいた物らしい。

 お高そうな品のある紅茶の香りが部屋に広がった。


 何故ここに来たかから話は始まりパワードスーツのバッテリーが欲しいと言うことをロイドは切り出した。


 そのまま自身に使いますと言うわけにもいかず片手で銃の再装填をする為に時間がかかる事を話した。


 そうしたら外の世界に詳しくない初対面のロイドを助けようとしちゃうくらいピュアな彼らは是非どうぞどうぞと一式を譲ってくれる事になった。


 ちょろすぎて心配になるロイド達であった。


 「じゃ、エネルギー駆動のも何種類かあるから今から見に行くかな」


 「ついでにそのぼろぼろの服装も変えちゃいましょう、難民のトランクに変えの服装は探せばあるでしょうし」


 グエスが銃を選ぶ事を提案し、茶色の癖っ毛の女性アリーというらしいもぼろぼろの服装を見兼ねたのか新しい服を探してくると言って走り去っていった。

 

 


 場所は変わり武器保管庫、ロイドとグエスは2人して壁に並んだエネルギー駆動の銃の前に立っていた。


 「希望の武器種とかは?」


 「軽い物で制圧力もあるとなおいいです、重たい物は持ち歩きの面で面倒ですから」


 「じゃあサブマシンガンか、これとかどうだ?第二世代SMGE35型、少し古い銃だがそれゆえにマガジンサイズの概念が民間の物のくせにして無い、違反所持者からの押収品だ」


 「へぇ、これ大口径に改造されてるじゃないですか?もらってもいいんです?」


 それはマフィアがよく所持している銃だった。

 大容量で大火力、そして制圧力は今ここにあるサブマシンガンカテゴリの中では最も優れている武器だった。


 ロイドの中のゾンビ世界で欲しい銃ランキング上位に君臨していた。


 ゆえに本当に貰えることにロイドは感激した。


 「ああ、今の世代の武器と比べるとエネルギー消費量が多いから自動回復するとは言えバッテリー残量には気をつけろよ」


 「ありがとうございます!」


 「で、サブの武器だが拳銃か?ちょっと今使ってる銃見せてみろ」


 感激し、忘れていたのがいけなかった。


 ロイドの渡した拳銃はかつて軍にいた頃からロイドが愛用していた専用のカスタマイズまでしているお気に入りの銃だった。


 「おい…」


 そしてその銃の事を仲の良かったグエスもロイドは自慢までしていた為知っていた。


 「こいつをどこで手に入れやがった!!」


 グエスの怒声が武器庫に響き渡った。

 

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