表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/68

ロイド、最後の叫び


 「ねぇエーティ私中央政府の中に行きたいんだけれど、どうすれば行けるかな」


 『なんでまた急に、それとロイドではないとは一体なぜそんな事を?』


 「や、ちょっと記憶を思い出してね、どうしてもいかなきゃいけないんだよ」


 『理由は教えてくれ無さそうですね…』


 「あの、その、ちょっと言いづらくて」


 彼女のコピー品であるAT05G3に一から説明する事も出来ずにクティは言い淀んだ。

 たとえ彼女と別人ととも取れる様な高度に発達した自我を持っていたとしてもAT05G3がそれを受け入れてくれるかはクティには判断出来なかった。

 だからエーティは模造品で代用品なんだなんて間違っても言えた物じゃなかった。


 もしその部分だけ言わなかったとしてもAT05G3には既に感づかれていた為今更記憶を取り戻したいと言っただけではAT05G3からの疑問は解消されないと考えたクティは説明する事が出来なかった。


 『まぁいいでしょう、私もロイ…クティに話していない事もありますしね』


 「あ、そう言えばそうじゃない!すっかり忘れていたわ…一体何かしら」


 

 AT05G3は悩み始めたクティを見てホッとした。

 クティがロイドのコピー品である事に気づいてしまった可能性はかなり引くくなった事をAT05G3は確信した。


 「きっと何かやらかしたのよ、今更言えなくなっているんだ、そうに違いないわ」


 ベットに腰掛けたクティはブツブツとAT05G3が隠している事をなんとか当てようと必死になっていた。

 クティはAT05G3の隠し事が何かと考えるのを楽しんでいるようでニマニマと顔が緩んでいた。

 普段完璧なAT05G3が何かやらかしたと決めつけよっぽど恥ずかしい事なんだろうとクティは考えていた。

 決めつけがすぎる上全く当たっていなかったがクティが楽しそうにしている事にAT05G3は自然と身体の奥がぽかぽかとしてくるのを実感していた。





 クティがあぁでもないこうでもないとブツブツと呟いていたおかげかドクは目を覚ました。


 「おや…おきたね、調子はどうだい?」


 「あ、ドクもおはよう!私は元気だよ!」


 「そうかい、それは良かった」


 「ねぇドク、私中央政府を目指す事にしたわ!やらなければいけない事が出来たの!」

 

 「おぉそうかいそうかい、ならここを出られるよう準備をしてくるさね、アンタもいつまでも下着姿でいないで着替えな、バックはそこさね」


 「うぇ!ほんとに下着姿だ…ドクの前でこんな姿とか致命的だよ」


 慌ててクティが自身の身体を確認すると頼りない布二枚しか身につけておらずクティは掛け布団を胸元へと手繰り寄せた。


 ドクは笑いながら部屋を退出していった。


 

 取り残されたクティはベットから降りて机の上に置かれていたバックを手に取ろうとして横に干からびた生花がある事に気がついた。

 そしてなんとなくAT05G3に問いかけていた。


 「この部屋にいた患者さんは逃げれたのかな?」


 『さぁ、私には推測できません、逃げ切れてれば良いですが望みは薄いでしょう、それとクティ、この花に思い入れが?』


 「ううん、どこかで見た事のあった花だったからそれだけ…えぇと新しい服は…これかな?」


 綺麗に畳まれた服をバックから取り出すとクティは目の前で広げてみた。

 よりにもよって汚れが目立ちそうな白のワンピースだった。

 


 「えぇ他のはないの?」


 もう片方の服を取り出すとこちらは黒のワンピースであった。

 バックを覗くと他にはチェック柄のスカートやおしゃれなロゴの入ったシャツやかわいい系の服装が納められていた。


 それぞれ丁寧にタグがつけられておりセットとしてまとめられており着てくれと言わんばかりに説明書きまでつけられていた。


 クティはこれを選んだであろうアリーが許せなかった。


 確かにロイドとしての自身はもう存在せずクティとして考え行動し始めているもののスカートやワンピースはまだクティには早かった。


 わずかに残った男としての意識がそれはダメだと叫んでいた。

 ロイド最後の叫びである。





 なんとか妥協案としてバックの底にあったデニムショートパンツと無地のシャツを着たクティはその上にグエスが入れてくれたであろう皮のコートを上から羽織った。


 太ももにホルスターを付けてそこに愛銃を差し込みバックを背負うとたてかけてあったSMGE35を手に持ち準備を終わらせた。


 ちょうど装備をまとめ終わったらしいドクも同じタイミングで部屋に戻ってきてクティはドクと向かい合った。


 「うん、実用性も可愛さもあるいい装備さね、さすがクティだ」


 「ありがとう、そう言うドクこそなかなかイカしてる」


 ドクはどこからか掻っ攫ってきたのか真っ白のドクターコートを上から着込み身体には先程の兵士から奪ったであろう防弾チェストプレートを装備していた。

 腰には二丁のエネルギー駆動の銃を刺しており背部には防弾性能のある装甲一体型のバッテリーを装備していた。


 「なかなかいいだろう?」


 「うん、でもライフルはいいの?ドク年寄りのくせに元気だからそれくらい持てるでしょ」


 「ひどい言いようだね、ライフルももっているさね、ほら」



 ドクがドクターコートの前をめくると中には折り畳まれたライフルが二丁収納されていた。


 「動きに支障は出ないのそれ?」


 ライフル二丁で六キロ、チェストプレートとバッテリーで七キロ、バックで五キロその他の装備品で二キロと合計二十キロの大荷物だった


 それぞれ軽量化はされているものの数が揃えば重さは比例して上がるのは仕方のない事だった。


 「まぁ多少重たいけれど問題ないさね、この騒ぎの前と比べたらだいぶ力も持久力もついたさね」


 「じゃあさ、表のゾンビ掃討しながら脱出するのってどう?ここまでスニーキングしてきたから最後は溜まった鬱憤を晴らすついでに派手に行きたいなって」


 「それはいいアイデアさね、ちょうどアタシも捕らえられたり殴られたりとしてて鬱憤が溜まってたんだ、賛成さね」


 ドクは獰猛な笑みを浮かべながらエネルギー駆動の拳銃を二丁手に構えてドアへと向かっていった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ