― プロローグ ―
思い付いたものを書きたいように書いているので拙い文章ですが最後まで読んでいただけるとありがたいです。
手に火の玉を持つイメージ。よし、イメージは完璧! あとは具現化するだけ。
「ファイアー!」
ポッ
部屋にあった蝋燭の一つに火が灯った。
まだ、魔法は使える。けど全然ダメね……昔はあれくらいのイメージでも壁に穴が空くくらいの威力は出ていたのに……
「はぁ……」
わかってたとはいえ、自分の衰えにため息が出てしまった。
この先、私は何もできずに死んでいくのだろうか……こんな体になってからと言うもの嫌な考えしか頭を過らなくなった。
私はそんな考えを吹き飛ばすために頭を思いっきり左右にふった。
「こんな暗い考えじゃダメね。せっかく今からあの娘が遊びに来るのに」
部屋の外からパタパタと軽快な足音が聞こえてくる。部屋の前で足音が止むと勢いよく扉が開かれる。
バタンッ!
「おばあさま!」
ボフッと私の布団に飛び乗ってきたのはリーン・フィルトリア。孫であり、寝たきりの私のために週に一度訪れる可愛い話し相手。
「あらあら、今日も来てくれたのね」
「うん、今日は珍しくお父様も一緒よ!」
「あら、そうなの? じゃあ、イリアさんも?」
「ううん、最初は3人で来る予定だったんだけどおばあさまのところに行くって聞いた途端やっぱりやめるって……」
そう言うとリーンは悲しげな表情を浮かべ、顔を下に向ける。私はそんなリーンの頭に手を置く。笑顔が似合うリーンがこれ以上悲しまないように……。
残念なことに私はリーンの母親から嫌われている。理由は何となく察している。ただでさえ仕事で忙しく家族との時間が取れていない彼女の夫、つまり私の息子を私用で何度も呼び出し独占しているからだ。いわゆる、嫉妬である。悪いとは思っているがこちらにも事情かあるので許してほしいところではある……。
しかし、一向にリーンの顔が上を向かない。どうしようかと悩んでいるとそれに気づいたのかリーンは目を思いっきり擦り、涙を拭い、無理やり口角を上げ、飛びっきりの笑顔でこちらを向く。
「おばあさま、いつものお話が聞きたい!」
いきなりの声に驚いたがリーンの笑顔につられ、私も軽く口角が上がる。
「ふふっ、リーンは本当に好きね。そうね、どこから話しましょうかね?」
「前来たとき最後まで聞いたからまた始めのイセカイから来たって話から!」
「わかったわ、じゃあ18歳の卒業式の話から始めましょうか……」
それから話し始める。頭に浮かぶ、情景を懐かしみながら私の昔話、新山紅葉の冒険譚を……。