プロローグ 魔臣の罠
ちょっと初めてだし、書いてみるか・・・
あ、気が向いたら書きますし、読んでもらえたら幸いです。
ベルフェリスは今日も眠れない。あの人の言葉が頭から離れない――――――――――――それだけだ。
忘れようと努力してもムダだった。あの日の光景を昨日のことのように思い出せる。
・・・・・毎晩、夢に見るからだ。
「――――――――――――俺は英雄になりたいんだ」
常々、子供の頃に抱いた願いを忘れないように口にしていた。
私は覚えてる。忘れることができない。それだけ強く願っていたのだ。
何故ならそれがあの人の夢で・・・・・・私の望みでもあった。
部隊全員が共通した認識で、夢だった。
あの人の夢は必ず叶う。そう信じていた。そのはずなのに・・・・・・。
「敗残兵!」「恥知らず!」「なんで生き残った!?」「勇ましく死ね!」「今更遅いんだよっ!」「もっと早く消え失せろ!」「屑が!」「死んで詫びろ!」「貴様なんて―—――――――――」
――――――――――――――英雄失格だ!
無数の聴衆たちが調和した罵声の嵐。やむことはない。誰も彼もがあの人を否定した。すべてだ。
あの人はそれでも処刑台へ突き進む。自ら迷いなく歩んだ。
――――――――――――それなのに、どうして。
ずっと苦笑ではなく、秋晴れの空を眺めるような清々しい表情で、すべてを見渡せていたのはなぜだろう。分からない。
その理由を教えてはもらえなかった。最期まで。その機会も時間さえ、用意されなかった。
だから、ずっと考えている。答えは出ないと分かっていても、考えてしまう。
もう、夢は見ない。あの人はもういない。
残ったのは、悪夢と――――――――――――復讐だ。
あの人は戦争で負けた。それはいい。命を奪ったのも許せる。だけど――――――――――――
――――――――――――どうしてあの人から夢を奪った!? それを奪う権利は神でさえないはずだ!
・・・・・・・・・・・・・・許せるものか。必ず復讐してやる。
――――――――――――魔臣レオポルド・フォン・ゲルラッハ。貴様を許さない。
魔王軍大将、べリス王国執政、帝国海軍名誉中将・・・・・・。
飾りだけなら十分だ。だが奴は英雄ではない。
数百年を生きる魔人――――――――――――化け物だ。人ではない。
倒す手段が見つからない。それでも、思い知らせてやる。
奴が奪ったものすべて・・・・・・奪い尽くす。これだけが私の生きる理由。
それがわたしの復讐だ。ほかに何もいらない。
・・・・・・たぶん間違いなく、あの人は望まないだろう。あの表情が時折、訴えてくる。
それでも、変えられない。私は決めたのだ。
魔臣を倒し、あなたの墓標に添えると。
そうでもしなければ私は、納得できないのだから・・・・・・。
――――――――――――――――――――――――ごめんなさい。