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荘園管理人

 お待たせしました、書いたデータが吹っ飛ぶというアクシデントにより遅れてしまいすみませんでした。

 オフラインに保存は必須ですね…


 それでは本編どうぞ!


 「相変わらず暗いね、本当に暗いよ、最後に本物の太陽を見たのはいつだったのかな…」


 死の荒野の地下に存在する部屋にてソレは眼前に浮かぶ無数のモニターを見ながら呟いた。


 ソレは真っ白な長い髪をこれでもかと言うほど床に垂らしていた。

 そしてしばらくモニターを眺めていたソレは中性的な顔を僅かに歪ませた。

 目線の先のモニターには人々が凶暴化した者から逃げ惑う光景が映し出されていた。


 「相変わらず定期的に滅ぶよね…それも決まった周期で、最近はあぁ、これから滅ぶんだなって見てたらわかるから困ったものだよ、そう思わない?」


 問いかけに答える物は誰もおらず部屋の中で1人でソレは肩をすくめた。

 かつていたソレの仲間はもうどこにもおらずソレただ1人となってしまっていた。


 壁の側には押しのけられた椅子がいくつも重なり合っておりソレは一度視線をそこへ向けると顔をしかめた。


 「次が正真正銘の最後だ、やっと終わる、終われるんだ、それまでに出来るだけいい状態で滅んでもらわなくちゃ…」


 思考操作にて一番近いモニターへとあるページを表示させるとそのモニターへとソレは手をそっと伸ばした。

 後悔と安堵の入り混じった表情を浮かべたソレは頬をつたる涙に気がつき驚いて伸ばした手を止めた。


 「僕にも…涙は枯れていなかったのが嬉しいことだよ、もうとっくに枯れ切ってたかと…そうだ、どうせなら手は出さない、最後なら、もう運任せに決めた」


 しみじみと呟きを漏らしたソレは伸ばした手を戻し涙を拭うと先程とは違うページを思考操作で開き手のひらを画面へと当て口を開く。


 

 『個人ID最後の天使が告げる…各シティの管理者はこの時を持って全ての自由行動を許可する』



 あまりにも不相応な名前だよ、と頬を書きながら音声指示を実行したソレは名付けた人の顔さえもう思い出せない事に気が付き押し黙った。


 「こんな結末も、悪くは無いのかな…彼ら彼女らにも長い事僕たちの夢に付き合わせちゃったから、最後くらいはお休みをあげないと」


 そう呟いたソレの前にある無数のモニターには各々好きな行動を開始するシティの管理者達の姿が映されていた。


 人々はいてはならない存在だと排除し始める管理者。


 何もせずただひたすら指示を待つ管理者。


 趣味を始める管理者。


 そして、人々を滅亡から救うために動き出す管理者。


 多種多様な行動を繰り広げる各シティの管理者達をモニター越しに見やりながらソレは久しく心が大きく動き始めているのを実感していた。





 それから数年後、マイヤーシティにてうまく潜り込んだ管理者の1人はハイウェイのコミュニティにて人々を助け暮らしていた。


 人の心と触れ合う内に感化され自身も変化していくのが長く変わりのなかった世界にいた彼女からしたらとても嬉しかった。


 そのうちたくさん話し、議論し、対策を考え協力し合い生き残ってきた小さな戦士達がとても愛おしくなってきていた。


 しかしそれは永遠には続かなかった。


 管理者は知っていた、中央政府と呼ばれている建物から外に出てしまえばほとんどただの人でしか無い自分の無力さを。


 小さな子を庇って食らってしまった傷跡をぼんやりと眺めながら強く実感していたのだった。


 



 それから数ヶ月、長く永遠に続くエラーに自我を意識の底へと押し込まれ時折ぼんやりと戻る意識で僅かに使える周囲環境情報収集システムで自身が拘束されている事を彼女は理解していた。


 薄らぼんやりと見える世界には悲しみ、悔しさを浮かべた子供達の顔がよく写りどうしようもない悔しさと悲しさが胸の内に渦巻いた。

 

 『あぁ誰か…誰か助けて…あの子達が悲しむ顔はもう…』


 もう何度目かわからない助けを求めた時だった。

 周囲環境情報収集システムに見慣れない人たちが映し出されたのは。


 『少女…いえ…これは2人ともオートマトンと呼ばれている機械だったかしら…それに1人は医療に携わる人が着ていた…』


 人払いを済ませてドクターコートを着た少女が自身の胸を鷲掴みしたのは驚いた物の特に恥ずかしさなどは浮かばなかった。


 オートマトンは、本人からしたら無意識化だとしてもナノチップからの極秘通信で何かあった時の管理者の緊急復帰方法は伝授されていた。

 

 それよりも驚きの方が彼女は大きく感じた。


 オートマトンの数多くは現在何者かによりハッキングされそのほとんどが自我を保てていなかった筈だと彼女は記憶していた、が。


 それよりも、それよりも今はどう自我を残したのかと言う疑問よりもやっとこの状態から解放されるかもしれないと言う期待が膨らんだ。


 

 そして意気込んだドクターコートを着たオートマトンが手のひらから勢いよく放電すると…彼女は久しぶりに眩しい光をその目で感じたのだった。







 クティは目眩に頭を押さえふらつく足取りをなんとか倒れないように踏ん張った。

 

 AT05G3が過電流を起こした瞬間一気に誰かの断片的な記憶や見てきた景色が無理矢理流れ込んできたのだ。


 その景色は一瞬で消え去りクティの視界には元の救急車の車内が映っていた。


 「何があった!入るぞ!!」


 眩しさに閉じていた目を開けるとそこには怪我をしていた女性が細かいチリのようになって足先から消えはじめていた。


 車内に入ってきたジェイクに珈琲屋、ローグスと比較的年齢の高い子供達が女性が消えていくのを驚き声を出さずにいた。


 「お、おいおいおい、姉御コレはなんなんすか!?一体なんなんすか!?」


 「…私にも、私にもわからないよ!?」


 ようやく我に返ったローグスがクティへと詰め寄るもののクティ自身もどうしてこうなったのか分からず戸惑いを隠せなかった。


 「まま…まま!なおってる!」


 そしてローグスに詰め寄られたクティがAT05G3へと説明を求めようとした時、恐る恐る車内を覗いていたリリアの声が車内に響き渡った。

 リリアの声につられて視線をクティから女性へと戻した一同は先程よりも驚きその光景へと視線は釘付けになった。


 先程消えていった足先から再度光が集まり始め身体を一から光が作り上げていっていたのだ。






 


 そして完全に身体が作り替えられたその瞬間、女性は目を開き辺りを見回して声を発した。



 「おはよう…私の可愛い子達…私の本当の名前はマイヤー、荘園を管理する者です…」



 そしてマイヤーと名乗った女性は唖然とするクティ達の前で微笑んだのだった。

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