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母親と娘



 天候は照りつける太陽が地面を焦すほど猛威を振るう誰がなんと言おうと快晴の中、クティ達はハイウェイを使い中央政府を目指していた。


 「本当に良かったのですか?」


 「ドクの事?」


 「えぇ、せっかく助け出したというのにやけにあっさりと別れを受け入れているようでしたから」


 「そりゃあ私だってドクと旅したいよ、でも私にも譲れない目的があって、そしてそれはドクにもあるんでしょう?なら仕方がない事なのよ」


 クティはドクの残していったドクターコートの裾を握りしめてそう言って遥か彼方に見える中央政府をじっと見つめた。

 

 「クティのそういう所好きです、それと、もう1人救出した方がいるんですよ、多分この会話も聞いているのではないのかと」


 「そこまで回復してたのか」


 先頭でゾンビを間引いていたジェイクが驚きAT05G3の方へと振り返るとAT05G3の手が勝手に動き手をふった。


 「えぇ、もう身体の主導権はもうそろそろ奪われる事でしょう、元々この身体はこの子の物として設定されてますから、それと何かあった時に備えてそろそろ休憩を入れる事を提案します」


 「わかった、じゃあパーキングエリアに着く前に一度ここで休憩を挟もう、あそこはゾンビの大群がいそうだからな」


 「わかったわ、私もそろそろコレの整備しないと」


 「あそこなら高いですしゾンビは登ってこれないでしょう」


 「おっけー」


 クティはAT05G3に促され動かなくなった軍用車両の上によじ登り愛銃を取り出すと分解し始めた。

 ジェイクはアチィと呟き上半身の衣類を脱ぎ捨てると先程使っていて空になったマガジンへと弾丸を補充し始めた。


 「それにしても暑すぎじゃないか?昨日も思ったけど完全に天候管理システム壊れてるって、服が身体に張り付いて気持ち悪いや」


 「ジェイク、私もつらい、エーティに設定直してもらえないのですよ…」


 「そういや思ったんだがクティが今メインなんだよな、なら自分で変更出来ないのか?」


 「だめ、パスワードが設定されてる、あついよぉだるいよぉ頭いたいよー!」


 こんな日差しの強い中銃の整備なんてやってられるか!とクティは愛銃をろくに整備もせずそそくさと組み立て直すと軍用車両で作られた木陰へと飛び降りた。


 「ほんと最悪ね、天候管理してる人を恨みたい暑さよ…て言っても多分死んじゃってるわよね、それにしても木陰でも対して変わらないわ、まぁ多少は涼しいけども」


 「僕は人間だからね…下に降りて休むなんてしたら即襲われて死んじゃいそうだからクティが羨ましいよ、縁にぶら下がってドヤ顔するのやめて本当に」


 強めにジャンプをして軍用車両の上の縁を掴みドヤ顔を出したクティへとジェイクがデコピンをすると大袈裟な仕草をしながら派手にクティは落ちていった。


 『身体の主導権を完全に奪われました、気をつけてください』


 そんなコントを繰り広げるクティとジェイクへとAT05G3からナノチップへと通信が入り2人してAT05G3が使っていた軍用車両の上にて力なく座っている身体へと視線を向けた。

 

 「ジェイク」


 「わかっている」


 軍用車両の上へとよじ登ったクティは素早く腰に刺した愛銃へと手を置きすぐ弾丸を撃ち放てるように構えた。

 ジェイクの持っているアサルトライフルのセレクトをフルオートへと切り替えた音が響いたその直後オートマトンは動き出し視線を左右へと向けて辺りを伺う仕草をした。


 「うっ…」


 そしてそのままうめき声をあげて頭に手を当てるとポタポタと涙が顔の装甲の間から漏れ始め、続いて静かになく音が聞こえてきた。

 その様子を見たクティとジェイクは顔を見合わせクティはとりあえずこのままじゃどうしようもないと考え声をかけた。


 「えぇっと、大丈夫かな…?」


 「うん、グスッ…大丈夫だよ…ママ」


 「うん?」


 クティは首を傾げた、私はママじゃないぞと。

 そのまま抱きついてきた装甲だらけのオートマトンに抱きつかれたクティは力が制限されているのもあり抜け出せず困った顔をした。


 「どうやら敵意はないみたいで安心したよ」


 「敵意っていうよりそもそも私はコレどうしたらいいのかしら…」


 「まぁちょっとどうしたらいいのかわからない状況にはなってる気もするけど、僕は百合は守備範囲外なんだよね…」


 「そんな事知らないわよ、知りたくもない」


 『今記憶の確認をしたのですが今のクティの顔とその子のお母様の顔は瓜二つですね、違うのは胸囲と身長くらいでしょうか』


 クティは義眼に表示された人物を一眼見てこれはたしかにそっくりだと驚いた。


 『今の私の顔って何を元に作られてるの?こんなにそっくりだと何かありそうなんだけど…』


 『AT簡易変装プログラムに搭載された第6番目のデータを元にですね、おそらくそのお母様はオートマトンだったのでしょう、殺されたと言う情報から考えるに恐らく鹵獲され新しい記憶データを入れられて今は稼働している可能性が高いです』


 『それってつまりもう母のデータは…』


 『えぇ、消去された可能性が高いでしょう、我々オートマトンはパニック後自由行動を許可されていますから中央政府から再指令がない限り各々の思う最適な行動を遂行する事が出来ます、おそらく抵抗したのでしょう、娘を守る為に』


 それを聞いたクティは装甲の隙間から覗く嬉しそうな表情を見やり頭をそっと撫でた。


 「どうしたのママ?」


 「騙すほうが、よっぽど酷だよ…」


 意味が分からず首を傾げる記憶を移された娘へと優しく、出来るだけ傷つけないように言葉を投げかける。


 「私はママじゃないのよ、ごめんね…」


 「ママなのにママじゃないの?」


 よく理解できていない彼女の為にAT05G3が気を利かせて顔をエーティの物へと戻すと驚いたのか装甲の隙間から覗く目がまんまるに見開かれた。


 「ママは!ママは!?なんで!どこいったの!おかしいじゃん!おかしいよ!おか…し…ぃ」


 泣き叫んで突如気絶したのか倒れ込んだのをクティは慌てて抱きしめて支えAT05G3へと何が起こったかのかと通信を入れた。


 『その子の精神は非常に脆い状態です、壊れる前兆を察知した為緊急停止機能が作動したのでしょう、再度同じ行動は控えたほうがよいかと』


 「そんな…そんなの私に、私にどうしろって言うのよ…」

 

 クティは頭の装甲が倒れかけた衝撃で外れて出てきた少女の顔を見つめた。

 そして装甲だらけの少女を抱きしめて苦しげな表情を浮かべ呟いたのだった。

女性型男性型それぞれのオートマトンのほとんどはプロパガンダの為美男美女になっています。

ちなみに軽量タイプのAT05G3のシリーズ達は美少年美少女達となっております。


というかそもそも自由に顔変えられるって言う割と便利な感じの能力を搭載しています。


今回出てきた子は軽量タイプのオートマトンに無理やり装甲大量に引っ付けてる状態です。全てパージするとクティより少し背が低いくらいになりますが今は頭一つ分くらいクティより背が高かったりします。

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