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02 概要:エゴン大陸と桃源郷 「ザナドゥ」について


 上も下も左も右も無い無次元の世界。

 広いのか狭いのかすら判断出来ない無の空間から、奇跡と言う名の有が産まれた。

 一点の微かな光だった有は、まるで魚卵のように続々と増殖を繰り返し、やがてそれは泡状の多次元宇宙と呼ばれる事となる。 そう、その魚卵のような真球の一つ一つがビックバン後に拡大を始めた宇宙なのである。


 様々な宇宙で命が誕生し、そして命の灯火が消える輪廻の循環が構築されると、無重力の海を漂う魂は泡の殻を飛び越えて彷徨(さまよ)い、様々な世界に降り立っては産声を上げる事となる。──いわゆるこれが『魂の旅路』。精神体の多次元ジャンプ現象である。

 こうして魂はあらゆる世界で生命誕生のコアとなり、そして生命終焉と共に泡状多次元世界へと還り、新たな世界で新たな依代(よりしろ)を探す事となる。

 この世界……無から泡状多次元世界が誕生した初期の頃から存在するこの世界『オーズルンド』も、大量の魂の旅路の中継地として様々な知的生命体の誕生をその歴史に刻んで来たのだが、この世界では他に類を見ない奇妙な現象が起きていた。

 ──他の泡状多次元世界よりも、残留思念をより多く取り込んでは貪欲に成長を続けていたのである──


  例えば巨大建造物や巨大遺跡の形を見てみよう。

 オーズルンドに誕生した知的生命体が独自の発想をもって建造する訳なのだが、それがオリンポスであったりピラミッドであったりマチュピチュであったりと、誰がどう見てもデジャヴを感じるようなデザインになってしまう。

 それが王の墳墓であったり祭儀所であったり、集会所として作られていると言う事は、日々変化する天候にも適応出来る生活様式なのだと物語っている。つまりは、屋根が雨から生活を守り、壁が風から生活を守ると言う事。結局はデジャヴなのである。


 このように、泡状多次元世界に漂う様々な残留思念を取り込みながら、世界はどんどんと発展して行く。

 ただ、その貪欲なほどに雑食な知識欲は、オーズルンド世界に新たな弊害を生む事となった。それが“知的生命体種の乱立”である。

 繁栄する知的生命体は、我々の知る地球とは全くラインナップが変わり、人間種に留まらずにエルフやドワーフなどの亜人種に加え、獣人や魔人すらもが我が世の春を謳歌していたのである。


 ──オーズルンド世界最大の大陸『エゴン』。この大陸にザナドゥと呼ばれている場所がある──

 もちろんこのザナドゥとは国の名前でも都市の名前でも無い。深すぎる森や断崖絶壁が並ぶ丘陵に囲まれた場所に、何故か天高くそびえる塔が立っているのだ。その前人未到の場所を、人々はザナドゥと呼ぶのである。

 そして、そのザナドゥにたどり着くには、これまたいつ誰が作り上げたのか皆目見当がつかない地下ダンジョンを攻略するしかないと言われている。その地下ダンジョンですらも、未だに全ての階層の謎が解き明かされた訳ではなく、八割が前人未到だと言われている。


 この物語はエゴン大陸に存在する人知を超えた場所……このザナドゥを中心として繰り広げられる事となる。

 もちろん、このザナドゥと言う名前もオーズルンド世界に住まう者たちが命名したのだが、この名前のルーツが我々の住む世界にある事など知らない。

 モンゴル帝国第五代目皇帝であるクビライが作りし都であり、マルコポーロが東方見聞録で広めた理想郷・桃源郷であると知る者など、一人としていなかったのだ。



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