第42話 「決着」
次の日から俺は熱を出して学校を休んだ。どうも精神を集中させすぎたらしいのだ。しかし、やるべきことはすべてやった。俺は全く敬虔な気持ちでふとんの中にいたのだ。これこそまさに『人事を尽くして天命を待つ』の心持ちである。俺は白河派の勝利を疑わなかった。
二日ぶりに登校するその日、空には雲が立ち込め、今にも雨が降り出しそうであった。青空はどこだ。俺はそう思いながら校門をくぐり、下駄箱を過ぎて、掲示板の前まで来た。青空はそこにあった。それはあたかも青空が灰色の雲を追い払ったかのごとくであった。しかして、よくよく見れば、その青空は無数の青く丸いシールで点描されたものであった。それが新時代の選択であった。俺はその場に立ち尽くした。
「四方山センパイ」
後ろから声がした。そこには夏樹が立っていた。心配そうな表情で俺を見ている。夏樹の周りには冬原と春川先生と、かつての白河四天王がいた。そして夏樹が一歩前に踏み出した。
「センパイ! ボクたちのこと、キライですか!? ボクたちはセンパイのこと、大好きですっ! もっとセンパイと仲良くしたいですっ!! ダメですか!?」
俺は歩み寄って、夏樹の頭をなでてやった。
「……夏樹君。俺の率直な気持ちを言えば、俺も君達のことが大好きだ。しかし、俺は男だ。男にはそれだけじゃすまないものだってあるのだ。わかってほしい」
夏樹のきょとんとした顔がすぐに涙でにじんだ。そして、俺は走り出したのだ。雨の降る中に飛び出していったのだ。




